アルト・サックス、そしてバリトン・サックスがリーダーの実演をハシゴする。六本木・ビルボードライブ東京と下北沢・THREE。

 まず、メイシオ(1999年8月6~8日、1999年10月28日、2001年4月17日、2002年11月19日、2005年9月6日、2007年9月13日、2009年1月21日、2010年2月16日、2010年9月3日、2013年2月2日)。ぼくが見た2013年公演と、同行するメンバーは一人をのぞいて同じ。前回参加の甥のマーカス・パーカー(ドラム)だけが抜けて、今度の新ドラマーはニッキー・グラスピーというブレイズ頭の女性。もしかして、彼女を除く演奏陣はもう20年ぐらい不動かも知れぬ? マーサ・ハイ(2005年9月6日、2007年9月13日、2013年2月2日、2014年12月30日)とダーリン・パーカーという女性コーラス陣も前回と同じだ。マーサ・ハイと比べると歌唱力が見劣りするダーリン・パーカーは性格が良さそうだが、メイシオと血縁ありかなしか。

 で、始まってしばらくはおなじみの行き方と思ったが、徐々に、今回は構成をいろいろシフトしていると思えたりも。一つは、オレがバンマスというところは出す一方、メイシオ・パーカーがかなり他のメンバーをフィーチャーするパートを与えていたこと。近年、そんなことなかった。結果、元P-ファンクのトロンボーン奏者のグレッグ・ボイヤーってそんなに上手くないことを確認させられたりもしたわけだが。逆に、ごんごんソロを取る曲もあったギターのブルーノ・スペイトは刻み以外の味も良い事を知る。彼ぜんぜんエフェクターは繋いでいないが、いい感じの濁った音を単音主体ソロで出していたな。キーボードのウィル・ブールウェアもいろいろと前に出る場面もある。それ、メイシオ・パーカーの負担軽減という部分もあったろいうが、それ以上に同じ顔ぶれでやっているがゆえマンネリにならないための変化希求と、ぼくには思えた。

 そうした末広がり指針(曲もアップ目主体とは言えなくなったと指摘できるだろう)は散漫という印象も導くが、それはドラマーの味も左右したかもしれない。ニッキー・グラスピーはちゃんとJB系ビートを出していたが、女性ゆえのダイナミズム/瞬発力の少なさは全体の強度や密度に影響を与えていたと思う。

 なんにせよ、ブラック・ファンクに欠かせない重要な種や癖、そしてエンターテインメント精神にあふれるショウ。よりスリムになりどこか精悍さをましたところもあるようなメイシオはステージ上で陽性の限りをつくしても、どこか陰影を感じさせる部分がある。だから、そんな彼は、スライの「イン・タイム」のカヴァーも似合うのだ。そういえば、彼はレイ・チャールズの真似をして歌うものもあった。

▶過去の、パーカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/augustlive.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/octber1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130313320000/
http://43142.diarynote.jp/200709171112310000/
http://43142.diarynote.jp/200901221504141906/
http://43142.diarynote.jp/201002171552164447/
http://43142.diarynote.jp/201009111624281899/
http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
▶過去の、マーサ・ハイ
http://43142.diarynote.jp/?day=20050906
http://43142.diarynote.jp/?day=20070913
http://43142.diarynote.jp/201302041827243806/
http://43142.diarynote.jp/201412310727087161/

 そして、下北沢に向かい、初めてのハコへ。だいぶ駅から三軒茶屋のほうに降りた所にあるハコで、安売り酒屋の地下にあり、その地階にはもう一ライヴ・ハウスが入っている。

 浦朋恵はクレツマー音楽に傾倒もし、一時はラリーパパ&カーネギーママ(2005年9月10日)にも在籍したことがあるという、バリトン・サックス奏者。おおらかな佇まいと好奇心旺盛さとどこかポワーンとトボけた諧謔が同居していて、それはバリトン・サックスの超然とした音色と繋がりもするか。この晩は、新作『なつめやしの指』(P—ヴァイン)リリースを受けてのもの。同作のプロデュースをしたオルガンのエマーソン北村(2005年2月15日、2006年8月24日、2010年9月19日) 、ギターの秋廣真一郎と八木橋恒治、 電気ベースの服部将典、ドラムの伊藤大地(2013年2月5日、2013年9月20日) 、パーカッションの宮本仁がサポート。部分的に、モッチェ永井もヴォーカルで加わる。

 彼女は、メロディを素直に吹き、曲によってはほんわか歌も披露する。演奏する曲調は主に、イ)マーティン・ディニー系エキゾ和み表現、ロ)スカ、ハ)ホンクなR&B、の3つと指摘できるか。伴奏陣は手堅く、確かな蓄積を感じさせ、そこには、もう一つの趣味性の高い日本の音楽シーンの積み重ねがあるとも思えたかも。他人曲もほのぼの取り上げているようだが、原曲を知らなくてもちゃんと彼女化されているのだろうなと思わせるのがポイント。確かな、キャラクター・ミュージックを送り出していると思った。

▶過去の、ラリーパパ&カーネギーママ
http://43142.diarynote.jp/200509130317590000/
▶過去の、エマーソン北村
http://43142.diarynote.jp/200502161844550000/
http://43142.diarynote.jp/200608271342350000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100919
▶過去の、伊藤大地
http://43142.diarynote.jp/201302091324078636/
http://43142.diarynote.jp/201309220902394351/

<今日の、街頭>
 ライヴを見る前に髪の毛をカラー/カット。いつもの店に行くために表参道を少し歩いたら、かなり夏リゾートっぽい感覚にあふれていて、あららー。浴衣もちらほら。ところで、どうしてアップルストアの横を通ると(表参道にもあります)少しイヤな気分になるのだろう? その後、二つ目のライヴを見るために、下北沢の通りを歩いたら、飲み屋やカラオケの客引きが多くて驚く。ずっと、こうだった? なんか感じ悪ぃ〜。

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