ブルーイ“シトラス・サン”。クリス・ボッティ
2015年7月9日 音楽 まず、南青山・ブルーノート東京で、インコグニート(2002年12月20日、2006年9月3日、2011年3月31日)を率いる温故知新派ギタリストのソロ・プロジェクトを見る。前回のブルーイの来日公演も個人名を立てたショウ(2013年6月17日)だったが、今回はインスト中心でラテン的な揺れを介そうともするプロジェクト名を出してのものとなる。そしたら、実際はヴォーカル曲も多く、インコグニートのメンバーを主体とする気の置けない仲間たちといろんなことを屈託なくやろうとしたものなり。
管楽器はトランペット奏者のみで、全9人にてパフォーマンス。『シトラス・サン』のアルバムにも参加していた元ガリアーノのヴァレリー・エティエンヌ(2008年5月9日)に代わり初来日だそうな女性歌手のスリーン・フレミング以外は、2013年公演と同じ顔ぶれなり。
ただし、今回はそこにブルーイが現在応援しているポルトガル人ギタリストであるフランシスコ・サレスが加わり、3ギターで表現にあたる。基本ジム・マレン(2002年5月21日、2004年4月19日、2005年2月17日、2006年3月8日、2007年3月8日、2013年6月17日)がリード・ギターをフィンガー・ピッキング で弾き、ブルーイとサレスは刻みのほうを担う。実際は2人いればOKという音楽構成を持つ表現なので、ブルーイはギターを置いてシェイカーをふったり、リード・ヴォーカルを取ったりもする。2曲だったかのそれ、実に堂々と歌うようになったなと少し驚く。猫なで声でなくなっていて、ちゃんとヴォーカル・トレイニングを受けるようになったのか。それは、性格の良さと相乗するもので、聞いていて悪い気はしない。
▶過去の、インコグニート/ブルーイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/201104041101072561/
http://43142.diarynote.jp/201306190743528192/
▶過去の、ジム・マレン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm 5月21日
http://43142.diarynote.jp/200404190049350000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050217
http://43142.diarynote.jp/200603100921150000/
http://43142.diarynote.jp/200703101608130000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130617
▶過去の、ヴァレリー・エティエンヌ
http://43142.diarynote.jp/200805110825440000/
その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、米国人気トランペッターの実演を見る。彼のプロダクツはスティング(2000年10月16日。エスタブリッシュされてから、ボッティはスティングのバンドに一時入ったことがある)やジャキス・モレレンバウム(2005年5月23日、2005年7月24日、2008年8月22日、2014年8月3日)他、才人がいろいろと入っているが、今回のバンドにも名手が入っていて、それがボッティ流のスムース・ジャズ調表現にどう組み込まれるのかというのが、ぼくの一番の興味だった。
同行奏者やシンガーは出たり入ったりし、いろんな単位のもと、「アランフェス」からジャズ・スタンダード、バカラック曲(「ルック・オブ・ラヴ」だったが、リズム・アレンジが凝ったものだったな)まで、いろんな属性を持つ曲が披露される。本人にくわえ、歌手2、ヴァイオリン、ギター、ピアノ、キーボード、縦/電気ベース、ドラムという陣容にて。さすが、みんな上手い。仕掛けもいろいろと見られるが、譜面を置いている人は誰もおらず、きっちり準備されたことをやっているのも、すぐに了解した。やっぱ、マジな米国人は腕がたつ。先のブルーイのバンドだってロンドン在住の好奏者を集めているはずだが、続けて聞くと米国音楽界の大きさを思い知らされる。
事前にぼくが気になった参加者は、ピアノのジェフリー・キーザー(2005年1月18日、2006年9月17日)やドラムのリー・ピアソン(2010年2月22日)やシンガーのサイ・スミス。ピアソンの芸達者で視覚的にも楽しいドラム・ソロにはほう。ぼくが過去みたなかでも、これはトップ級にアトラクティヴかもしれない。3曲は大々的にフィーチャーされたスミスの歌声、技量、物腰にもおおいに魅了される。何枚ものリーダー作を持つR&B歌手で、2000年代上旬に一時ザ・ブラン・ニュー・ヘヴォーズ(1999年8月2日、2010年2月22日、2013年9月18日、2014年10月23日)に入ったりもした人だが、聞き手にしっかりと働きかける力を持っている、こんなに魅力的な歌手とは思わなかった。ぼくの頭のなかにしっかり登録しよう。たっぷりと歌うもう一人のジョージ・コムスキーという男性歌手は、短いオペラ調の曲のためでけに同行させたみたいだ。
確かボッティは1926年に作られたマーティンのトランペットを大切に使っているはずだが、あんなエコーをかました1本調子の音色なら、ヴィンテージ・モデルが泣くな。うーむ、技量はやはり滅茶長けているという感じはバリバリなのだが、どうして奏者の繊細な息づかいや表情を完全にスポイルする音色を彼は平然と採用するのか。分らなさすぎる。各曲は結構いろんなクォーテイションあり。うち「ソー・ホワット」、「ブラック・サテン」や「ツツ」などマイルズ・デイヴィス絡みのものも少なくなく、ボッティの底にはデイヴィスがいるのを再確認させられもした。
お子様向けエンターテインメント設定を繰り出す場面はちょっと鼻につくが、米国音楽シーンの豊かな積み重ねを下敷きにする、お金のとれるショウであったのは間違いない。堂々、90分の尺なり。
▶過去の、スティング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
▶過去の、モレレンバウム
http://43142.diarynote.jp/200506021846130000/
http://43142.diarynote.jp/200507281000160000/
http://43142.diarynote.jp/200808221741070000/
http://43142.diarynote.jp/201403131302032810/
▶過去の、ジェフ・キーザー
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060917
▶過去の、リー・ピアソン
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
▶過去の、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/201309201841355632/
http://43142.diarynote.jp/201410251056112035/
<今日の、偶然>
今晩、見た出演者は、ともに9人の編成。割り切れない奇数のほうがグループ表現は引っかかりや予期せぬ深みが出るとインタヴューした際に力説したミューシャンがいたけど、誰だったっけ?
