客席フロアにミュージシャンが位置する設定を持つ公演を、二つ続けてみる。

 まず、南青山・ブルーノート東京で、渡辺貞夫(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年12月11日、2017年10月8日、2017年12月16日、2018年5月28日、2018年9月2日、2018年10月6日、2018年12月15日、2019年8月6日、2019年11月12日、2019年12月15日)のオーケストラを見る。ファースト・ショウ。アルト・サックスを悠々と吹く当人に含め、全17人。ステージ上を含めて密を避けるこの時期、大人数によるこれは大胆な企画と思ったら、なるほどこうした手があったか。

 トランペット・セクションは、西村浩二(2019年4月26日、2019年4月27日、2019年4月28日、他)、奥村晶(2017年11月8日、2018年6月8日、2018年9月2日、2019年1月7日、他)、佐久間勲(2017年12月5日、2018年6月8日 、2018年9月2日、2019年1月7日、2020年8月2日、他)、松島啓之(2014年9月25日、2015年5月20日、2018年1月19日、2018年9月2日2019年3月29日、他)。トロンボーン・セクションは、アレンジも担当する村田陽一(2005年1月7日、2006年1月21日、2010年3月9日、2011年12月20日、2012年9月8日、2014年12月14日、2015年9月27日、2016年12月11日、2017年12月5日、2018年6月8日、2018年9月2日、2019年4月26日、2019年4月27日、2019年4月28日、他)と辻冬樹(2018年9月2日、他)と奥村晃(2018年9月2日、他)とベースの山城純子(2016年10月28日、2017年11月8日、2017年12月5日、2018年9月2日 、他)。サックス・セクションはアルトの吉田治(2017年7月28日、2018年9月2日、2019年1月7日、他)と近藤和彦((2011年3月28日、2011年8月6日 、2014年9月7日、2015年9月27日、2016年1月7日、2016年10月28日、2017年11月8日、2017年12月5日、2018年6月8日、2018年9月2日、2019年1月7日、2019年8月16日)、テナーの小池修(2010年5月11日、2011年2月10日、2011年3月10日、2011年3月28日、2013年2月22日、2015年9月27日、2016年1月7日、2017年7月28日、2017年11月8日、2017年11月17日、2017年12月5日、2018年6月8日、2018年9月2日、2019年1月7日、2019年7月25日、他)と竹野昌邦、バリトンの山本拓夫(2015年9月27日、2017年12月5日、2018年9月2日、他)。そして、リズム・セクションは、ピアノの小野塚晃(2016年12月11日、他)とベースの粟谷巧とドラムの竹村一哲(2016年9月27日、2018年9月2日、2019年10月6日、2019年12月20日)。粟谷と竹村の北海道出身コンビの2人が若目で、今様なルックスをしている。

 普段は全員がステージ上に乗るところ、ステージ上には少しまばら気味に管楽器奏者たちだけが2列に並ぶ。前列はサックス奏者たちで、後列はトランペットとトロボーンの担当者が位置。そして、渡辺貞夫と3人のリズム・セクション、コンサート・マスターの村田陽一の5人は客席フロアに立つ(!)。下の客席フロアは左右と一番奥に一列づつお客が座るだけで、ほぼ客を入れない状態。ほとんどの客は一段高いフロアにからの観覧となっていた。これ、キャパは相当少なくなるはずであるが、それでも大人数による出し物をやりたかったという送り手側の強い思いを感じるか。ともあれ、照明がきれいなこともあり、贅沢感も猛烈に出て、これはなんともスペシャルな設定を持つ公演なのだという思いは高まる。

 そして、比較的尺の短い設定のもと、大人数アンサンブルとソロが拮抗するビッグ・バンドの要点を伝えましょうというパフォーマンスがなされる。渡辺貞夫のオリジナルだけでなく、オリヴァー・ネルソンらの大所帯用曲も4曲だか披露。実はファーストとセカンドは別のセット・リストが組まれているそうだ。コンボでもほぼ毎回演奏される渡辺が311震災時に書いた「ウォーム・デイズ・アヘッド」は有機的なブラス陣の絡みやしっとりした中に芯を与えるリズム隊の演奏などもあり、これまでで一番魅力的なヴァージョンにぼくには聞こえた。

 なんの曲だったか、終わりの部分で、渡辺はとってもフリーキーな吹き口をお茶目に繰り出す。87歳、ノっていたんだね。アンコールは小野塚とのデュオでしっぽりシメる。以上、4日間続けられるなかの、最初のショウ。

