今年トップ級に尊いアナログ2枚組奇特盤『円谷幸吉と人間』(レフトサイド)を出した花咲政之輔(2021年3月1日)率いる太陽肛門スパパーン、そのレコード発売をフォロウするライヴ(2度目となるよう)を見る。音部屋スクエア高田馬場。

 ステージがそれなりに広い会場で、奏者たちがずらりあがる。以下、ネットに出ている構成員をコピペする。ヴォーカル、ギター、ピアノ、ラップの花咲政之輔(2021年3月1日I)に加えて、アルト・サックスの林栄一(2004年10月10日。2005年12月20日。2009年7月19日、2011年6月23日、2016年9月27日、2018年4月8日。彼の申し出でゲスト入りしたようで、全曲で加わった)、ノイズと少し声のヘアスタイリスティックスaka中原昌也(2005年4月26日)、ドラムの藤井信雄(2001年9月21日、2004年8月12日、2011年7月31日、2014年4月3日、他)、ソプラノ・サックスとトロンボーンとラップの中尾勘二( 2005年11月28日)、エレクトリック・ベースの中條卓(2000年7月29日、2001年12月9日、2001年12月22日、2003年6月22日、2007年1月26日,2010年1月12日、2012年10月10日、2014年9月2日、2015年10月3日、2016年11月18日、2019年5月21日)、ドラムの若杉大吾、ギターの平井庸一(2021年3月1日)、ギターとコーラスと制作の安田マッスル善貴、ダブル・ベースと制作の溝辺隼巳、コーラスと鍵盤と制作のこばゆみ、トランペットとフリューゲルホーンのMr.ラマーズ、トランペットの加藤直喜(2013年2月3日、2014年1月18日)、トランペットの関口綾華、リードとフルートの旧橋壮、トロンボーンの高橋保行(2006年7月3日、2010年1月9日、2012年7月1日、2017年1月9日、2017年9月13日)、ベース・トロンボーンの小泉邦男、コーラスとヴァイオリンの門平卓也、チェロの三木哲、ヴィジュアルと制作の楫野裕、パフォーマンスと制作の野崎芳史、パフォーマンスのvoid、パフォーマンスのアラレ王、パフォーマンスの小池野豚、制作の吉田王子(制作)。

 まず、開演時間17時半ちょいに花咲政之輔が一人出てきて、何故に我は新作を作り、太陽肛門スパパーンというバンドを組んでいるかというのをまっすぐに、少しとっちらかりつつ話す。そこには、バカヤロー精神と諧謔が入る。

 彼は上尾出身で、その高校時代だかには友達とフォーク(かぐや姫の曲をやっていたという発言もあったか)をやっていて、そのときの3人(と言ったか?)、花咲、安田、門平の3人(2生ギター、ヴァイオリン)でフォーク調のものを2曲やる。朗々とした歌声、1曲はカヴァーと言っていたような気がするが、コード進行はしみったれない広がりを持つもので、フォーク嫌いのぼくでも平気だった。

 そして、大型バンド・セットに移る。出てきた6割の男性奏者たちはそのビリーフ姿(花咲をはじめ、ステージ上で服を脱ぐぬぐ者も何人もいる)。わあ、これは変というか、酔狂。肌を出さない奏者のなかでは白い割烹着と白い帽子をつけた者もいる。それ、当初は女性奏者のいでたちであったようであり、ブリーフ姿をするのはグループ結成時からの流儀のようだが。

 そして演奏が始まれば、イロものとはまったく離れる、あまりに立派な音楽ジャンル横断性〜一番ジャズ語彙は用いられるか〜や歌心や独創性を持つ鋭敏な大型集団表現が百花繚乱という感じでぐいぐいと押し出される。イエイ、にならないはずがない。いやあ、みんな立派、あっぱれ。複雑怪奇な曲が鮮やかに開かれていく。新作の中で異彩を放つファンキーきわまりないラップ曲「東京おらんピック」も十全に繰り出され、身体が揺れる。そのとき、林栄一がとてもうれしそうな笑顔を見せていたなあ。それらの集団表現において効いていたのはコーラス陣。あと、中尾の寄れたサックス・ソロや情実ラップにおける実力者ぶりも印象に残ったし、高橋だけは他の管ソロの際に合いの手音を入れていたのだが、それも良い印象を残した。藤井の演奏も何気に格好良かったなあ。あ、ブルース曲での花咲のピックを使わないギター・ソロは風情があった。

