渡辺貞夫

2018年5月28日 音楽
 アルト・サックスの渡辺貞夫(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年12月11日、2017年10月8日、2017年12月16日)の、レコーディング・ライヴを兼ねた公演。紀尾井町・紀尾井ホール。わあ、エグベルト・ジスモンチ(2008年7月3日)を見て以来、10年ぶりの同ホールだ。ほんと純クラッシックの会場だな。渡辺貞夫もここでやるのは初めてと言っていた。

 共演者は、ピアノのラッセル・フェランテ(2007年12月16日、2009年3月23日、2012年6月21日、2014年1月15日、2014年12月14日、2016年12月11日)、ダブル・ベースのベン・ウィリアムズ(2009年5月18日、2009年9月3日、2010年5月30日、2012年3月3日、2012年5月28日、2013年4月1日、2013年5月21日、2015年1月22日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年9月1日、2016年12月11日、2017年12月7日、2018年2月21日)、ドラムのケンドリック・スコット(2009年3月26日、2013年2月2日、2013年8月18日、2013年9月11日、2015年2月4日、2015年11月10日、2016年3月1日、2017年1月18日、2017年1月23日)。このライヴはレコーディングされるということで録音用のマイクが何本も立てられていたのだが、会場の特性に合わせてノーPAでやっていたのではないか。ウィリアムズの後ろには小さなベース用のスピーカーが置かれていたものの、PA用のスピーカー(と、PAコンソールを扱う人は)は見当たらなかったもの。とうぜん、ステージ上の演奏者用のモニターもなし。おお、基本生音勝負の実演がどんな商品になるのか楽しみだ。しかし、大昔のジャズ・クラブはノーPA/生音の実演がなされていたはず。いつごろから、マイクで音を拾うようになったのだろう?

 勝手知ったる人たち(スコットも昨年一緒にやっているという)、譜面を見ているのは近年一番一緒にやっているはずのウィリアムズだけだった。どれも渡辺貞夫の新旧のオリジナルを、乱暴に言ってしまえば純ジャズ流儀でやる。スタンダードを避けるのは、メロディ・メイカーとしての自負を持つ、彼のこだわりだろう。とともに、ただのインプロヴァイザーではなく、自分のメロディ曲をやってきたからこそ、渡辺貞夫はお茶の間にも入る図抜けた人気を獲得できたとも言えるだろう。

 すいすいとことは進む。オリジナルをやっているためもあるだろうし、リズム隊のとんがらないながらも気の利いた演奏し具合もあるだろう、ただの4ビート・ジャズにならない、貞夫印のアコースティック・ジャズが形作られていく様を目の当たりにした。

▶過去の、渡辺貞夫
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm 6日
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200610080946310000/
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200907310048137248/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/201107111008176019/
http://43142.diarynote.jp/201207031353196616/
http://43142.diarynote.jp/201212171647134119/
http://43142.diarynote.jp/201304031026406106/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201310050701201281/
http://43142.diarynote.jp/201407091243129270/
http://43142.diarynote.jp/201410061850124929/
http://43142.diarynote.jp/201412281017371613/
http://43142.diarynote.jp/201512151504068292/
http://43142.diarynote.jp/201607100827363436/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
http://43142.diarynote.jp/201710121700178187/
http://43142.diarynote.jp/201712181015052794/
▶過去の、ラッセル・フェランテ
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120621
http://43142.diarynote.jp/201401171005571275/
http://43142.diarynote.jp/201412281017371613/
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
▶過去の、ベン・ウィリアムズ
http://43142.diarynote.jp/200905191118258984/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100530
http://43142.diarynote.jp/?day=20120303
http://43142.diarynote.jp/201205301445023004/
http://43142.diarynote.jp/201304031026406106/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
http://43142.diarynote.jp/201501230914317086/
http://43142.diarynote.jp/201607100827363436/
http://43142.diarynote.jp/?month=201609
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
http://43142.diarynote.jp/201712081715389473/
http://43142.diarynote.jp/201802221538438234/
▶過去の、ケンドリック・スコット
http://43142.diarynote.jp/?day=20090326
http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
http://43142.diarynote.jp/201308191407221107/
http://43142.diarynote.jp/201309161510164697/
http://43142.diarynote.jp/201502051100298160/
http://43142.diarynote.jp/201511120022503788/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160301
http://43142.diarynote.jp/201701191854055570/
http://43142.diarynote.jp/201701240949045953/

<1ヶ月後の、御大>
 7月1〜3日には、ベーシストだけがベン・ウィリアムスからエドウィン・リビングストン(2014年12月14日)に変わる陣容で、このカルテットはブルーノート東京で公演を行う。多忙なはずのケンドリック・スコットのスケジュールをよく抑えられるなあ。彼、この晩、バスドラの隣にやはりペダルで叩くスネアを普通に演奏するスネアとは別に縦置きで設置。あるボサ調曲では、右手にブラシ、左手にマレット持ち、演奏していた。しかし、渡辺貞夫のライヴにおけるドラマー選択は本当に興味深い。娘にYouTubeをひいてもらって、それでいいドラマーがいないかチェックしているんだというようなことをだいぶ前に取材したとき言っていたが、それだけで(もないだろうけど)判断ついちゃうのもすごいっちゃすごい。在米ドラマーに限っても2010 年代に入って以降、ジョー・ダイソン、オベド・カルベール、ジャマイア・ウィリアムス、ユリシス・オーエンスJr,、ジェフ・ティン・ワッツ、ルドゥイング・アルフォンソ、ウィリアム・ケネディ、ブライアン・ブレイド、そしてケンドリック・スコットだものなあ。ところで、故あり、渡辺貞夫の1987年のラッセル・フェランテがきっちりサウンド面を取り仕切った1987年作『バーズ・オブ・パッセージ』(エレクトラ)を聞いたのだが、リアルなジャズ衝動と現代感覚が同居していて、本当に素晴らしいアルバムだと思った。フュージョン系列にある作品のなかの、彼のベストだと、ぼくは思う。

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