エレクトリック・ギターの大友良英(2002年3月17日、2003年6月28日、2004年2月6日、2004年10月10日、2004年11月7日、2005年4月26日、2006年1月21日、2006年4月18日、2007年4月21日、2009年5月31日、2011年6月8日、2012年3月21日、2013年7月13日、2016年9月4日、2016年10月27日)にプラスして、山崎比呂志(ドラム)とダブル・ベースの千葉広樹(2014年10月22日、2016年7月11日、2019年3月16日) とテナー・サックスの廣瀬淳二(2018年1月8日)という顔ぶれのギグを、代官山・晴れたら空に豆まいて で見る。

 最初に演奏したのは、アルバート・アイラーのスピリチュアル曲「ゴースト」。狼藉しつつ、いろいろと構成感にも富み、35分の尺。ベースとテナーは譜面を前に置いていた。なんにせよ、大友のギター音はアヴァンでときにノイジーなのに、とっても佇まいが綺麗。もうどうすれば、どんな変な音が出るかを完璧に把握していると言う感じで、一部ぼくはその演奏にメロウという言葉を用いたくなる。1部はもう1曲、15分の1発もの。とはいえ、こちらも構成感覚を持つフリー・ジャズになっていて、大友のリーダーシップとともに、これまでの面々のお手合わせ経験が効いているのだろうと思う。

 山崎比呂志というヴェテラン・ドラマー(昔、高柳昌行とやっていたこともある)の演奏には始めて触れると思うが、なにげに格好いい。レギュラー・グリップで叩いていたと思うが、ときに不思議なパーカッション音を出す場合も。あと、ゴンゴン行くときの、シンバルの揺れの様がクール! 

▶︎過去の、大友良英
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200402061359140000/
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20041107
http://43142.diarynote.jp/200504301042210000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200604210538510000/
http://43142.diarynote.jp/200704251227010000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090531
http://43142.diarynote.jp/201106141341111340/
http://43142.diarynote.jp/201203260805006088/
http://43142.diarynote.jp/201307160735048974/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
https://43142.diarynote.jp/201610310943306583/
▶︎千葉広樹
http://43142.diarynote.jp/201410251055118180/
https://43142.diarynote.jp/201607121045394372/
▶︎過去の、廣瀬淳二
https://43142.diarynote.jp/201801100512178732/

 先のライヴの1部が終わったところで移動。その後は、在シカゴのドラマーのマカヤ・マクレイヴン(2017年12月12日、2018年7月10日)やトランペッターのマーキス・ヒル(2016年9月17日、2017年1月7日、2017年1月16日、2018年5月24日)、そして南部出身のピアニストであるジェイムズ・フラシーズ(2017年1月16日、2019年1月16日、2019年1月21日、2019年2月19日)他のアルバムに起用されている、シカゴ生まれの新進ヴァイブラフォン奏者のジョエル・ロス(NYのザ・ニュー・スクール大を出ている)のリーダー公演を見る。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

 “グッド・ヴァイブス”というのは、グループ名らしい。構成員は、アルト・サックスのイマニュエル・ウィルキンス、ピアノのジェレミー・コレン、ダブル・ベースのオル・バレケット(2018年6月19日、2018年7月12日)、ドラムのクッシュ・アバディ。ロスはブルーノートからデビュー作『キング・メイカー』を今年出しているが、レコーディングに関わっていたのはコレンのみ。だが、イスラエル人奏者であるバレケットをはじめ、皆腕はしっかり。

 各曲、20分ぐらいあったか。とうぜん、各人ソロを悠々と取る。で、全員アコースティック&ストレート・アヘッド。アダムスを使っていたようなロスもストレートな音色で勝負。ときに一気呵成なという形容を用いたくなる彼のソロは佇まいが新しいというか、勢いあり。ソロ部がブルースになったオープナーのソロ演奏に顕著に出ていたように、リズムのかみ合いやばらけ具合にもおおいに留意していて、面白言ったらありゃしない。

 そんなロスはマレット2本持ち(多くの技ありヴァイブ奏者はそうする)はせず、全面的にマレット一本づつ持ちで、竹をわったような演奏をする。2本づつ持ちなんか、必要ねえ。技術とマインドがあれば、一本持ちのほうがはるかに強靭で、聞き手を射抜く演奏ができる……。彼はそんなことも言い放っていたような。ヴァイブラフォンはジャズにおいて傍系に位置する楽器であったが、近年ヴァイブラフォン奏者を起用したアルバムの数は間違いなく増えている。そして、今晩のようなロスの演奏に触れると、現代ジャズにおいてヴァイブラフォンという楽器はおおいにポテンシャルを持っていると感じずにはいられない。

▶︎過去の、マカヤ・マクレイヴン
http://43142.diarynote.jp/201712131709468312/
https://43142.diarynote.jp/201807120959045053/
▶︎過去の、マーキス・ヒル
http://43142.diarynote.jp/?day=20160917
http://43142.diarynote.jp/201701091247527188/
http://43142.diarynote.jp/201701171118107802/
https://43142.diarynote.jp/201805250930363191/
▶︎過去の、ジェイムス・フランシーズ
https://43142.diarynote.jp/201701171118107802/
https://43142.diarynote.jp/201901180819479701/
https://43142.diarynote.jp/201901231045028294/
https://43142.diarynote.jp/201902201004503541/
▶︎過去の、オル・バレケット
http://43142.diarynote.jp/201806201223491195/
https://43142.diarynote.jp/201807131747356219/

<今日の、そういえば>
 普通、本編終わったときや、アンコールが終了した際、出演者はステージ中央前に揃ってお辞儀をしたり、笑顔を振りまいたりする。だが、面々はけっこうそっけなくステージを降りる。まったく、愛想ねえな。公演慣れ、していない部分もあるのかな。と思っていたら、だいぶ客がはけてから出口への階段を上ったら、全員が受け付け階でサイン会にはげんでおった。うち、3人はブレイズ系の髪型なり。ところで、ジョエル・ロスの前に、マーキス・ヒルやマカヤ・マクレイヴンはジャスティン・トーマスというヴァイブラフォン奏者を起用していた。それが、がらりとロスの重用に変わってしまったわけだが、今トーマス君はどうしているのだろう?

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