ヴィジェイ・アイヤー・トリオ
2014年6月19日 音楽 ソロ・パフォーマンス(2014年6月17日)に続く、敏腕ジャズ・ピアニストのトリオ公演はワーキング・バンドと言える顔ぶれにてなされた。縦ベーシストのステファン・クランプ(アイヤーのMCによれば、15年の付き合いとか)とドラマーのマーカス・ギルモア(2007年11月21日、2010年7月24日、2010年8月22日、2014年5月15日)はともに大分前からアイヤーの録音に関わっていて、特にギルモアにとってアイヤー作参加はけっこう初期に名前を出す仕事であったはず。しかし、ギルモアはこの5月にもジョシュア・レッドマン(2003年1月16日、2009年4月21日、2010年9月5日、2012年5月31日、2014年5月15日)とテイラー・マクファーリン(2012年2月18日、2012年3月2日)のサポートで来日していたりもし、ここのところの訪日率はとても高い。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。
素晴らしすぎる、現代ピアノ・トリオ表現。聖と俗の間にピンとはられたタイトロープのうえを確信をもってひたひたと突き進むような演奏を、なんと説明したものか。そして、3人が丁々発止した後には、山ほどの美と刺激と創意が舞いまくる。もー、かたずを飲んで、食い入るように見入り、聞き入るのみ。
よくぞ、この3人が集まったナとも痛感。クランプスは立ったシークエンスをぐいぐい押し出し(それから、アルコ弾きもけっこう見せる)、ギルモアは従来の定石から外れた奇怪なのにグルーヴィな鼓動をこれでもかと送り出す。<ジャズなんだけどジャズない>というか、<見事にジャズなんだけど、いろんな現代に享受できる非ジャズ要素を見事に抱えたリズム・セクション音>というべきか。1曲目はいくつかのアイヤー曲をつなげた30分にわたるものだったが、その3人の変幻自在なやりとりの様に驚愕。とっても整備され、約束ごとも踏まえた上で、あくなきインタープレイの先に挑戦や飛躍、そして造型総体としての美を獲得する様(もちろん、みんな譜面なぞおいてませんよー)に、時節柄あんたたちワールドカップのグループ・リーグ戦のなかベストのチームと賞賛するに値するパフォーマンスじゃあと、ココロのなかで喝采。誇張なしに、壮絶。もちろん、今年のぼくが見たジャズの好ライヴの筆頭にリストされるべきと思う。
他は10分ほどの尺の曲を並べていたが、1曲はスティーヴィー・ワンダーの1972年作『トーキング・ブック』のなかに入っていた異色エスノ・フォーキー曲「ビッグ・ブラザー」をカヴァー。自分流に大胆に翻訳していたが、それ、やはり同じ顔ぶれのトリオでやっている2008年作で披露していたりしますね。
ところで、少し不思議な気持ちになったのは、先に見たソロ・パフォーマンスよりも、アイヤーのピアノの味が倍以上良いと思えたこと。より腕がたち、個性にあふれるとも思えた。トリオ演奏の合間に5分弱(?)のソロ演奏も披露したが、それも前々日のものよりはるかにグっと感じられたのはどうしてなのか。実際そうだったのか、ぼくの心持ちの問題も少しは働いているのか。研ぎすまされたソロ演奏って、やる方にしても、受ける側にしても難儀な出し物であると、個人的に認知もしたか。しかし、イビツは美徳なりというタイプの先達の奏法をちゃんと咀嚼したうえで、不整合きわまりない指さばきの連続の先に山ほどの醍醐味を得ているアイヤーはやはり凄い。創意とひかかりと美のあくなき相乗……。いやー、まだまだリアル・ジャズは先に進めます!
