雨が降る夜、渋谷・アックス。UK人気ロック・バンドのスウェードのフロント・マンのソロ・ライヴ。彼の2作目のソロ『ウィルダネス』は基本ピアノとチェロだけが伴奏する、“裸の”というような形容をしたくなるアルバムだったわけだが……。おー、本気だったんだな。新作が出たさいに電話インタヴューしたら、原稿になりそうな事山ほど言ってくれ(http://mainichi.jp/enta/music/archive/news/2008/12/04/20081204dde012070063000c.html)て、かなりやる気と達成感もってるんだなと思わせられたが、真面まんまのシチュエーションでライヴをやるとは! ステージに登場したのはアンダーソンと女性チェロ奏者だけ。そして、彼はピアノを訥々と弾き(曲によっては、生ギターを持つ)歌い上げ、チェロ音がその弾き語りに色を添える。全編、それだけ……。

 一部はソロ作の曲をパフォーム。休憩を挟んだ二部はウスェード時代のゆったり目の曲を“裸ヴァージョン”で披露(生ギターの弾き語り比率が高くなる)。すると、観衆の声援は大きくなる。スウェード時代からの熱心なファンは今回の“大人の変身”をどう捉えているかは知らないけど、彼が胸を張って、新しい大地を歩まんとしていることだけは痛感させられたはず。いやあ、その根性、なかなかに凄いものがあったのではなかったか。