今年でデビュー40周年となるザ・ダーティ・ダズン・ブラス・バンド(2002年7月30日、2004年7月27日、2004年9月17日、2007年5月15日 、2004年9月17日)の今回の最初の曲は1984年デビュー作のオープナーとなったオリジナルの「ブラックバード・スペシャル」であり、アンコールではやはり同作に入っていたトラディッショナルの『リル・リザ・ジェーン』をやった。まあ、基本やり続けてきた曲で意図はないだろうけど、スタート時を思い出そうとているのかとか、ほんの少し思ってしまったな。

 今回の構成員はスーザフォンのカーク・ジョセフ、ヴォーカルや煽り役も担うもトランペッターのグレゴリー・デイヴィス、テナー・サックスのケヴィン・ハリス、バリトン・サックスのロジャー・ルイス、ギターの新村健、ドラムのジュリアン・アディソンという布陣。オリジナル・メンバーは先に名前を出した二人で、前回公演からトランペッターの一人が抜けて新たにロトンボーン奏者が人っていた。新村はニューオーリンズの在住で、タイトなビートを送り出すアディソンはアイオワ州の大学を出ていて、その後に同地にやってきたという。大昔は、デイヴ・ウェックル(2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2016年3月29日)が大好きだったらしい。あ、それからショウの中盤から日本人トランペッターの高澤綾が無理なく入った。面々、女性が入るとうれしそう。

 ジョセフの演奏が衰えているのは今に始まったことではないし、もう少し重厚に血湧き上がるようなアンサンブルを取って欲しいとか、1980年代中期の勇姿を知る者にとってはいろいろ不備も感じなくはない。だが、随所にあるニューオーリンズの地のものでしかありえないいろんな美点にどんどん発汗してしまったのは、まぎれもない事実。ぼくは金色に輝く楽器奏者たちが立つステージに接しながら、ここには<黄金の夢>があるぞとも思ってしまったんだよなあ。本編の最後、管楽器奏者たちは場内をパレードのごとく練り歩く。トロンボーン奏者は一切ソロを取らなかったが、横を通った際には一応過不足なく吹いているように聞こえた。8月3日の毎日新聞夕刊にライヴ評が出ます。

▶過去の、ザ・ダーティ・ダズン・ブラス・バンド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040727
http://43142.diarynote.jp/200410071540230000/
http://43142.diarynote.jp/200705181811530000/
▶過去の、デイヴ・ウェックル
http://43142.diarynote.jp/?day=20090618
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120613
http://43142.diarynote.jp/?day=20160329


<今日の、うれしいCD>
 唐突に、ベルリンから郵便物が届く。同地に居住するマリンバ/ヴァイブラフォン奏者の齊藤易子さんからのもの。彼女がニコ・メインホールド(ピアノ)とトビアス・シルマー(クラリネット、バス・クラリネット)と組んでいるココトブ(Kokotob)のアルバム『Flying Heart』(Clean Feed、2017)を、丁寧な文面ともに送ってくださった。発売元は、ポルトガルのアヴァン系レーベルとか。その真価を読み解くにはしばしの時間を必要とするだろうが、素晴らしく研ぎ澄まれ、えも言われぬ美が降り注いでいるような内容。曲は各人が出し合っていて、この編成でやる必然性もとても出ている。ディスク・ユニオンが扱い、スポティファイでも聞けるよう。そういえば、8月頭には、17歳で米国に渡りバークリー音楽大学などで学び、現在は独ミュンヘンに居住し来年2月にECMからリーダー・アルバムを発表するドラマーの福盛進也に取材することになっている。

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