オトナと、コドモ。思慮/含みと、あっけらかんとした直情。ジャズの素養やテクニックを根に起きつつも、対照的なアプローチを持つ2人の米国人のリーダー・グループのショウを続けて見る。丸の内・コットンクラブ(ファースト・ショウ)、そして南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)。

  最初は、ブライアン・ブレイド(2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2008年9月4日、2009年7月20日、2011年5月12日、2012年1月16日、2012年3月15日 、2012年5月22日、2014年2月12日、2014年4月14日、2015年5月27日、2016年5月18日、2017年12月16日、2018年5月22日 )のザ・フェロウシップ・バンドのキー・メンバーをずっと勤め、ブレイドと一緒にジョニ・ミッチェルの75歳の誕生日を祝う特別公演実況作『JONI 75~ジョニ・ミッチェル・バースデイ・セレブレーション』(デッカ、2019年)を共同でプロデュースしてもいるピアニストのジョン・カウハード(2003年9月27日、2008年9月4日、2009年7月16日、2011年5月12日、2012年5月22日、2014年2月12日)のグループ公演。その両人に加え、ギターのスティーヴ・カーディナス(2015年5月27日、2016年5月18日)とダブル・ベースのトニー・シェアー(2005年12月31日、2009年05月8日)の4人にてパフォーマンスされた。

 うわあ、練れている。熟している。もう十全にジャズの美点を通りつつ、ポップ・インストゥルメタル(と書いてしまうと語弊があるが)要素も趣味良く介し、カウハード一流の即興性に長けた風景画を4人が一致団結して描いていく様にはため息。好き嫌いはあるだろうが、オルタナティヴな現代メロウ・ジャズとして、とても高い水準にあるとおおいに頷く。けっこうだまし絵的に表情を交錯させてもいるが、4人は同じ完成図を見据え、すいすいと音を重ね合う。遠近法に長けた表現、そんな曖昧な形容も使いたくなるかな。けっこう、カーディナスが前に出てくる局面があり、へえ。ジョン・パティトゥッチ(2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2006年9月3日、2012年6月13日、2014年2月12日、2014年4月14日、2015年5月27日、2015年9月6日、2016年5月18日、2018年5月22日、2019年8月6日、2019年12月12日)・バンドでの演奏よりも断然いい。彼はストラト型のギターを使用。今のジャズ・ギタリストは本当にストラト好きが多いなあ。

▶過去の、ジョン・カウハード
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090716
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/
https://43142.diarynote.jp/201402140843255048/
▶︎過去の、スティーヴ・カーディナス
https://43142.diarynote.jp/201505281537538677/
https://43142.diarynote.jp/201605240831421865/
▶︎過去の、トニー・シェアー
https://43142.diarynote.jp/200512311225410000/
https://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
▶過去の、ブライアン・ブレイド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/200908061810483865/
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
http://43142.diarynote.jp/201201171011033219/
http://43142.diarynote.jp/201203161146266803/
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140212
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
http://43142.diarynote.jp/201505281537538677/
http://43142.diarynote.jp/201605240831421865/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160803
http://43142.diarynote.jp/201712181015052794/
https://43142.diarynote.jp/201805230726481296/
▶過去の、ジョン・パティトゥッチ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm 2001年8月3日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm   2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/201402140843255048/
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
http://43142.diarynote.jp/201505281537538677/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/201605240831421865/
https://43142.diarynote.jp/201805230726481296/
https://43142.diarynote.jp/201908071557182844/
https://43142.diarynote.jp/201912131809318090/

 その後は、大御所ベーシストのスタンリー・クラーク(2008年9月8日、2010年12月3日、2012年12月5日、2015年9月30日)のトリオ公演で、その2角をなすのはキーボードとピアノのキャメロン・グレイヴス(2015年9月30日 )、そして近年のクラーク作に入っているタブラ奏者のサラー・ナダー。変則、なり。しゃがんで演奏するナダーは、タブラ、シンバル類、パッド、スネアなどを並べている。なんか、彼の演奏を聞きながら、チャールズ・ロイド(2005年5月11日、2008年4月6日、2013年1月6日、2017年1月12日、2017年1月13日、2019年9月2日、2019年9月3日)の『サンガム』(ECM、2006年)というアルバムはタブラのザキール・フセイン(2004年9月5日、2005年1月31日)とドラムやピアノのエリック・ハーランド(2005年5月11日、2007年10月3日、2008年4月6日、2013年1月6日、2017年1月12日、2017年1月13日、2019年9月2日、2019年9月3日)の3人で録音した異色作であったのを思い出す。また、1970年前半から活動し、ECM他からアルバムを出しているオレゴンはタブラ&シタール奏者(ECMからリーダー作も出していた故コリン・ウォルコット。彼はポール・ウィンターのコンソートにも入っていた)入りの編成であったなあ、とも。

 御大、前半部は4弦のエレクトリック・ベースを弾き、後半はダブル・ベースを弾く。後者もクラークはエフェクターをかまし、音色や聞き味は双方近い。ダブル・ベースの場合は素直な音色を採用した方が絶対に“横”と“縦”の差別化も図れるし、ヴァーサタイルな彼の持ち味も明解に出ると思うのだが、そういうことを笑顔のクラークはまったく考慮にいれない。まあ、ダブル・ベースのほうがでかいだけ、表現の幅は広いのは間違いない。バカでかい手で自在の奏法を見せる彼に接して、さすが個性あるなと思った。

