96歳、女優のシシリー・タイソンが自然死なさった。あのマイルズ・デイヴィスの『ソーサラー』(コロムビア、1967年)のジャケット・カヴァーのモデルとなり、当時デイヴィスは二股(か、それ以上?)をかけていて、若いベティ・メイブリーと短いながら結婚。その後、再び関係が再燃し、だいたい1981年から88年にかけて、デイヴィスと彼女は結婚していた。音楽家としては普通の人になってしまってはいたが、一応ちゃんと御大が音楽活動をしていた時期に、横にいたことになるのだな。彼女はデイヴィスのコカイン好きを改めさせようと力を尽くしたとも言われる。

 ぼくが知るタイソンはデイヴィスさんと重なる項目だけだが、改めて記事をあたると女優としてのキャリアもしっかり持つというか、スターだった。アンティル諸島出身の両親を持ち、高校卒業後は赤十字社で働いたという記載もある。17歳のときに娘を産み、18歳で結婚もした。ファッション・モデルとして芸能界に入りし、エボニー誌などを飾る。その後、役者としてTV、舞台、映画などに出るようになり、1970年代にアカデミー賞の女優助演賞ノミネートやエミー賞を受けるなどキャリアのピークを迎えたよう。

 彼女はブラックスプロイテーション映画への出演を拒み、売春婦など黒人女性を蔑む役につくのも拒否したという。そんな彼女は、1973年設立のThe Black Filmmakers Hall of Fameに1977年に殿堂入りもしている。そんな彼女は歳をとっても活動、2013年には舞台でトニー賞を受賞。2016年にはthe Presidential Medal of Freedom賞をオバマ大統領から受け、また、2018年にはアフリカ系女性初のオスカー名誉賞も受賞した。2020年のネットフリックス映画にも出演、自叙伝「Just As I Am」は1月26日に出版されたそう。

<ここのところの、混濁>
 1月だという意識はばっちりあったものの、なぜか今月は28日までだから、受けた仕事はその日程に合わせてちゃんと仕上げなきゃと、この数日間すこし気がせいていた。しかし、1月だもん当然31日まであるから、もうスケジュール的には安泰ぢゃんとなった。過剰に入っているわけではないが、少し締め切りがたて込むと、小心者なのでそうなってしまった? このおり、万が一で床に伏せても問題ないように、平常時以上に早めに原稿を仕上げているというところはあるものの。
 この10ヶ月、ここには訃報ばかり書いている。ライヴに行けなくなっており、しょうがないのでミュージシャンたちの訃報はできる限り書きとめようとずうっとしているわけだが、さすが飽きた。というか、そればかりだと、悲しすぎる。