▶過去の、アイヤー
http://43142.diarynote.jp/201406180853065508/
▶過去の、ギルモア
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
http://43142.diarynote.jp/201007261045442770/
http://43142.diarynote.jp/201008261620103318/
http://43142.diarynote.jp/201405171309186867/
▶過去の、レッドマン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm
http://43142.diarynote.jp/200904221307055009/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100905
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
http://43142.diarynote.jp/201405171309186867/
▶過去の、マクファーリン
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120302
<今日の、情報>
ゲイリー・バートン(2005年8月21日、2011年7月20日)とチック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日)も見に来ていた。少しは、オレら余裕ぶっかましている場合じゃないと感じた? それとも、“戦い、前に進むジャズ”はらつ腕すぎる彼らにまかせると納得? アイヤーの次のECM第二弾は、このトリオによるレコーディング作だそう。楽しみすぎます。
▶過去の、バートン
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/201107230819362417/
▶過去の、コリア
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/200710121726160000/
素晴らしすぎる、現代ピアノ・トリオ表現。聖と俗の間にピンとはられたタイトロープのうえを確信をもってひたひたと突き進むような演奏を、なんと説明したものか。そして、3人が丁々発止した後には、山ほどの美と刺激と創意が舞いまくる。もー、かたずを飲んで、食い入るように見入り、聞き入るのみ。
よくぞ、この3人が集まったナとも痛感。クランプスは立ったシークエンスをぐいぐい押し出し(それから、アルコ弾きもけっこう見せる)、ギルモアは従来の定石から外れた奇怪なのにグルーヴィな鼓動をこれでもかと送り出す。<ジャズなんだけどジャズない>というか、<見事にジャズなんだけど、いろんな現代に享受できる非ジャズ要素を見事に抱えたリズム・セクション音>というべきか。1曲目はいくつかのアイヤー曲をつなげた30分にわたるものだったが、その3人の変幻自在なやりとりの様に驚愕。とっても整備され、約束ごとも踏まえた上で、あくなきインタープレイの先に挑戦や飛躍、そして造型総体としての美を獲得する様(もちろん、みんな譜面なぞおいてませんよー)に、時節柄あんたたちワールドカップのグループ・リーグ戦のなかベストのチームと賞賛するに値するパフォーマンスじゃあと、ココロのなかで喝采。誇張なしに、壮絶。もちろん、今年のぼくが見たジャズの好ライヴの筆頭にリストされるべきと思う。
他は10分ほどの尺の曲を並べていたが、1曲はスティーヴィー・ワンダーの1972年作『トーキング・ブック』のなかに入っていた異色エスノ・フォーキー曲「ビッグ・ブラザー」をカヴァー。自分流に大胆に翻訳していたが、それ、やはり同じ顔ぶれのトリオでやっている2008年作で披露していたりしますね。
ところで、少し不思議な気持ちになったのは、先に見たソロ・パフォーマンスよりも、アイヤーのピアノの味が倍以上良いと思えたこと。より腕がたち、個性にあふれるとも思えた。トリオ演奏の合間に5分弱(?)のソロ演奏も披露したが、それも前々日のものよりはるかにグっと感じられたのはどうしてなのか。実際そうだったのか、ぼくの心持ちの問題も少しは働いているのか。研ぎすまされたソロ演奏って、やる方にしても、受ける側にしても難儀な出し物であると、個人的に認知もしたか。しかし、イビツは美徳なりというタイプの先達の奏法をちゃんと咀嚼したうえで、不整合きわまりない指さばきの連続の先に山ほどの醍醐味を得ているアイヤーはやはり凄い。創意とひかかりと美のあくなき相乗……。いやー、まだまだリアル・ジャズは先に進めます!
▶過去の、アイヤー
http://43142.diarynote.jp/201406180853065508/
▶過去の、ギルモア
http://43142.diarynote.jp/200711290930350000/
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▶過去の、レッドマン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm
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▶過去の、マクファーリン
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120302
<今日の、情報>
ゲイリー・バートン(2005年8月21日、2011年7月20日)とチック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日)も見に来ていた。少しは、オレら余裕ぶっかましている場合じゃないと感じた? それとも、“戦い、前に進むジャズ”はらつ腕すぎる彼らにまかせると納得? アイヤーの次のECM第二弾は、このトリオによるレコーディング作だそう。楽しみすぎます。
▶過去の、バートン
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
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▶過去の、コリア
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
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