丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。半年ぶりに見るベーシストの須川崇志(2010年3月14日、2011年7月25日、2016年6月27日、2017年6月21日、2018年1月19日、2018年4月7日、2019年3月29日、2019年12月14日、2019年12月20日、2020年10月29日、2021年4月6日)のワーキング・トリオだが、音楽は生き物と実感した。嬉しいかぎり。前回とは違うだけでなく、バンクシア・トリオ名義の2作目となる今年早々に出た『Ancient Blue』とも異なる手触りを持つものでもあり。

 須川に加え、ピアノの林正樹(2013年9月6日、2015年9月27日、2015年12月17日、2016年7月16日、2018年5月13日 、2019年1月7日、2019年10月6日、2019年11月19日、2019年11月21日、2019年12月18日、2020年8月28日、2020年10月29日、2020年11月14日)と、石若駿(2014年9月26日、2016年6月27日、2016年7月21日、2016年9月4日、2017年6月21日、2017年7月12日、2019年1月21日、2019年3月16日、2020年10月29日、2021年4月11日)。さらに、その単位にヴァイブラフォンとマリンバとアナログな音装置と歌で角銅真実(2019年3月16日、2019年11月26日)が入る。

 あららと思わせられたのは、角銅が最初から最後までステージにいて、1曲以外はすべて表現に関わったこと。彼女は主にヴァイブラフォンとマリンバを演奏したが、なるほどトリオ音にいろんな手触りや局面を与える。どのような経緯でその<+1>表現をすることになったかは知らないが、太い演奏哲学と身軽な実演志向は花丸だな。

 コントラバスだけでなく、チェロの弓弾きを前に出す曲もあり。でも、その曲の途中にはエレクトリック・ベースに持ち替えたりし、そういう定石外しっぽいところもよろしい。なんにせよ、研ぎ澄まされた音楽観を照らし出す、うれしくも説明に困る楽曲を綺麗な放物線や尻尾を持つ楽器音でヴィヴィットに紡いでいく。演目は林の曲や、石若のソングブック曲も演奏する。須川がこの数日前に書いたという反復系曲は、マリンバの角胴とヴァイブラフォンの石若のデュオで披露された。

▶︎過去の、須川崇志
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160627
http://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
http://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
https://43142.diarynote.jp/201804081516393408/
https://43142.diarynote.jp/201903301004154036/
https://43142.diarynote.jp/201912161052582124/
https://43142.diarynote.jp/201912220907352341/
https://43142.diarynote.jp/202010300958115053/
https://43142.diarynote.jp/202104071750586426/
▶過去の、林正樹
http://43142.diarynote.jp/201309121810294280/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
http://43142.diarynote.jp/201512271306411506
http://43142.diarynote.jp/201607191312426603/
https://43142.diarynote.jp/201805150750157494/
https://43142.diarynote.jp/201901090933013218/
https://43142.diarynote.jp/201910070759405954/
https://43142.diarynote.jp/201911201705565775/
https://43142.diarynote.jp/201911230723444744/
https://43142.diarynote.jp/201912191314476679/
https://43142.diarynote.jp/202008290914077509/
https://43142.diarynote.jp/202010300958115053/
https://43142.diarynote.jp/202011150954203089/
▶︎過去の、石若駿
http://43142.diarynote.jp/201409291402101328/
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
http://43142.diarynote.jp/201606281737237220/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170621
http://43142.diarynote.jp/201707130853185809/
https://43142.diarynote.jp/?day=20180404
https://43142.diarynote.jp/201901231045028294/
https://43142.diarynote.jp/201903171331065828/
https://43142.diarynote.jp/202010300958115053/
https://43142.diarynote.jp/202104121207459452/
▶︎過去の、角銅真実
https://43142.diarynote.jp/?day=20190316
https://43142.diarynote.jp/201911270846588562/

<今日の、いろいろ>
 そうえば、須川がトライアングルの一角をしめる、藤井郷子(1999年8月16日、2000年6月2日、2000年10月1日、2002年8月5日、2003年1月21日、2003年4月7日、2004年7月27日、2005年2月10日、2005年11月28日、2005年12月11日、2006年7月3日、2008年8月24日、2008年12月17日、2010年1月9日、2010年6月7日、2010年8月6日、2012年7月1日、2016年1月28日、2017年1月9日、2017年9月13日、2018年1月8日、2019年1月13日、2019年1月13日、2019年6月29日)の東京トリオ(2019年12月20日)の初作『ムーン・オン・ザ・レイク』(リブラ)が5月発売ながら、手元に届く。2019年12月の同トリオの新鮮な噛み合いに触れてぼくは大絶賛したが、2020年9月15日に新宿ピットインで録られた本作はまたそのときとは異なった味とともに感興を与える。須川のアルコ弾きが印象的な部分もあるそれは、乱暴に行ってしまえばより静謐。それは3者の関係がより綿密になったことや、コロナ期における録音であることも関係しているか。4月リリースの田村夏樹と藤井郷子の『化身』(リブラ)は通算8作目となる二人のデュオ作だそうだが、何かと心に入り込む生きた楽器の音の粒と連鎖があって、何度も聞いている。通年、半分以上は海外に行っている田村/藤井夫妻だが、昨年の一時期は自宅からデュオ・パフォーマンスの映像をいろいろ配信していたっけか。『化身』も自宅の音楽室で録音したものをニューヨークでマスタリングしている。現況、マイナスなことが多いが、でもそうしたなか、新たな心気きっかけを見つけ、動こうとしている音楽家はそれこそあちこちにいることだけは気に留めておきたい。

コメント