まず、南青山・ブルーノート東京でジュリア・フォーダム(ファースト)。
これも、サポート・ギタリストを一人つけての簡素なパフォーマンス。アクア
ラング、リサ・ローブ、そしてフォーダムと、この1週間強の間に、3つもそ
の手の設定のシンガー・ソングライター公演に接することになるのだな。たま
にフォーダムもギターを持つときがあるが、基本的には男性ギタリストの伴奏
だけで、簡素度数はこの日が一番高い。その伴奏ギタリストは、なんとクリト
ーンズ(20年前強に西海岸ニュー・ウェイヴ・バンドとして話題を集めた)に
いて、その後は広くセッション・マンとして活動している(リンダ・ロンシュ
タットやボニー・レイット他、女性のバッキングが多い人というイメージがあ
るなあ)マーク・ゴールデンバーグ。で、これがあれれえと思えるぐらいにジ
ャジーな弾き方をしていて驚く。が、ときにジャズ・スタンダードを交える行
き方にはとても合っていて、へ〜え。もちろん、彼女の過去のヒット曲もなか
なか瑞々しく提出されていたのではないか。ゴールデンバーグは1曲ソロ演奏
の機会を与えられ(曲調はちょいパット・メセニーふう)、そのときフォーダ
ムは横にちょこんと座っていた。そう言えば、前日のファースト・ショウには
スティング・バンドで来日中で、フォーダムの過去盤に係わったこともあるド
ミニク・ミラーがゲスト入りしたのだとか。

 見かけは相変わらず英国人。デビュー時、インタヴューやったときは、ルッ
クスや静謐な曲調に似合わないギャピキャピした人であるという印象が強く残
っているが、もう彼女は英国から米国西海岸サンタモニカに引っ越して10年近
くたつらしい。なんでも、ご懐妊しているとのことで、日本のブルーノート・
ツアーのあと休養にはいるようだ。

 そして、渋谷・Oイーストに移動。9時から始まる、アンティバラス・アフ
ロビート・オーケストラの公演を見る。全11人。休憩を挟んで、たっぷりとパ
フォーマンスを披露。実は、最初はちとのめり込めず。というのも、少し前に
The Dig 誌の企画でユニヴァーサルから出されるフェラ・クティ26作品(けっ
こう2in1 もあり) を二日間に渡って一気通し聞きするという機会を持ち、散
々フェラ・クティ表現に浸ったから。あれと比較しちゃうなら、フェラのアフ
ロ・ビート表現を今のNYの環境に置き換えようとする彼らの演奏は、ビート
、管アンサブル、ソロ、ヴォーカル、あらゆる点で見劣りするのは確か。それ
に、男所帯でやっている彼らだが、やっぱり女性コーラス隊も欲したくなるよ
な。昨年見たとき(2004年9月19日)以上になんとなくフェラ表現に近い感じ
がしちゃって、余計にそう感じたところはあったかもしれない。とはいえ、や
っぱりパーティ・バンド(いろいろ問題意識をリンクさせようとするバンドで
あることは承知でそう書かさせていただく)としては、奇特な、得難い存在だ
とは思うが。やっぱ、気持ちがこめられた演奏でもあったんだろうな。