コリー・ヘンリー & ザ・ファンク・アポストルズ
2020年3月3日 音楽 スナーキー・パピー(2016年6月16日、2017年4月18日)に在籍したゴスペル・フィールド出身の怪物くんであり、ロバート・ランドルフ(2003年12月10日、2009年7月24日、2012年2月28日、2012年3月5日)ともけっこう懇意にしている鍵盤奏者のコリー・ヘンリー(2017年9月3日)のリーダー・プロジェクトの実演を、南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。
うれしい。半年経たずに、また来日をした。前回はトン・ゼー(2019年10月31日)とエラ・メイ(2019年11月1日)という黄金の初来日アクトのホール公演と完全に重なっており、ヘンリー公演に行けなかった。今回の同行者はジャズ・トランペット大御所故人のクラーク・テリー、ロナルド・アイズリー(2001年12月6日、2004年3月1日)やアイザイア・シャーキー(2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年12月12日、2018年6月2日)とも絡むベース奏者のシャレイ・リード、やはり一時スナーキー・パピーのレコーディングに入っていたドラムのタロン・ロケットの演奏陣に、タマラ・フィンガルとフィリシャ・ミッチェルという2人のコーラスがつく。
ゴスペルはすべてに通ず。そんな内実が溢れるパフォーマンスに、大きくうなずく。ヘンリーはハモンド・オルガン、2台のシンセサイザー(コルグのクロノスと、ピッチ・ベンド使用の単音弾きのみに使った〜ぼくにはメイカーが分からなかった〜もの)とフェンダー・ローズの4種のキーボードを置く。が、7割はオルガンで勝負という感じであったか。
頭の2曲は3人の演奏陣のみで、インストのパフォーマンス。1曲目はもろにゴスペル調で迫るが、オルガン・ソロの噴出感がすごい。ジョエル・ロス(2019年11月12日)のデビュー作『キング・メイカー』(ブルーノート、2019年)のジャズ・ジャパン誌のディスク評で<ヴァイブラフォン捌きがラップをしているがごとく>というようなことを書いたりもしたが、よりコーリーの演奏の方がそういう感じがあり、ヒップホップ時代のほとばしり感を抱えていると言いたくなるか。その次のインストはもろにジャズ・オルガン王道調にあったが終盤はやはりゴスペル情緒濃厚となる。ときに前のめりになるぶっといエレクトリック・ベース(5弦だったか)演奏も、かなりゴスペルの下地ありと思わせるものだった。ドラマーは持ち運びが大変そうな面が歪んだシンバルを使用。同様のものを、先日のクリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年10月11日、2018年6月2日、2020年2月20日)も使っていたな。
その後は、2人の女性シンガーも加わり歌ものをやる。で、最初の曲はビー・ジーズのディスコ期の大ヒット曲「ステイン・アライヴ」だったのだが、なんか華やかでいい感じ。この曲、ウケますね。そして、やはりここにもどこかゴスペルの魔法が効いていると言いたくなる。女性陣は基本ユニゾンで歌い、歌も歌うヘンリーがハーモニーをつけるノリの曲もある。ヘンリーの歌はどこか節回しのつけ方がスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)的と思わせる部分があった。実はワンダーの歌唱にゴスペルの影を見たことはあまりなかったが、逆引き的に御大の歌もゴスペルから来ているんだなとふと思う。
とかなんとか、ゴスペルの音楽的回路を根に置きまくった実演。ゴスペルはR&Bに、ファンクに、ジャズに、ポップスに、コンテンポラリーなダンス・ミュージックに……すべてに通ず。まあ、米国黒人音楽の滋養としてゴスペルがあるのは厳然とした事実なわけで、ヘンリーは当たり前のことをしているとも指摘できるのだが、抱えている末広がりの傾向資質が絶大で、これはもう唸るしかない。ふむ、“ファンクの使徒”ではなく、完全に“ゴスペルの使徒”でしたね。実はゴスペルの美点をこれでもかとコペルニクス展開させて出していた〜ようは、つきるろころはゴスペルと思わせた〜のがプリンス(2002年11月19日)であったとぼくは常々感じる者であるのだが、ヘンリー公演に接していてなぜかプリンスを頭の片隅に覚えたりしたんだよなー。
会場はけっこう入っていた。来日アーティストの公演が次々にキャンセルされるなか悠々と開かれたこのライヴ(4日まで)ゆえ、よくこんなおりにやってくれましたという気持ちもあってか、観客の反応も熱い。とともに、ゴスペルは強い。その巨木が大地に根を張っている感覚が、また接する者を安心させ、鼓舞する。うーん、これはけっこう忘れがたいショウになるかもなあ。
▶︎過去の、コリー・ヘンリー
