スタックス・ソウルの屋台骨の担い手であり、近年は人気ヒューマン曲「ジャマイカ・ソング」の原作者としても脚光を浴びる、アンタイ契約アーティスト(2008年11月24日、2009年7月25日、2010年2月8日。お、なんだかんだここのところは
毎年来ているんだな)の公演。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 白人ギター奏者が一人減り、アフリカ系のギター奏者とドラム奏者(ともに、オークランド出身。ときに、ドラマーは叩きながらラップもしたので、間違いなく前回と同じ人)、ボストン出身の白人ベース奏者がサポート。で、近年のリーダー作収録曲やMGズの代表曲やサザン・ソウルの有名曲(「テイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー」もやったな)などを悠々と披露。途中で、ギターを弾きながら歌ったりもするのは過去の実演と同様。顔の艶もいいし、佇まいがほんと良い。接する側も円満な気持ちになれる。ハモンド・オルガンを弾くだけでなく、途中ギターを弾きながら歌ったりもするのは、過去の実演と同様。曲の途中で持ち替えたりもしたが、それは初めて接するような。それから、オルガンを弾きながら歌うのも初? 歌は前より声が出るようになっているか。なぜか、どんどん出音が大きくなっていったのが可笑しくも、?。演奏時間は1時間半を超えていたような。

<今日の単純曲>
 終盤、彼はボブ・ディランの73年ヒット曲「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」を歌う。それ、ディラン本人も役者出演したサム・ペキンパーの西部劇映画のサントラ曲ですね。なお、ブッカー・Tがいつも演奏する「ハング・エン・ハイ」(ブッカー・T &ザ・MGズの68年作『ソウル・リンボー』に収録)はマカロニ・ウェスタン映画『奴らを高く吊せ!』の同名テーマ曲をカヴァーしたものだ。というのはともかく、その「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」は単純なコード進行に終始する曲で、なるほどォと、ぼくは深く頷く。変化の乏しい循環コードやリフが連続するなかで、メロディやフレイズを重ねて行くようなタイプの曲を、彼は好むんだよね。オルガンの音色もそういう方策を求めるのには合っているし。というわけで、ブッカー・Tがカヴァーしてもおかしくないシンプル構造曲五選……。
▲アメリカ「名前のない馬」
▲キャミオ「ワード・アップ」
▲オシビサ「サンシャイン・デイ」
▲プリンス「パープル・レイン」
▲レイナード・スキナード「スウィート・ホーム・アラバマ」