いまだに強い生命線と影響力を持つアフロ・ビートのオリジネイターのフェラ・クティの末息子で、その最たる表現継承者であるシェウン・クティ(2007年10月25日、2009年7月25日、2009年7月26日、2012年7月27日、2018年7月31日)&エジプト’80の公演を見る。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 シェウン・クティ(ヴォーカル、アルト・サックス、キーボード)、アディドイン・アディフォラリン(トランペット)、オラディメジ・アキネリ(トランペット)、アデボワレ・オスンニブ(バリトン・サックス)、オジョ・サミュエル・デイヴィッド(テナー・サックス)、デイヴィッド・オバニエド(ギター)、アキン・バミデレ(ギター)、クンレ・ジャスティス(ベース)、シーナ・ニラン・アビオドゥン(ドラムス)、コーラ・オナサンヤ(ジャイアン・トコンガ)、ウェイル・トリオラ(パーカッション)、オーコン・イヤンバ(シェケレ)、ジョイ・オパラ(ヴォーカル、ダンサー)、イヤボ・アデニラン(ヴォーカル、ダンサー)とう陣容。音楽ディレクターと紹介されたのは、ギターのデイヴィッド・オバニエド。一人のギターが新しい奏者に代わった以外は昨年来日と同じ顔ぶれだ。年寄りには見えない人も多く、父親が率いて時代からのエジプト80からはかなり構成員が代わっているのは間違いない。

 昨年よりも、音が太く、疾走感を増していると感じたのには驚いた。昨年の毎日新聞の公演評で、「すべてのヴェクトルが正」と褒めているが、それをはるかに上回る花丸の所感を得てしまったじゃないか! ライヴ・リポートの体を取る、シェウン・クティ表現と米国黒人音楽に見る目に水面下にある太い線に言及する原稿が来月発売のbmrに出る予定。これ、インタヴューを受けないということでそういう記事に急遽変更することになったのだが、とにもかくにもあんな素敵な実演に触れた文章を書くことができるのは僥倖というしかない。

▶過去の、シェウン・クティ
http://43142.diarynote.jp/200711121022550000/
https://43142.diarynote.jp/200908180045212538/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090726
http://43142.diarynote.jp/?day=20120727
https://43142.diarynote.jp/201808012004309687/

 その後は、ダブル・ベース奏者4人(だけ)が出演者となる出し物を新宿ピットインで見る。こちら、その楽器の様もあり<Le Dîner des scarabées カブトムシたちの晩餐会>という表題がつけられている。水谷浩章(2002年3月17日、2004年1月21日、2004年2月6日、2004年10月10日、2005年2月19日、2006年1月21日、2006年10月25日、2016年10月27日)、秋田ゴールドマン (2005年7月29日、2007年5月6日、2009年6月12日、2011年1月30日、2011年6月23日、2012年3月3日。2012年9月9日、2015年9月27日、2018年6月2日)、岩見継吾、千葉広樹(2014年10月22日、2016年7月11日、2019年3月16日、2019年7月8日)。

 会場に入り、こんな場内設定なのかあと頷く。フロア中央に4人が向き合うように立ち、それを四方から客席が囲む。先日のスガダイローとドラマー4人のギグ(2019年7月16日。https://43142.diarynote.jp/201907180809371988/)のセッティングの逆ですね。ステージ上にも客席が置かれ、その後方には4人の楽器のソフト・ケースが無造作に置かれている。それ脱いだ着ぐるみみたいだった?

 で、内容は……。なんと出来合いの有名曲をモチーフに置くことはせず、すべての演目は4人が持ち寄り、それぞれの前には譜面が置かれる。ミニマル・ミュージック調と言えるものが多く、呼応しながらアッチ側に流れていくようなところもあり。3人で1度、4人で1度のリハを経てのものだそうだが、普段あり得ない同じ楽器(4者のそれは微妙に色とか佇まいとかが異なるが、それぞれにどこ製の何年ぐらいに作られたものなのか?)との心置きない重なりを演奏者当人が楽しんでいるところはあり。とともに、やはり同業者同士ゆえに触発されている部分も感じられた。やはり、体験でした。

▶︎過去の、水谷浩章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040121
http://43142.diarynote.jp/200402061359140000/
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/200502232040290000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200611020833520000/
https://43142.diarynote.jp/201610310943306583/
▶過去の、秋田ゴールドマン/SOIL & “PIMP” SESSIONS
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/
http://43142.diarynote.jp/200705181805330000/
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201107020946473690/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
https://43142.diarynote.jp/201806051311346158/
▶︎千葉広樹
http://43142.diarynote.jp/201410251055118180/
https://43142.diarynote.jp/201607121045394372/
https://43142.diarynote.jp/?day=20190316
https://43142.diarynote.jp/201907091307078386/

<今日の、南青山>
 ブルーノート東京に向かう際、骨董通りでピザハットの自転車に乗った配達員を見る。へえ、確かに最都心ではその方が楽であったりもするのかな? それとも、免許を持たないバイトへの対処? クティの実演が終わった後、トイレに行くとナイジェリア大使館関係者の子供かどうかは知らないが、ライトな民族衣装を着た小さな兄弟が先にいて、二人は流暢な日本語で会話している。なんか、ほっこりした。

コメント