▶過去の、渡辺貞夫
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm  6日
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
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https://43142.diarynote.jp/201908071557182844/
https://43142.diarynote.jp/201912161054076351/
▶︎過去の、西村浩二
https://43142.diarynote.jp/201904271153238361/
https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
https://43142.diarynote.jp/201904291825347224/
▶︎過去の、奥村晶
https://43142.diarynote.jp/201711091333526195/
https://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
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https://43142.diarynote.jp/201901090933013218/
▶︎過去の、佐久間勲
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201901090933013218/
https://43142.diarynote.jp/202008040925309617/
▶過去の、松島啓之
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
https://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201903301004154036/
▶過去の、村田陽一
http://43142.diarynote.jp/200501170151560000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/201003101342028780/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111220
http://43142.diarynote.jp/?day=20120908 ベン・E・キング
http://43142.diarynote.jp/?day=20141214
http://43142.diarynote.jp/?day=20150927
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
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https://43142.diarynote.jp/201904281151232549/
https://43142.diarynote.jp/201904291825347224/
▶︎過去の、辻冬樹
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
▶︎過去の、奥村晃
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
▶︎過去の、山城純子
https://43142.diarynote.jp/201610311054183284/
https://43142.diarynote.jp/201711091333526195/
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
▶︎過去の、吉田治
https://43142.diarynote.jp/201708081429085086/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201901090933013218/
▶︎過去の、近藤和彦
http://43142.diarynote.jp/201104041100266528/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/ ノー・ネーム・ホーセズ
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/ ノー・ネーム・ホーセズ
http://43142.diarynote.jp/201501131019359012/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
http://43142.diarynote.jp/201601090750252990/
https://43142.diarynote.jp/201610311054183284/
http://43142.diarynote.jp/201711091333526195/ マシュー・ハーバーツ・ビッグ・バンド
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583
https://43142.diarynote.jp/201901090933013218/
▶︎過去の、小池修
http://43142.diarynote.jp/?day=20100511
https://43142.diarynote.jp/201102121001091213/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110310
http://43142.diarynote.jp/201104041100266528/
https://43142.diarynote.jp/201302281046506238/
http://43142.diarynote.jp/201501131019359012/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
http://43142.diarynote.jp/201601090750252990/
http://43142.diarynote.jp/201711091333526195/ 
https://43142.diarynote.jp/201711181233058487/
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201901090933013218/
https://43142.diarynote.jp/201907261128521107/
https://43142.diarynote.jp/201908191116487861/
▶︎過去の、山本拓夫
https://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
https://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
▶︎過去の、小野塚
https://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
▶︎過去の、竹村一哲
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/
https://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201910070759405954/
https://43142.diarynote.jp/201912220907352341/

 その後は、徒歩で15分のところにある、青山・月見ル君想フに向かう。出し物は、<2 PIANO 4 HANDS>。フル・コンサート型の長いものではないが、会場にグランド・ピアノを2台入れて2人のピアニストがピアノを弾き合います、という企画を持つ。こちらは顔ぶれ違いで5日間に渡って行われる帯公演の、初日となる。この晩の出演者は、元ヤセイ・コレクティヴで、ジェントル・フォレスト・ジャズ・バンドにも参画する別所和洋(2013年8月22日 、2017年7月8日、2019年7月6日)のソロ・プロジェクトである“パジャマで海なんかいかない”と井上惇志。別所はパジャマを着て、裸足。家で飾らずピアノを弾いている姿を見せますという思いがその変な活動名に繋がっているのか。

 ピアノを2台、客席フロアに向き合うように起き、客はそれを取り囲む。

 かなり、興味深かった。2人はジャズ界の中枢にいるという感じではなく、ポップ系のサポートを普段はしている奏者たちなはず。だが、ちゃんとジャズを通ってきているとともにジャズ愛を2人が持つことを伝える、インタープレイのある“今宵このとき”という連弾が披露されていく。まさに一緒にテーマを弾いたあとに主と従の立場で指を這わせるものを中心に、同じ曲ををそれぞれが弾き合ったり(別所の曲で、コードが難しく、弾くのをやめたと井上がMCで言っていたものもあり)とか、絡みは様々。というか、この2人仲がよく、鍵盤を一緒に弾くということ(もしくは、それを前提とする会話)を普段からしているのではないか。1時間のものを2セットでというオーダーであったようだが、彼らは一緒に延々と演奏できちゃうんだろうなーとも見ながら思った。

 おしゃれな雫を持つテーマを持つ曲が続いたりし、それは今の奏者らしいと思ったが、じつはけっこうスタンダードをやったのか。井上がお気に入りのジェリー・マリガンの曲をソロで弾く局面もあたっが、それも今様なバラードに聞こえた。ミルト・ジャクソンの著名ブルース曲「バグス・グルーヴ」なんてのも取り上げたが、それは2人のブルージーに行ける部分を出すとともに、ストライドやブギ・ウギっぽい方向にも奏法で飛んで行った。

 出演者が男性であるためか、客の女性比率は高い。ピアノをちゃんと入れて、普段はジャズ・プログラムをやらないハコが今の担い手たちによるジャズ・ピアノを披露させる。この晩の出演者は非ジャズ愛好者も視野に入れて、明快に即興の楽しさを提示していたのは間違いない。いい企画だな。いろいろなところから、ジャズやジャズ愛好者は育つ。グランド・ピアノはヤマハの同じものが置かれていたと思われるが、2人の出音は明らかに違い面白い。別所の音のほうが雑味ぽいテイストが出ており、井上のほうがキラキラした音を出す。弾き手に添うピアノという楽器の面白さもたいそう感じることができた。

▶︎過去の、ヤセイ・コレクティヴ
http://43142.diarynote.jp/201308251333326263/
https://43142.diarynote.jp/202001201340286359/
▶︎過去の、ジェントル・フォレスト・バンド
https://43142.diarynote.jp/201707101243147840/
https://43142.diarynote.jp/201907071754237718/

<今日は、久しぶりだった>
 2月20日以来の、ライヴのはしごをした。ぼくにとって、ライヴをハシゴするのは良くあることであったので、やはり少しホッとできたところはありました。両店の入店時の検温体温は、36.51度と36.5度。一時期より少し高めだ。そういえば、3月下旬からの自主ロックダウン時、37度台の微熱が続いたことがあったっけ。小心者なので、少しびびった。ところで、休業中に月見ル君想フは少し改装、トイレは階下のステージ・フロアに移動。代わりにかつて下にあったサウンドの卓が上に移るとともに、なんと配信映像の充実のためにクレーン型カメラを新たに設置していた。

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