 チャールズ・ミンガスのジャズ・スタンダード「グッバイ・ポーク・パイ・ハット」や自身の20代のころの当たり曲「スクール・デイズ」や彼がかつて在籍したチック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日、2016年9月16日、2017年9月2日、2019年8月31日)のザ・リターン・トゥ・フォーエヴァーの曲(曲名までは知らん)もやる。だが、それらは出だしのテーマ部を担うだけで、途中からはアバウトな音の出し合いに流れ、テーマに戻ることなく終わるというカタチを取る。変わった編成、変わった楽器音のもと、伸び伸びと音を重ね、ソロ・パートを持つというのが、このトリオが求めるところだろう。曲を終えると、3人はやったネ、うまくいったネとアイ・コンタクトを交わしたりもして、今回がこのユニットの初ギグなのかと思わせられたがどうなのだろう。子供っぽいんだが、確かに野放しで、定石外しのトリオ表現にはなっていて、本人たちのかような所作には 納得した。

 キーボードで多少“電波”系の音もつけるキャメロン・グレイヴスは、後半はピアノも多用し、ハっとさせる演奏も。彼のリーダー作『Planetary Prince』(Mack Avenue、2017)はカマシ・ワシントン(2014年5月28日、2015年10月31日、2016年12月6日、2018年8月19日、2019年9月2日)系の奏者が関与していますね。そんな彼は2月にここで、ギター入りカルテットでリーダー公演を行う。一方、中東系の風貌を持つサラー・ナダーは前半(つまり、クラークが電気ベースを弾いているとき)は左手でパーカッション・パッドを叩く場合が多く、それと右手のタブラ演奏の重なりはプログラム・ビートっぽい感じに聞こえる。後半はタブラ演奏濃度が高まり、“口タブラ”も少し披露した。

▶過去の、スタンリー・クラーク
http://43142.diarynote.jp/?day=20080908
http://43142.diarynote.jp/201012051906481605/
http://43142.diarynote.jp/201212131141531884/
https://43142.diarynote.jp/201510021221454336/
▶︎過去の、キャメロン・グレイヴス
https://43142.diarynote.jp/201510021221454336/
▶︎過去の、ザキール・フセイン
https://43142.diarynote.jp/200409050916440000/
https://43142.diarynote.jp/200502041825460000/
▶︎過去の、チャールス・ロイド
http://43142.diarynote.jp/200505141717440000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
https://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
https://43142.diarynote.jp/201909031830055314/
https://43142.diarynote.jp/201909071014576603/
▶過去の、エリック・ハーランド
http://43142.diarynote.jp/200505141717440000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20071003
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
https://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
https://43142.diarynote.jp/201909031830055314/
https://43142.diarynote.jp/201909071014576603/
▶過去の、チック・コリア
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/200710121726160000/ 
http://43142.diarynote.jp/201609201820427313/
https://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
https://43142.diarynote.jp/201909011034527807/
▶︎過去の、カマシ・ワシントン
http://43142.diarynote.jp/?day=20140528
http://43142.diarynote.jp/201511040742444324/
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
https://43142.diarynote.jp/201808211635045064/
https://43142.diarynote.jp/201909031830055314/

<今日の、なんじゃらほい>
 師走は早めに休みに入ったりもし、だいぶのんびりもし楽しい時間も過ごしたのだが、それが可能になったのは、あまりCDを聞かなかったため。実は今年買ったものの未聴のアルバムが100枚ぐらいはあり、それを多少は片付けようとも思っていたのだが、軽く諦めてしまった・(>_<)・。そんななか聞いた数少ないブツがリトル・スティーヴン(スティーヴン・ヴァン・ザント)が主演したネットフリックスのドラマ「リリハマー」のサントラのVOL.1(Universal,2019 )と、彼の最新作『Summer of Sorcery』(Universal,2019 )。スティーヴンのことをブルース・スプリングスティーンの側近みたいな言い方をする人もいるが、ずっとスプじじい嫌いのぼくにとってはどうでもいい項目で、ぼくの中ではキース・リチャーズ(2003年3月15日)耽溺流れの外見を持つ真性ロッカーであり、<サン・シティ>(1985年)の首謀者。同時期のチャリティ曲「ウィ・アー・ザ・ワールド」より断然ぼくはリトル・スティーヴンの巨大プロジェクトに夢中になった。ときが流れ、そんな彼はネットフリックスのドラマに主演かあ。なんでも、それは見ていてほのぼしちゃう北欧リレハンメルを舞台とするヒューマン・ドラマらしい。そして、彼はその好評を受けて(?)、アルバム・リリースも活発なんだよなあ。そのサウンドトラックのカヴァーを見ると、オールバックでスーツ姿の彼がいて、音楽的にはニューヨーク・ドールズにいたデイヴィッド・ヨハンセンのバスター・ポインデクスターみたいな感じかと想像したのだが、確かなジャズ調サウンドが付いていて当たらずも遠からず。13曲中9曲がスティーヴン曲で、他はスタンダード。インスト主体だが、なかにはフランク・シナトラあたりを気取る彼がぶっとい声で歌っている曲もある。あら、すんごく上手く歌が録られている。しかし、ネットフリックスもダゾーンも入らず(時間がなく、それなりに見ることができる自信がまったくない)、ましてやゲームなどは興味が持てず一切しないし、本も読まないぼくなのに、どうしてこうも時間がなく、聞けないCDがたまってしまうのか。幸いにも原稿はかなり早いので、机に向かっている時間も長くないはずなんだけど。夜遊びかなあ。ともあれ、購入音源を聞く余暇がないと認知しちゃうと快適ではないので、未聴のCDやアナログを聞くのはやめっとなってしまった。。。年初にどうこう思うことはしないが、やはり人生は長くはないと少し思うことにする。たまに会っていた大学のゼミの友達が突然亡くなってしまったし。とはいえ、<求、負荷のない生活>……。やっぱ、ファンキン・ロック心で行きたい。
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ/キース・リチャーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm

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