https://43142.diarynote.jp/201709101639096076/ 挾間美帆への客演、そして彼のリーダー公演
▶︎過去の、スナーキー・パピー
http://43142.diarynote.jp/201606171730294884/
http://43142.diarynote.jp/201704200801169451/
▶︎過去の、ロバート・ランドルフ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200907310050296060/
http://43142.diarynote.jp/201203061824335340/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶︎過去の、トン・ゼー
https://43142.diarynote.jp/201911011701216748/
▶︎過去の、エラ・メイ
https://43142.diarynote.jp/201911021100591246/
▶︎過去の、ジョエル・ロス
https://43142.diarynote.jp/201911131405562579/
▶︎過去の、アイズリー・ブラザーズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
https://43142.diarynote.jp/200403011119270000/
▶過去の、アイザイア・シャーキー
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201508200741137207/
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201612171246253699/
https://43142.diarynote.jp/201806051311346158/
▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
https://43142.diarynote.jp/201806051311346158/
https://43142.diarynote.jp/202002211026566257/
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
<今日の、確認>
会場に向かっていると、前に知り合いのH君がいる。よおっと声をかけると、「あーいつものA輔さんに会って、ホっとする〜」と言われる。それは、何より。と書きつつ……
10日も空いての、ライヴ行きとなるんだよなあ。大腸のポリープ除去を受けたため(先延ばしにすると、もっと外出するのが憚られるような状況になるような気もして、即やっちゃった。そんなに急がなくてもいいよと医者からは言われたんだが)当面お酒を飲んじゃいけないことにくわえ、先週中旬いこう鼻水が出て(花粉症じゃないかという人がいた。ついに発症?)少し咳も出たりして(冬は風邪をひいても気にしないぼくではあるが、これまで風邪ぽくならなかったのは例年と大きく異なる。やはり、今年は暖冬なのだろうか?)、少しライヴに行くのを控えていた。やっぱり、咳をしている人が隣にいたら嫌だろうし、平熱ではあるのだけど万が一キャリアだったとして、そうした場合の迷惑をかける度合いの大きさを考えると集団の空間に行くのは怯む。ま、逆もそうだけど。手術を受けた翌日(22日)には、ムーン・ロマンティック・ジャズ・フェスティヴァルというのが青山・月見る君想フ周辺の複数会場であり(純ジャズの出演者は、山下洋輔のみのよう)、それはちょい行ってみたかった。入場者の体温チェックや入場時のアルコール液手洗い徹底とか、その時点でクールにできることをやるようにして開催にこぎつけたようだ。
そしたら、その後、公演中止や会場閉鎖が相次ぎ……。https://43142.diarynote.jp/202002161253276164/ の欄外で書いていることがゲンジツになってきている。あーあ。能力も倫理観もゼロの最悪なおさに対する絶望もあり、ダークになっている自分がいる。まだ、311の体験があるから、マシではあるのだろうけど。とほ。自分の運を信じ、ポジティヴに行きたいが。
ライヴの帰り、寒くないし、電車に乗るのがなんかイヤだなあと思い、歩いて帰ろうとした。が、途中で渋谷のお店に入ってしまう。あら、後から来た人も含め、知り合いだらけ。お雛様が飾ってあり、桃の節句であるのを実感。飲んじゃいけないのでブルーノートと同じくハーブ茶を頼んだら、おしゃれなオーガニックなやつ(ハーブがそのまま押し花になったみたいのをお湯につける。フランスのル・ベンフィック社のもの)を出してくれた。そこからの帰りは寒さを感じたので、電車に一駅乗る。けっこう、混んでいた。