 曲によっては、ステージ前と客席の間のスペースにパフォーマーたちが出てきてふりをつけたり舞踏したり寸劇したり、パンクな所作を行ったり。わはは。こういう記載を見て、渋さ知らズ((2004年9月1日、2005年12月22日、2006年1月14日、2006年1月21日、2006年8月27日、2006年11月15日、2006年12月1日、2007年1月13日、2007年6月3日、2007年6月13日、2008年7月6日、2009年7月26日、2009年9月27日、2010年4月22日、2010年9月19日、2013年5月19日、2015年6月15日、2015年11月23日)のことを思い出す人もいるかもしないが(フェスとかで一緒になったことなくはなさそう)、スパパーンのほうが希少性があり、もっと吹っ切れているのは間違いない。露悪的すぎると思わなくもないが、それも表現の自由を貫く所作。しょーもねえ常識なんてあっちへほい、なのだ。

 休憩あり。その際、長野フェスから戻ってきたという中原昌也が装置(コントローラーとアナログ・シンセサイザーが並べられていたか)をセッティング。彼の10分強のソロ・パフォーマンスから2部は始まり、その後は彼も集団表現に加わる。

 最終曲は、チャールズ・ミンガスの祭祀的グルーヴィ・チューンである「ベター・ギット・イット・イン・ユア・ソウル 」。これは全員がソロ・パートを与えられ、花咲はランダムに思うまま奏者を指定して、総体をコントロールしていく。普通、これだけ人数がいて宴もたけなわになると一人ぐらいはソリスト指定を飛ばされてしまったりもするところだが、花咲はそんなことはなかった。クール! そうしたところにも、彼の秀でたリーダーとしてのあり方は出ていたはずだ。意外にサクサク進んだようだが、終演は21時を回っていた。

▶︎過去の、花咲政之輔
https://43142.diarynote.jp/202103031127296987/
https://43142.diarynote.jp/202108061030345477/
▶︎過去の、林栄一
http://43142.diarynote.jp/?day=20041010
http://43142.diarynote.jp/200512231956580000/
http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
http://43142.diarynote.jp/201107020946473690/
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/
https://43142.diarynote.jp/201804090916338526/
▶︎過去の、ヘアースタイリックス
https://43142.diarynote.jp/200504301042210000/
▶過去の、藤井信雄
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm
http://43142.diarynote.jp/200408120238330000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110505
https://43142.diarynote.jp/201404050818444425/
▶︎過去の、中尾勘二
https://43142.diarynote.jp/?day=20051128
▶︎過去の、中条卓
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm シアターブルック 7.29フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm シアターブルック+マルコス・スザーノ12/22
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/?day=20070126 OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/201001131101085950/ blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201210111837516874/ OKI DUB AINU BAND
http://43142.diarynote.jp/?day=20140902 blues.the-butcher-590213
http://43142.diarynote.jp/201510051403147675/ シアターブルック
http://43142.diarynote.jp/?day=20161118
https://43142.diarynote.jp/201905220902467859/
▶︎過去の、平井庸一
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▶︎過去の、加藤直喜
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▶︎過去の、高橋保行
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703  藤井オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/201001101203088126/ 藤井オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/201207031354584120/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170109 藤井オーケストラ東京
http://43142.diarynote.jp/201701191853162223/ TNT
https://43142.diarynote.jp/201709141146381271/藤井オーケストラ東京
▶過去の、不破大輔/渋さ知らズ
http://43142.diarynote.jp/200407290730290000/
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http://43142.diarynote.jp/200512231958440000/
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http://43142.diarynote.jp/201711241828493970/
https://43142.diarynote.jp/201804290935481570/

<今日の、あらら〜>
 4日連続で、JR山手線に乗ったよー。普段JRってあまり乗らないので、こんなことはもうぼくの人生でないだろう。どうでもいいことだが、ぼくは山手線ゲームをやったことがない。

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