映画「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」
2021年3月19日 音楽 低周波音が中心となる、8時間もの睡眠のための音楽を作ってしまう。そして、実際に深夜から始まり朝までそれを実演する公演を持ち(思って以上に演奏する側はハードという発言あり)、場内には入場者分の指定席ならぬ、指定ベッドを並べる。さあ、お客さんは思うまま良きにふるまって……。そんな酔狂な出し物をやっっている人物の名前は、マックス・リヒターという。彼は1966年ドイツ生まれ、英国育ちの作曲家/ピアニスト/キーボード奏者だ。
ヒューマントラストシネマ渋谷で、ポスト・クラシカル/今様ニュー・エイジ・ミュージックの実力者であるマックス・リヒターを扱う2019年英ドキュメンタリー映画「Sleep マックス・リヒターからの招待状」を見る。原題は、「Max Richter‘s Sleep」。もともとその長尺の音源は2015年に独グラモフォンから発表され、70分の短縮版もリリースされている。
監督は南ア生まれで英国で活動する、ドキュメンタリー畑の映像クリエイターであるナタリー・ジョンズ。当初はリヒターの最大の理解者で、彼との間に生まれた3人の子供の母親でもあり自ら映像作品を作っているユリア・マール(ハンガリー出身であるという)が自分で映像を撮り貯めていたが、子育てとの両立が難しく、彼女がジョンズに映画作りを依頼をしたという。映画ではシドニーのオペラハウス、アントワープの聖母大聖堂、さらにパリ、ベルリン、ニューヨークでの公演映像も少し使われているようだが、それはマールが撮ったもので、その会場探しもマールがしている。
柱となるのは、ロサンゼルスのダウンタウンにある市庁舎前から3ブロック分縦長に広がるグランド・パークで行われた「Sleep」のショウ。なんと野外公演で、設置された(簡易)ベッドの数もけっこう多そう。当人も、映画の中で一番規模がデカいと言っている。ぼくの感覚では深夜にここら辺を歩く気にはなれないところだが、万全の警備体制のもと公演は行われたのか。それとも、だいぶ安全になったのか。ともあれ、市民憩いの場たるこの公園では普段からいろいろな催しがなされているようだ。昨年春までは。
5人の弦楽器奏者やヴォーカリーゼの女性シンガーを擁するステージの模様を映すとともに、客席側の様もいろいろとカメラは追う。ピアノを弾くリヒターの隣には、ラップトップが2台置かれてもいる。なるほど、この客席にいたとしたなら、オレは……とか考えさせられたりもし、公演の追体験はできるか。とはいえ、99分の映画はその野外公演を全面的に伝えるものではない。コンサート映像にリヒターとマールの話がよくインサートされるし、監督や関係者や観客の話もときに入る。また、映画の途中には風景を追った映像にステージ音を重ねた環境ヴィテオのごとき部分もある。また、夫婦の話は二人の出会いや、過去の苦労話(彼はたくさんの映画音楽も手掛けているが、それは収入を得るためで、それで稼いで自分の好きなことをやるという率直な発言もアリ)、マールが撮ったのだろう家族団欒の風景も入る。リヒターはアナログ・シンセサイザーのマニアで、家一軒分の値段というそれを操る場面もあり。少し間口を広げすぎかな。とにかく、リヒターとマールがお互いのことを臆面も讃えあっていて、ごちそうさま。この映画を、夫婦追随物語にするという指針もあったのだろうか。
試写の頭で、リヒター夫妻の試写会観客に向けての短い映像が流される。昨年の日本公演はCovid19蔓延によりキャンセルになったのか。なんか、とってもいい人そうで驚いた。ヒネたところがなく、とても無垢。そんな彼の2020年作『Voices』(Decca)は変則編成オーケストラと歌声の波といろんな人による世界人権宣言の朗読を合わせる曲もある。リヒターって何気に言葉好きだな。映画は、今月26日から公開される。
<今日の、だめだめ>