管楽器はトランペット奏者のみで、全9人にてパフォーマンス。『シトラス・サン』のアルバムにも参加していた元ガリアーノのヴァレリー・エティエンヌ(2008年5月9日)に代わり初来日だそうな女性歌手のスリーン・フレミング以外は、2013年公演と同じ顔ぶれなり。
ただし、今回はそこにブルーイが現在応援しているポルトガル人ギタリストであるフランシスコ・サレスが加わり、3ギターで表現にあたる。基本ジム・マレン(2002年5月21日、2004年4月19日、2005年2月17日、2006年3月8日、2007年3月8日、2013年6月17日)がリード・ギターをフィンガー・ピッキング で弾き、ブルーイとサレスは刻みのほうを担う。実際は2人いればOKという音楽構成を持つ表現なので、ブルーイはギターを置いてシェイカーをふったり、リード・ヴォーカルを取ったりもする。2曲だったかのそれ、実に堂々と歌うようになったなと少し驚く。猫なで声でなくなっていて、ちゃんとヴォーカル・トレイニングを受けるようになったのか。それは、性格の良さと相乗するもので、聞いていて悪い気はしない。
▶過去の、インコグニート/ブルーイ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/201104041101072561/
http://43142.diarynote.jp/201306190743528192/
▶過去の、ジム・マレン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm 5月21日
http://43142.diarynote.jp/200404190049350000/
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http://43142.diarynote.jp/200703101608130000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130617
▶過去の、ヴァレリー・エティエンヌ
http://43142.diarynote.jp/200805110825440000/
その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、米国人気トランペッターの実演を見る。彼のプロダクツはスティング(2000年10月16日。エスタブリッシュされてから、ボッティはスティングのバンドに一時入ったことがある)やジャキス・モレレンバウム(2005年5月23日、2005年7月24日、2008年8月22日、2014年8月3日)他、才人がいろいろと入っているが、今回のバンドにも名手が入っていて、それがボッティ流のスムース・ジャズ調表現にどう組み込まれるのかというのが、ぼくの一番の興味だった。
同行奏者やシンガーは出たり入ったりし、いろんな単位のもと、「アランフェス」からジャズ・スタンダード、バカラック曲(「ルック・オブ・ラヴ」だったが、リズム・アレンジが凝ったものだったな)まで、いろんな属性を持つ曲が披露される。本人にくわえ、歌手2、ヴァイオリン、ギター、ピアノ、キーボード、縦/電気ベース、ドラムという陣容にて。さすが、みんな上手い。仕掛けもいろいろと見られるが、譜面を置いている人は誰もおらず、きっちり準備されたことをやっているのも、すぐに了解した。やっぱ、マジな米国人は腕がたつ。先のブルーイのバンドだってロンドン在住の好奏者を集めているはずだが、続けて聞くと米国音楽界の大きさを思い知らされる。
事前にぼくが気になった参加者は、ピアノのジェフリー・キーザー(2005年1月18日、2006年9月17日)やドラムのリー・ピアソン(2010年2月22日)やシンガーのサイ・スミス。ピアソンの芸達者で視覚的にも楽しいドラム・ソロにはほう。ぼくが過去みたなかでも、これはトップ級にアトラクティヴかもしれない。3曲は大々的にフィーチャーされたスミスの歌声、技量、物腰にもおおいに魅了される。何枚ものリーダー作を持つR&B歌手で、2000年代上旬に一時ザ・ブラン・ニュー・ヘヴォーズ(1999年8月2日、2010年2月22日、2013年9月18日、2014年10月23日)に入ったりもした人だが、聞き手にしっかりと働きかける力を持っている、こんなに魅力的な歌手とは思わなかった。ぼくの頭のなかにしっかり登録しよう。たっぷりと歌うもう一人のジョージ・コムスキーという男性歌手は、短いオペラ調の曲のためでけに同行させたみたいだ。
確かボッティは1926年に作られたマーティンのトランペットを大切に使っているはずだが、あんなエコーをかました1本調子の音色なら、ヴィンテージ・モデルが泣くな。うーむ、技量はやはり滅茶長けているという感じはバリバリなのだが、どうして奏者の繊細な息づかいや表情を完全にスポイルする音色を彼は平然と採用するのか。分らなさすぎる。各曲は結構いろんなクォーテイションあり。うち「ソー・ホワット」、「ブラック・サテン」や「ツツ」などマイルズ・デイヴィス絡みのものも少なくなく、ボッティの底にはデイヴィスがいるのを再確認させられもした。
お子様向けエンターテインメント設定を繰り出す場面はちょっと鼻につくが、米国音楽シーンの豊かな積み重ねを下敷きにする、お金のとれるショウであったのは間違いない。堂々、90分の尺なり。
▶過去の、スティング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
▶過去の、モレレンバウム
http://43142.diarynote.jp/200506021846130000/
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http://43142.diarynote.jp/201403131302032810/
▶過去の、ジェフ・キーザー
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060917
▶過去の、リー・ピアソン
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
▶過去の、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://43142.diarynote.jp/201002280939559070/
http://43142.diarynote.jp/201309201841355632/
http://43142.diarynote.jp/201410251056112035/
<今日の、偶然>
今晩、見た出演者は、ともに9人の編成。割り切れない奇数のほうがグループ表現は引っかかりや予期せぬ深みが出るとインタヴューした際に力説したミューシャンがいたけど、誰だったっけ?
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