東京ジャズ

2018年9月1日 音楽
 会場は、渋谷・NHKホール。<昼の部>と<夜の部>の出演者を素直に、二つづつ見る。

+コーネリアス
 国際派の最たる日本人ポッパーである小山田圭吾(2009年1月21日、2009年10月31日、2011年8月7日、2012年8月12日、2013年8月7日、2013年8月11日、2014年3月31日、2014年10月26日、2015年6月9日、2016年8月21日、2018年4月26日)はライヴ客演したときだとどってことないが、やはりすごい。歌とギターとテルミンの当人に、ギターと鍵盤と少しトランペットを吹いた堀江博久(2009年1月21日、2009年10月31日)、鍵盤とベースの大野由美子(2002年1月13日、2003年11月8日、2004年12月12日、2006年6月22日、2011年9月16日、2012年6月1日、2015年6月9日、2015年7月30日、2016年9月1日、2017年3月24日、2018年4月26日)、ドラマーのあらきゆうこ(2009年1月21日、2014年1月22日、2014年8月14日)という編成。そんな4人にて、音楽と映像と照明が一体化したショウが繰り広げられた。

 ステージ前方ではなくだいぶ後方に4人は並び、歌以外に発した小山田の言葉は、最後の「どうもありがとう」のみ。すべては高次元でパッケージされた実演が雄弁に音楽とその創意を語る。それで十分、それ以上なにが必要であるというのか。ぼくのなかの彼の頂点は2001年発表の『ポイント』だが、その鮮烈さは色あせていない。

▶過去の、小山田圭吾
http://43142.diarynote.jp/?day=20090121
http://43142.diarynote.jp/200911010931589797/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110807
http://43142.diarynote.jp/?day=20120812
http://43142.diarynote.jp/?day=20130807
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
http://43142.diarynote.jp/201404031700136483/
http://43142.diarynote.jp/?page=2&month=201410
http://43142.diarynote.jp/?day=20150609
http://43142.diarynote.jp/201608241301049887/
https://43142.diarynote.jp/201804271733498350/
▶︎過去の、堀江博久
http://43142.diarynote.jp/?day=20090121
http://43142.diarynote.jp/200911010931589797/
▶過去の、バッファロー・ドーター/大野由美子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200606270001320000/
http://43142.diarynote.jp/200412212058580000/
http://43142.diarynote.jp/201109171049342536/
http://43142.diarynote.jp/?month=201206
http://43142.diarynote.jp/?day=20150609
http://43142.diarynote.jp/201508051544452721/
http://43142.diarynote.jp/201609200958472477/
http://43142.diarynote.jp/201708141221583726/
https://43142.diarynote.jp/201804271733498350/
▶過去の、あらきゆうこ
http://43142.diarynote.jp/200901221504141906/
http://43142.diarynote.jp/201401251205076037/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140814

+ R+R=NOW

 鍵盤のロバート・グラスパー(2007年10月3日、2009年4月13日、2009年12月19日2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2015年6月8日、2016年12月20日、2017年6月5日)、鍵盤/ヴォコーダーとアルト・サックスのテラス・マーティン(2016年6月2日、2016年9月3日、2017年9月26日)、トランペットのクリスチャン・スコット(2008年7月23日、2008年9月10日、2009年1月31日、2009年9月15日、2010年9月3日、2011年12月17日、2015年10月8日、2016年11月1日、2017年10月31日)、電気ベースのデリック・ホッジ(2002年7月3日。2005年8月21日、2009年3月26日、2009年12月19日、2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年1月10日)、効果音のテイラー・マクフェリン(2012年3月2日、2012年2月18日、2014年9月26日)、ドラムのジャスティン・タイソン(2015年9月5日、2016年5月31日、2017年3月27日、2017年6月5日)という、今の広角型ジャズ前線に名を置く奏者たちが集ったグループ。

