順調に(?)に来日しているホセ・ジェイムズ(2008年9月18日、2010年11月11日、2011年1月12日、2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年7月27日、2015年2月15日)の今回の同行者は、キーボード(フェンダー・ローズとノード・エレクトロ)の大林武(2014年5月25日、2015年9月5日)とエレクトリック・ベースのソロモン・ドーシー(2012年2月18日、2013年2月15日、2014年7月27日、2015年2月15日)、ドラムのネイト・スミス(2012年5月28日、2015年8月5日)という面々。ザ・ニュー・センチュリー・ジャズ・クインテットというコリーダー・コンボをやっている大林武司はジェイムズのビリー・ホリデイ・トリビュート2015年盤ツアーの途中からアーロン・パークス(2002年7月3日、2005年8月21日、2008年11月22日、2009年2月3日、2012年5月31日、2014年2月5日)に代わってピアノを弾くようになったはず。懐深いハーモニー・ヴォーカルも取るドーシーはジェイムズ表現に欠かせない奏者で、スミスは過去ジェイムズ表現に関わったことがないはずだ。

 ジェイムズのカジュアルな格好(変な模様のパンツを履き、ヘア・スタイルは金正日ふう)からも分かるように、今回は非ジャズ志向にあるパフォーマスを披露。ただし、近年の彼のクロスオーヴァー傾向にあるライヴはギター奏者や管奏者が入るなど華やかさを導く編成であったため、今回のシンプルな編成によるライヴはジェイムズの個体を直截に仁王立ちさせていたと書けるか。初期のライヴのあり方に近いとも書けるが、一つだけ大きく異なるのは、彼の出声がかなり大き目となり、堂々悠々感をおおいに出していたこと。経験や自信を積んでいることもあるだろうが、この部分でこれまでよりも進歩していた。何度か、伴奏音に合わせて口(くち)スクラッチもやったが、そういうことは前もやっていたっけ?

 次作『Love in a Time of Madness』(Blue Note)の録音をけっこう終えたようだが、3曲だか新曲も披露。ポップ路線にあるアルバムであるよう。うち、1曲はこの2、3日で歌詞が完成したという曲だった。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。

▶過去の、ホセ・ジェイムズ
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201011140051119042/
http://43142.diarynote.jp/201101131336421886/
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201408051020111821/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
▶過去の大林武司
http://43142.diarynote.jp/?day=20140525
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
▶ソロモン・ドーシー
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201408051020111821/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
▶過去の、ネイト・スミス
http://43142.diarynote.jp/201205301445023004/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150805
▶過去の、アーロン・パークス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm テレンス・ブランチャード
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/200811241224271906/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090203
http://43142.diarynote.jp/?day=20120531
http://43142.diarynote.jp/201402071150071550/

 その後、南青山ブルーノートへ、レジーナ・ベルのショウを見に行く。
http://43142.diarynote.jp/201001291748093787/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/

 上のはURLは、レジーナ・ベル(2008年1月28日、2010年1月28日、2015年2月4日)の過去(1999年以降の)の来日公演に触れた記載だ。それらは、共にピーボ・プライソン(2006年2月9日、2008年1月28日、2010年1月28日 、2012年1月30日、2015年2月4日)の公演に同行してのもの。その際、ぼくは常規を逸したベルのエモーショナルな様に大感激し、単独公演を切望していただけに、彼女の単独公演は待ってました!という感じ。

 ん? ちょっと喉を痛めていたかな? そのパフォーマンスに触れると、R&Bという名の真実がもわもわと立ち上がる思いを即得てしまうのだが、今回はそれが少し薄い。声量はあったが、少し声が嗄れているとともに、声の伸びの濃密さが減じているように感じたのだ。だが、凡百のシンガーから見れどうしようもなく大切な精神と流儀を抱えているのは間違いがないが。掛け声一つだけで、グっと来る。そんな人、そうはいません。 

 今、52歳。彼女の人気や注目度のピークはCBSコロムビアからアルバムを出していた四半世紀前(1989年作『Stay With Me』はR&Bチャート1位で、そこからは2枚のR&Bチャート1位シングル曲も生まれた。そのアルバムは都会派ソウルで引く手あまたのバリー・イーストモンドの制作。かつて、彼女は少し猫をかぶることをディレクションされたんだと思う)と言っていいのだろうが、ソウル・シンガーとして酸いも甘いも知り熟した今もまたピークと言っていいのではないか。昨年も、ザ・ヘヴィウェイツ制作の『The Day Life Began』(Shanchie)を出している。

 そしたら、途中でザ・ヘヴィウェイツの一員にして、もう20年強のキャリアを持つヴォーカル・グループのオール・フォー・ワンの一員でもあるジェイミー・ジョーンズが出て来て、数曲自分の歌を歌う。高めの声を持つ巨漢(ばしっと黒いスーツに身を固める)で、本当にいい人そうに見えた。自分が作ったなかで一番お気に入りと言って歌ったソフトな曲は途中でアイリッシュ調の味付けあり。1994年全米1位曲「アイ・スウェアー」はさすがに場内が湧く。

 バンドは2キーボード、ギター、ベース、ドラムという編成で、どうやらジョーンズが組んだバンドのよう。前半のほうで、ベルは敬愛する2人の女性歌手であるアレサ・フランクリンの「ロック・ステディ」とチャカ・カーン(2003年10月10日、2008年6月5日、2012年1月10日、2014年9月6日、2014年9月10日)の「テル・ミー・サムシング・グッド」を続けて歌う。こりゃ、いいぞ。とともに、彼女は本当にこの2人が持つ言葉を超える宝を引き継いでいると思わずにはいられず。1コード基調の「ロック・ステディ」のとき、バンドが上手くなったように聞こえた。

 最後に、彼女は場内をくまなく回る。これは、ピーボ・ブライソンのサーヴィス所作を受け継いだものか。誠心誠意、1時間45分ぐらいのショウでした。

▶︎過去の、レジーナ・ベル
http://43142.diarynote.jp/201001291748093787/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/
▶︎過去の、ピーボ・ブライソン
http://43142.diarynote.jp/200602101812050000/
http://43142.diarynote.jp/200801290949320000/
http://43142.diarynote.jp/201001291748093787/
http://43142.diarynote.jp/201202071446266092/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/
▶過去の、チャカ・カーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200806121525370000/
http://43142.diarynote.jp/201201131546344144/
http://43142.diarynote.jp/201409100929108025/
http://43142.diarynote.jp/201409111424501752/

<今日の、映像>
 ホセ・ジェイムズはパフォーマンスをする前に、前回公演の最後に歌ってもいるサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴン・カム」をかけて、一遍の映像を流す。人々(ミュージシャンもいたな)が思い思いの言葉(それは総じて、人と人の繋がりの大切さを示唆するもの)を記したボードを持つ絵が繋がっているもの。次作のテーマはそれに重なるのだろうか。

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