いろんな意味でスーパーなジャズ・トランペッター(2005年6月5日、2006年11月3日、2011年3月28日、2011年7月25日、2011年9月2日 、2013年9月22日、2014年4月4日)が、熟達した米国人ジャズ・マンと重なる公演。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 近年なにかと日本人奏者とやる頻度が高かった日野皓正が本場の第一線で活動する奏者たちの“土台”でどうふるまうか。また、経験豊富な米国人サイド・マンたちは“スーパー・マン”の奮闘にどう鼓舞されるのか。それを目の当たりにしたかった。

 4人が協調。ピアノのジョン・ビーズリー(2011年12月8日、2014年5月28日)、ベースのジェイムス・ジナス(2012年1月13日、2012年3月3日 、2013年9月3日、2014年9月7日)、ドラムのジェフ・テイン・ワッツ(2007年12月18日、2010年10月21日、2012年1月13日)。そして、ギタリストはブルーノートやコンコード・ジャズ他にリーダー作を残すジョン・ハート。ビーズリーとジナスとワッツは、先週のグレゴア・マレ(2004年9月7日、2006 年9月3日、2007年12月13日、2009年3月18日、2011年5月5日、2013年5月31日、2015年3月3日、2015年3月4日)の東京公演のサポートを務めた人たち。3人はマレとのジャワ・ジャズ(2012年3月2〜4日)出演のあと、また東京に立ち寄ってのギグだ。そういえば、日野はカンボジアから、昨日の朝に東京に着き、そのままこのリハーサルにのぞんだとMCで言っていた。

 1961年ヴァージニア州生まれのジョン・ハートはマイアミ大学卒(現在はマイアミに居住するよう)のかなりまじめそうな白人奏者。一般的にギタリストはオルガン奏者と重なる仕事も多いが、ジャック・マクダフとの活動歴は長く、また在米オルガン奏者の敦賀明子(2012年3月7日)の2014年作にも彼は参加している。そんな彼のトリオ録音の『Unit 1』(Wavetone)はジョン・スコフィールドの“ウーバー・ジャム”系の手触りもちょい持つアルバム。そいういえば、ジョン・スコフィールド(1999年5月11日、2001年1月11日、2002年1月24日、2004年3月11日、2006年3月1日、2007年5月10日、2008年10月8日、2009年9月5日、2012年10月10日、2013年10月21日)は1970年代下半期に日野のグループに入っていた。彼の初リーダー作レコーディングは、1977年に日野兄弟関与のもと東京で録ったんだよね。

 即席バンドだし、スタンダードもやるのかなと思えば、演奏したのはなんとグルーヴィな日野のオリジナル曲。素晴らしいっ。リフも爽快なオープナーは彼がネルソン・マンデラ釈放のニュースを見て書いたという「フリー・マンデラ」。その曲が収録された1991年作『フロム・ザ・ハート』(東芝EMI)には、ジョン・ハートが入っている。そして、以下ワザありメロディアス曲「スウィート・ラヴ・オブ・マイン」、私の考えるブルース・ビヨンド曲「ブルーストラック」、ニューオーリンズ要素のイケてる咀嚼曲「ヒューゴ」は、マイケル・カスクーナ制作の『ブルーストラック』(ブルーノート、1990年)の収録曲。スコフィールドは同作でも、弾いている。また、1曲は日野ぬきで、4人はセロニアス・モンクの「アスク・ミー・ナウ」を演奏した。各曲、ソロは構成を計ったうえで、きっちり回す。

 立った質感のもと、今を闊歩する感覚を持つ、質量感にも満ちたアコースティック・ジャズを展開。胸がすいた。やっぱり、日野はジャズ・マンとして破格なものを持つとしか言いようがないな。本能や閃きといい、蓄積といい、ワザといい……。もっと曲をやりたそうだった彼、セカンド・ショウはもっと長くなると言っていた。確かに、かつてセカンド・ショウで2時間やったことあったもんな。

 しかし、日野は自由人。自分がソロを取っていない時の落ち着きのないこと。タガが外れたようなとりとめもない彼のMCにワッツとジナスは顔を合わせて、笑いっぱなし。この晩はダブル・ベースだけを弾いたジナスは菊地雅章(1999年11月3日(2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日)と日野の再邂逅作『トリプル・ヘリックス』(東芝EMI、1993年)で弾いているのか。

▶過去の、日野
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▶過去の、ジョン・ビーズリー
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▶過去の、ジャイムス・ジナス
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▶過去の、ジャフ・テイン・ワッツ
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▶過去の、グレゴア・マレ
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▶過去の、ジョン・スコフィールド
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm 1.24
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▶過去の、菊地雅章
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<今日の、銀行>
 昨日の本欄で書いた事故を受け、通帳を受け取りに、最寄りのみずほ銀行に行く。だいぶ待たされた(45分)というのはともかく、驚愕したことが一つ。待合席においてある雑誌が、すべて女性向けのものであること。当然、男性客も多いのに、これはどうしたことか。お客用の雑誌を用意させられる下っ端の女性(なんだと、思う。それで、女性向け雑誌ばかりが用意されるのだと推測する)の気配りのなさと、そのあまりな不都合をチェックできない上の人間の能力欠如ぶりに、絶望的な気持ちになる。そうした旧態依然な上っ面のココロのない顧客サーヴィスが続けられている様は異常と言わずして、なんと言う? よく潰れずに、のうのうと商売が続けられているものだ。って、ツブれられたら困るけど。

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