 オールスターなお祭り顔見せグループゆえ(もともと、オースティンのフェス”サウス・バイ・サウス・ウェスト”出演のために組まれたよう)、そんなに期待せずに見たのだが、実演は健闘していたのではないか。彼ら、プロだった。曲はそれぞれに長かったが、ただリフで突っ走るのではなく、ちゃんと起承転結が図られており、その折々で面々がソロを繰り出す。テイラー・マクフェリンは途中でお得意のヒューマン・ビート・ボックスのソロを3分ぐらいとったが、あとはほとんど見せ場がなくかわいそうだった。

▶過去の、ロバート・グラスパー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
http://43142.diarynote.jp/201506091124003170/
http://43142.diarynote.jp/201612211059578863/
http://43142.diarynote.jp/201706061756141899/
http://43142.diarynote.jp/201801042046591963/
▶過去の、︎テラス・マーティン
http://43142.diarynote.jp/201606121215168031/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
http://43142.diarynote.jp/201709271304386855/
▶過去の、クリスチャン・スコット
http://43142.diarynote.jp/200807241546500000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080910
http://43142.diarynote.jp/200902030206339619/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100903
http://43142.diarynote.jp/?day=20100903
http://43142.diarynote.jp/201112201159168538/
http://43142.diarynote.jp/201510091112494150/
http://43142.diarynote.jp/201611030803017474/
http://43142.diarynote.jp/201711020709222163/
▶過去の、デリック・ホッジ
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/?day=20090326
http://43142.diarynote.jp/200903271727246000/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201401161534392423/
▶過去の、テイラー・マクフェリン
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120302
http://43142.diarynote.jp/201409291402101328/
▶︎過去の、ジャスティン・タイソン
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/201606101027587993/
http://43142.diarynote.jp/201506091124003170/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170327
http://43142.diarynote.jp/201706061756141899/

+ティグラン・ハマシアン・トリオ
 
 アルメニア人ピアニストの実演は、例によりトリオ編成による。あれ、ハマシアン(2015年10月12日)、進歩することを避けている? この日の映像を見たら、5年前のものと言われても信じそう。昔の曲も、(たぶん)やったしね。彼はどんどんルーツを見直す過程で、プログ・ロック、メロディアス度数を強めてきたが、この日の演奏は確実に奏者間のインターブレイ性が弱くなるとともに、前回ぼくが見た公演のようなエレクトリック音の淡い使用もなし。詠唱的な歌もテーマ部で少し入れるだけ。完成度は高いのだが、ジャズ・ビヨンドのポップ・ミュージックとしても現代ジャズとしても、退化しているとしかぼくには思えなかった。とはいえ、決まり切ったことをきっちりとやることに触れて喜びを感じるプログ・ロックを愛好する聞き手なら満足を得るものだったに違いない。

▶過去の、ティグラン・ハマシアン
http://43142.diarynote.jp/201409291402101328/

+ハービー・ハンコック and His Band
 バンド員は、ジェイムス・ジナス(2012年1月13日、2012年3月3日 、2013年9月3日、2014年9月7日、2015年3月3日、2017年9月12日)、トレヴァー・ローレンス(2012年3月3日、2016年9月3日、2017年9月26日)、リオーネル・ルエケ (2002年7月3日、2005年8月21日、2007年7月24日、2012年3月3日、2014年9月7日、2016年2月22日 、2017年9月2日)、そしてテラス・マーティン(2016年6月2日、2016年9月3日、2017年9月26日)。2年前の同公演にルエケが加わった陣容と言えますね。面々は、山本耀司の衣服を身につけていたよう。

 ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日)の新作はマーティンのプロデュースという話が流れて2年強たつが、一切音沙汰なし。それについてはボツになったのかとも思っていたのだが……。そしたら、御大は「次作のメインのプロデューサー」とマーティンのことを紹介。お、牛歩ながら、プロジェクトは生きていたのか。そして、今回のショウはずっと同じことをやってきていたハンコック・グループのそれから結構動く、要は新作の内容を示唆する曲(おそらく、未発表)をいろいろやってくれた。