試写は、ちょうど20時に終わる。あぁどこか寄りたいと思ったが知っているお店はこの時間は閉店だ。しょうがねえ、まっすぐ帰宅じゃ。来週からは飲食は21時閉店になるのかな。寒くないし、歩いて家まで帰ろうかと思ったが、根性なしで駅に降りちゃう。でも、一駅乗ってからの、家までの5分の道のりは徒労を覚えトホホ。案の定、電車はけっこうな混み様。感染者300人代が続くなか、新たな対策を示すことなく来週からは規制緩和か。あ“〜あ。
ヒューマントラストシネマ渋谷で、ポスト・クラシカル/今様ニュー・エイジ・ミュージックの実力者であるマックス・リヒターを扱う2019年英ドキュメンタリー映画「Sleep マックス・リヒターからの招待状」を見る。原題は、「Max Richter‘s Sleep」。もともとその長尺の音源は2015年に独グラモフォンから発表され、70分の短縮版もリリースされている。
監督は南ア生まれで英国で活動する、ドキュメンタリー畑の映像クリエイターであるナタリー・ジョンズ。当初はリヒターの最大の理解者で、彼との間に生まれた3人の子供の母親でもあり自ら映像作品を作っているユリア・マール(ハンガリー出身であるという)が自分で映像を撮り貯めていたが、子育てとの両立が難しく、彼女がジョンズに映画作りを依頼をしたという。映画ではシドニーのオペラハウス、アントワープの聖母大聖堂、さらにパリ、ベルリン、ニューヨークでの公演映像も少し使われているようだが、それはマールが撮ったもので、その会場探しもマールがしている。
柱となるのは、ロサンゼルスのダウンタウンにある市庁舎前から3ブロック分縦長に広がるグランド・パークで行われた「Sleep」のショウ。なんと野外公演で、設置された(簡易)ベッドの数もけっこう多そう。当人も、映画の中で一番規模がデカいと言っている。ぼくの感覚では深夜にここら辺を歩く気にはなれないところだが、万全の警備体制のもと公演は行われたのか。それとも、だいぶ安全になったのか。ともあれ、市民憩いの場たるこの公園では普段からいろいろな催しがなされているようだ。昨年春までは。
5人の弦楽器奏者やヴォーカリーゼの女性シンガーを擁するステージの模様を映すとともに、客席側の様もいろいろとカメラは追う。ピアノを弾くリヒターの隣には、ラップトップが2台置かれてもいる。なるほど、この客席にいたとしたなら、オレは……とか考えさせられたりもし、公演の追体験はできるか。とはいえ、99分の映画はその野外公演を全面的に伝えるものではない。コンサート映像にリヒターとマールの話がよくインサートされるし、監督や関係者や観客の話もときに入る。また、映画の途中には風景を追った映像にステージ音を重ねた環境ヴィテオのごとき部分もある。また、夫婦の話は二人の出会いや、過去の苦労話(彼はたくさんの映画音楽も手掛けているが、それは収入を得るためで、それで稼いで自分の好きなことをやるという率直な発言もアリ)、マールが撮ったのだろう家族団欒の風景も入る。リヒターはアナログ・シンセサイザーのマニアで、家一軒分の値段というそれを操る場面もあり。少し間口を広げすぎかな。とにかく、リヒターとマールがお互いのことを臆面も讃えあっていて、ごちそうさま。この映画を、夫婦追随物語にするという指針もあったのだろうか。
試写の頭で、リヒター夫妻の試写会観客に向けての短い映像が流される。昨年の日本公演はCovid19蔓延によりキャンセルになったのか。なんか、とってもいい人そうで驚いた。ヒネたところがなく、とても無垢。そんな彼の2020年作『Voices』(Decca)は変則編成オーケストラと歌声の波といろんな人による世界人権宣言の朗読を合わせる曲もある。リヒターって何気に言葉好きだな。映画は、今月26日から公開される。
<今日の、だめだめ>
試写は、ちょうど20時に終わる。あぁどこか寄りたいと思ったが知っているお店はこの時間は閉店だ。しょうがねえ、まっすぐ帰宅じゃ。来週からは飲食は21時閉店になるのかな。寒くないし、歩いて家まで帰ろうかと思ったが、根性なしで駅に降りちゃう。でも、一駅乗ってからの、家までの5分の道のりは徒労を覚えトホホ。案の定、電車はけっこうな混み様。感染者300人代が続くなか、新たな対策を示すことなく来週からは規制緩和か。あ“〜あ。