ともあれ、ライヴはいい。音楽はいい。
うれしい。半年経たずに、また来日をした。前回はトン・ゼー(2019年10月31日)とエラ・メイ(2019年11月1日)という黄金の初来日アクトのホール公演と完全に重なっており、ヘンリー公演に行けなかった。今回の同行者はジャズ・トランペット大御所故人のクラーク・テリー、ロナルド・アイズリー(2001年12月6日、2004年3月1日)やアイザイア・シャーキー(2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年12月12日、2018年6月2日)とも絡むベース奏者のシャレイ・リード、やはり一時スナーキー・パピーのレコーディングに入っていたドラムのタロン・ロケットの演奏陣に、タマラ・フィンガルとフィリシャ・ミッチェルという2人のコーラスがつく。
ゴスペルはすべてに通ず。そんな内実が溢れるパフォーマンスに、大きくうなずく。ヘンリーはハモンド・オルガン、2台のシンセサイザー(コルグのクロノスと、ピッチ・ベンド使用の単音弾きのみに使った〜ぼくにはメイカーが分からなかった〜もの)とフェンダー・ローズの4種のキーボードを置く。が、7割はオルガンで勝負という感じであったか。
頭の2曲は3人の演奏陣のみで、インストのパフォーマンス。1曲目はもろにゴスペル調で迫るが、オルガン・ソロの噴出感がすごい。ジョエル・ロス(2019年11月12日)のデビュー作『キング・メイカー』(ブルーノート、2019年)のジャズ・ジャパン誌のディスク評で<ヴァイブラフォン捌きがラップをしているがごとく>というようなことを書いたりもしたが、よりコーリーの演奏の方がそういう感じがあり、ヒップホップ時代のほとばしり感を抱えていると言いたくなるか。その次のインストはもろにジャズ・オルガン王道調にあったが終盤はやはりゴスペル情緒濃厚となる。ときに前のめりになるぶっといエレクトリック・ベース(5弦だったか)演奏も、かなりゴスペルの下地ありと思わせるものだった。ドラマーは持ち運びが大変そうな面が歪んだシンバルを使用。同様のものを、先日のクリス・デイヴ(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日、2016年1月25日、2016年10月11日、2018年6月2日、2020年2月20日)も使っていたな。
その後は、2人の女性シンガーも加わり歌ものをやる。で、最初の曲はビー・ジーズのディスコ期の大ヒット曲「ステイン・アライヴ」だったのだが、なんか華やかでいい感じ。この曲、ウケますね。そして、やはりここにもどこかゴスペルの魔法が効いていると言いたくなる。女性陣は基本ユニゾンで歌い、歌も歌うヘンリーがハーモニーをつけるノリの曲もある。ヘンリーの歌はどこか節回しのつけ方がスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)的と思わせる部分があった。実はワンダーの歌唱にゴスペルの影を見たことはあまりなかったが、逆引き的に御大の歌もゴスペルから来ているんだなとふと思う。
とかなんとか、ゴスペルの音楽的回路を根に置きまくった実演。ゴスペルはR&Bに、ファンクに、ジャズに、ポップスに、コンテンポラリーなダンス・ミュージックに……すべてに通ず。まあ、米国黒人音楽の滋養としてゴスペルがあるのは厳然とした事実なわけで、ヘンリーは当たり前のことをしているとも指摘できるのだが、抱えている末広がりの傾向資質が絶大で、これはもう唸るしかない。ふむ、“ファンクの使徒”ではなく、完全に“ゴスペルの使徒”でしたね。実はゴスペルの美点をこれでもかとコペルニクス展開させて出していた〜ようは、つきるろころはゴスペルと思わせた〜のがプリンス(2002年11月19日)であったとぼくは常々感じる者であるのだが、ヘンリー公演に接していてなぜかプリンスを頭の片隅に覚えたりしたんだよなー。
会場はけっこう入っていた。来日アーティストの公演が次々にキャンセルされるなか悠々と開かれたこのライヴ(4日まで)ゆえ、よくこんなおりにやってくれましたという気持ちもあってか、観客の反応も熱い。とともに、ゴスペルは強い。その巨木が大地に根を張っている感覚が、また接する者を安心させ、鼓舞する。うーん、これはけっこう忘れがたいショウになるかもなあ。
▶︎過去の、コリー・ヘンリー
https://43142.diarynote.jp/201709101639096076/ 挾間美帆への客演、そして彼のリーダー公演
▶︎過去の、スナーキー・パピー
http://43142.diarynote.jp/201606171730294884/
http://43142.diarynote.jp/201704200801169451/