 まず、リズムがいい。ティグランのところのドラマーのグルーヴのない演奏の後だと、同じ手数多い型ながらローレンスのそれはすがりつきがいがある。とともに、ペラ男タイプのソロ演奏は勘弁となるが、それ以外ではぶっとい韻を踏むジナスの指さばきには唸る。そこに、テイラーはアルト・サックス音やヴォコーダー音を加えるのだが、とくに1曲目のアルトのソロには少し驚く。爆発感とひらめきがあって、R+R=NOWの際のソロよりずっといい。見直した。

 リエケも先の彼のコットンクラブ公演でやっていたようにヴォイス加工のもと歌ったり、エフェクターを通した上でソロをとるが、それがふわりとアフリカ感覚をにじませるもので、それは新作の要点となるのかもしれないと思った。

 総体は強靭なグルーヴあるビートを元に、結構いろんな仕掛けがなされ、ストーリー性を持つ流れのもと各人のソロ・パートが持たれるが、ハンコックはソロの場合はけっこうアコースティック・ピアノを弾いた。そして、それは跳ね返り気味で、過去の繰り返しをさけようという意思も見えた。いや、なんか新作期待できるな。

 そして、終盤の「バタフライ」では、昼の部に出演したロバート・グラスパーも登場。多分出るなと思っていたが、そりゃ今でも散々ハンコックのヘッドハンターズ曲を素直にやっているグラスパーとしては誘われたら断る理由がないだろう。そしたら、二人はベタな小芝居(ハンコックがローズの前に座わりソロを取ろうとするグラスパーをピアノで邪魔し、これじゃ弾けんとグラスパーがステージをさろうとするという様に、ぼくはには見えた)までやった。ひゃは。

▶過去の、ハービー・ハンコック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
▶過去の、ジャイムス・ジナス
http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/ ハービー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/201309051241384602/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/ ハービー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/201503041619591535/
http://43142.diarynote.jp/201709130923483891/
▶︎過去の、トレヴァー・ローレンス
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/ ハービー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/ ハービー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/201709271304386855/ テラス・マーティン
▶過去の、リオーネル・ルエケ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm テレンス・ブランチャード
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/ テレンス・ブランチャード
http://43142.diarynote.jp/200708051737070000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/ ハービー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/ ハーボー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/201602290950397465/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶過去の、︎テラス・マーティン
http://43142.diarynote.jp/201606121215168031/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
http://43142.diarynote.jp/201709271304386855/

<今日の、他愛ないこと> 
 昼の部と夜の部の間、ホールから一番近い、バブル期のころはぶいぶい言わせていた飲食企業の3店舗が入っているビルに入る。そしたらすいているものの、従業員が少なくこちらに手が回らずずっとオーダーを取ってくれない。でもって、イタリアンなのにワインのボトル売りはなしで、クラスでしか販売しないというのは、どうしたことか。栄枯盛衰という言葉が思い浮かぶ(そのチェーンは深夜営業を売りにしていたが、それをやめた張り紙もなされているのを、帰り際に知る)。
 夜の部が終わり、どこかに流れようかとちんたら歩いていたら、急に豪雨。思わず、さっき入ったビルの別の店に入る。そしたら、夕方前にはいったお店の女の子がいる。先ほどは人員補充のヘルプで初めて下の店でサーヴィスしていたのだという。愛想よく、ちゃんと接客のできる娘。で、同行者たちと彼女はいくつかという、失礼な話題になる。結構、予想が散りました。そしたら帰りがけに、同行者の一人が幾つと尋ねる。慌てる。いやー、紳士ぶるのが得意(?)なぼくにはそれはできない。彼女の答えは、ぼくの想像が一番近かった。

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