渡辺貞夫

2017年12月16日 音楽
 アルト・サックスの渡辺貞夫(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日、2014年12月14日、2015年12月12日、2016年7月3日、2016年12月11日、2017年10月8日)、ピアノのサイラス・チェスナット(2009 年6月7日)、ベースのクリストファー・トーマス(2008年9月4日、2009年7月20日、2011年5月12日、2012年5月22日)、ドラムのブライアン・ブレイド(2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2008年9月4日、2009年7月20日、2011年5月12日、2012年1月16日、2012年3月15日 、2012年5月22日、2014年2月12日、2014年4月14日、2015年5月27日、2016年5月18日)からなるカルテットを、渋谷・オーチャードホールで見る。7カ所で持たれたツアーの楽日で、この4人で今年『リバップ』という正調方向にあるジャズ・アルバムを出している。

 演奏が始まってすぐに、今回御大の音色が澄んでいて奇麗と思わせられる。だが、途中から濁りが出てきたりもしたのだが、それはリードの問題だろうか。ま、それはともあれ、和気あいあいと今の凝らない(平たく言えば、テーマ→ソロ→テーマという図式を持ち、テーマとソロ部が渾然一体となったようなことはしない)アコースティック・ジャズを展開する。その新作から5曲だか(うち1曲は、アルバムともどもサックス独奏)をやり、他は渡辺の旧曲。そして敬愛するチャーリー・マリアーノの曲も二つ。また、スタンダードも1曲やったか。

 アルバムにせよ、このツアーにせよ、渡辺貞夫がブレイドと一緒にやりたくて企画されたもののようだが、ブレイドも楽しそうにやっていたな。が、それ以上に満面の笑みをたたえて演奏していたのが、ブレイドとは彼のリーダー・グループであるザ・フェロウシップ・バンド結成以降ずっと一緒にやっているトーマス。もうニコニコとヘラヘラの中間の表情を浮かべっぱなし。ときにコントラバス音にブーストがかかりすぎかと思える場合もあったが、仏頂面ではなく楽しそうな表情を浮かべる人の演奏に触れるのは精神衛生上よろしい。

 巨漢チェスナットと渡辺は旧知の間柄だが、彼はコンサヴァ志向の人と思っていたところそうでもなく、今回の演奏に触れて見直す部分があった。なんか、ソロで高音中心にキラキラしたフレイズを繰り出す様は個性あり。一方で、両手を駆使してごわーんと広がる音も出したりして、自分であらんとする意思はあちこちに見え隠れ。そのピアノの音、少しエコーが掛かり過ぎと感じもしたが、4人の音は細部まで良く聞こえ、それは聞き味の良さを助けていたはずだ。

▶過去の、渡辺貞夫
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200610080946310000/
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http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200907310048137248/
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http://43142.diarynote.jp/201107111008176019/
http://43142.diarynote.jp/201207031353196616/
http://43142.diarynote.jp/201212171647134119/
http://43142.diarynote.jp/201304031026406106/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201310050701201281/
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http://43142.diarynote.jp/201412281017371613/
http://43142.diarynote.jp/201512151504068292/
http://43142.diarynote.jp/201607100827363436/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
http://43142.diarynote.jp/201710121700178187/
▶過去の、サイラス・チェスナット
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
▶︎過去の、クリストファー・トーマス
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/200908061810483865/
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/
▶過去の、ブライアン・ブレイド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/200908061810483865/
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
http://43142.diarynote.jp/201201171011033219/
http://43142.diarynote.jp/201203161146266803/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20140212
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
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http://43142.diarynote.jp/201605240831421865/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160803

<翌日の、ニューオーリンズのヨロラ大学卒業者>
 午前中にホテルで、本日帰国するブライアン・ブレイドにインタヴューする。うわぁ望外にナイス・ガイにして音楽のムシで、もっとファンになっちゃったよお。返答も実に的確だった。結成20周年となるザ・フェロウシップ・バンドはこの秋にブルーノートから新作『ボディ・アンド・シャドウ』を出したが、ジャズ衝動と審美眼が導く情緒が解け合う佳作でよろしくされたい。それは今のジャズの表情/ありかたの一つを示唆するものだ。

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