▶︎過去の、ロバート・ランドルフ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200907310050296060/
http://43142.diarynote.jp/201203061824335340/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶︎過去の、トン・ゼー
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▶︎過去の、エラ・メイ
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▶︎過去の、ジョエル・ロス
https://43142.diarynote.jp/201911131405562579/
▶︎過去の、アイズリー・ブラザーズ
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▶過去の、アイザイア・シャーキー
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201508200741137207/
http://43142.diarynote.jp/201601260728484520/
http://43142.diarynote.jp/201612171246253699/
https://43142.diarynote.jp/201806051311346158/
▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
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http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
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▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶過去の、プリンス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
<今日の、確認>
会場に向かっていると、前に知り合いのH君がいる。よおっと声をかけると、「あーいつものA輔さんに会って、ホっとする〜」と言われる。それは、何より。と書きつつ……
10日も空いての、ライヴ行きとなるんだよなあ。大腸のポリープ除去を受けたため(先延ばしにすると、もっと外出するのが憚られるような状況になるような気もして、即やっちゃった。そんなに急がなくてもいいよと医者からは言われたんだが)当面お酒を飲んじゃいけないことにくわえ、先週中旬いこう鼻水が出て(花粉症じゃないかという人がいた。ついに発症?)少し咳も出たりして(冬は風邪をひいても気にしないぼくではあるが、これまで風邪ぽくならなかったのは例年と大きく異なる。やはり、今年は暖冬なのだろうか?)、少しライヴに行くのを控えていた。やっぱり、咳をしている人が隣にいたら嫌だろうし、平熱ではあるのだけど万が一キャリアだったとして、そうした場合の迷惑をかける度合いの大きさを考えると集団の空間に行くのは怯む。ま、逆もそうだけど。手術を受けた翌日(22日)には、ムーン・ロマンティック・ジャズ・フェスティヴァルというのが青山・月見る君想フ周辺の複数会場であり(純ジャズの出演者は、山下洋輔のみのよう)、それはちょい行ってみたかった。入場者の体温チェックや入場時のアルコール液手洗い徹底とか、その時点でクールにできることをやるようにして開催にこぎつけたようだ。
そしたら、その後、公演中止や会場閉鎖が相次ぎ……。https://43142.diarynote.jp/202002161253276164/ の欄外で書いていることがゲンジツになってきている。あーあ。能力も倫理観もゼロの最悪なおさに対する絶望もあり、ダークになっている自分がいる。まだ、311の体験があるから、マシではあるのだろうけど。とほ。自分の運を信じ、ポジティヴに行きたいが。
ライヴの帰り、寒くないし、電車に乗るのがなんかイヤだなあと思い、歩いて帰ろうとした。が、途中で渋谷のお店に入ってしまう。あら、後から来た人も含め、知り合いだらけ。お雛様が飾ってあり、桃の節句であるのを実感。飲んじゃいけないのでブルーノートと同じくハーブ茶を頼んだら、おしゃれなオーガニックなやつ(ハーブがそのまま押し花になったみたいのをお湯につける。フランスのル・ベンフィック社のもの)を出してくれた。そこからの帰りは寒さを感じたので、電車に一駅乗る。けっこう、混んでいた。
ともあれ、ライヴはいい。音楽はいい。
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