トニーニョ・オルタ(2010年10月7日、2016年10月27日)の姪となる女性シンガー・ソングライターのヂアナ・オルタ・ポポフを青山・プラッサオンゼで見る。ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチ生まれでリオ育ち、そして現在はパリに居住。そんな“移動”を抱えるキーボードを弾きながら歌う彼女を、夫であるフランス人のマチアス・アラマンが電気ベース(一部はアコースティック・ギターも弾く)でサポートする。

 愛らしい感じを持ちつつも、難しいライン取りの歌をごんごん歌うなと、すぐに思う。一緒に歌うのは無理。でも、奥行きにも繋がるそのもやもやはブラジル音楽の素敵の尻尾を顕すものに他ならない。とっても曖昧な言い方になるが、そうしたとらえどころのないものからいろんな木漏れ日のようなものが見えて、ぼくは誘われた。また、フルートを吹いたインストもあり、それにはショーロを思い出す。ファースト・セットを見て、移動。後ろ髪引かれた。
 
▶過去の、トニーニョ・オルタ
http://43142.diarynote.jp/201010110934082197/
https://43142.diarynote.jp/201610310943306583/


 次は、六本木・ビルボードライブ東京で、元ジャパンのスティーヴ・ジャンセン(2004年4月24日)とスウェーデン人のミュージシャンたちが協調したユニットを見る。

 ヴォーカルのトーマス・フェイナー、ピアノのウルフ・ヤンソン、ギターやシンセサイザーのチャールス・ストーム 、ドラムのスティーヴ・ジャンセンに、ダブル・ベースのスヴェン・リンドヴァル。さらに、チェロの徳澤青弦、ヴァイオリンの吉田篤貴と地行美穂、ヴィオラの須原杏のストリングスが加わる。その日本人たち、墨絵のようなという形容もできるサウンドによく弦音をつけていた。

 ベーシストが全面的に縦を用いていたのには驚いたが、その事実に現れてもいるように、実にオトナ志向の美意識を抱えた悠然としたロックが繰り広げられる。低いフェイナーの歌はなにげにデイヴィッド・シルヴィアン(2004年4月24日)的とも言えるだろう。ドアの先にある北の佇まいを抱えたその表現は、響きと密かな蠢きに満ちた情緒ロックとしてアドヴァンテージを持つものと思う。演奏時間は長めだった。

▶︎過去の、スティーヴ・ジャンセン
https://43142.diarynote.jp/200404271931000000/
▶︎過去の、デイヴィッド・シルヴィアン
https://43142.diarynote.jp/200404271931000000/

<今日の、追記>
 イグジット・ノースのセルフ・リリース作『Book of Romance and Dust』(2018年)は、オノ セイゲン(2000年3月12日、2009年1月17日、2011年8月4日、2012年6月7日、2013年1月30日、2014年4月20日、2014年7月28日、2014年9月23日、2014年10月8日、2014年10月11日、2015年4月17日、2015年9月13日、2015年9月24日、2015年10月9日、2016年3月14日、2016年5月22日、2016年7月26日、2017年5月7日、2018年6月7日、2018年11月12日)の音楽をサンプリング使用し、マスタリングを当のオノが担当している。今回の来日時、メンバーは彼が持つ神宮前のサイデラ・マスタリングのスタジオ詣もしているようだ。そんなこともあり、会場で出会ったセイゲンに誘われ、楽屋に行く。その静謐な音楽性と離れ、みんな愛想がいい。ジャンセン、けっこう顔デカいんだな。兄のデイヴィッド・シルヴィアンにはデレク・ベイリーが参加した『プレミッシュ』(2003年)を出した際にインタヴューしたことがあったが、そうは思わなかった。とっても大人のわびさび溢れる『プレミッシュ』を前に、シルヴィアンにジャパン時代のことを聞いたら、「若気のいたり。でも、若い時分にはそういう放蕩も必要」といったことを静かに言っておった。早々に引き上げると、楽屋の外には高橋幸宏(2009年10月31日、2011年8月7日、2012年8月12日、2013年8月11日、2017年7月14日)、土屋昌巳、SUGIZO(2015年6月29日)らミュージシャンがいらっしゃった。
「僕はいつも遠くからセイゲンのキャリアをフォローしてきたので、彼は録音とマスタリング、特にアコースティック録音に素晴らしい耳を持っていることを知っていた。だから、僕たちのレコードのマスタリングをやってもらうのは素晴らしい選択肢のように思えたんだ。
 マスタリングはとても重要な仕事であるのに、見落とされがち。個人的には、マスタリングについての複雑な技術的知識は持ち合わせていないが、よくマスターされた録音は肝要と思う。イグジット・ノースの録音はポスト・マスタリングされることで、ダイナミクスと暖かさを保持しつつ、さらに多くの存在感、重厚さ、および“色”を獲得したんだ。もちろん、英国にも多くの優れたマスタリング・エンジニアがいるけど、セイゲンが関与することはノース・イグジットに適していた」(スティーヴ・ジャンセン)
▶過去の、オノセイゲン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200901181343426080/
http://43142.diarynote.jp/201108101630438805/
http://43142.diarynote.jp/201206110945571082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130130
http://43142.diarynote.jp/201404251643448230/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140728
http://43142.diarynote.jp/201409261635077130/
http://43142.diarynote.jp/201410210814495715/
http://43142.diarynote.jp/201509250943244179/
http://43142.diarynote.jp/201603151140427186/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160522
http://43142.diarynote.jp/201608020801362894/
http://43142.diarynote.jp/201705081232023349/
https://43142.diarynote.jp/?day=20180607
https://43142.diarynote.jp/201811141355524842/
▶︎過去の、高橋幸宏
http://43142.diarynote.jp/200911010931589797/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110807
http://43142.diarynote.jp/?day=20120812
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
https://43142.diarynote.jp/201707151654245284/
▶︎過去の、SUGIZO
https://43142.diarynote.jp/201507021227231770/

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