まず、18時から日比谷・ワーナーブラザース映画試写室で、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズを扱った2014年米国映画「ジャージー・ボーイズ」を見る。元々は、2005年初演でトニー賞他いくつもの賞を得るなど、高評価を受けている同名ブロードウェイ・ミュージカルを下敷きとするもの。そういえば、この晩に一緒に飲んだ知人は6月にNYに行った際、このミュージカルを見たよんと言っていた。

 驚いてしまうのは、これを監督しているのが、クリント・イーストウッドであること。いまや大監督であり、ジャズ好きでもある〜息子のカイル・イーストウッド(2006年11月3日、2010年10月19日)はジャズ方面に進んでいる〜イーストウッドが、白人ポップ・コーラス・グループを題材にする映画を撮ったことにはほんの少し驚きを覚える。ま、山と谷が少しづつある、堂にいった娯楽音楽映画に仕上がっているのは間違いない。

 おもしろいと思ったのは、登場人物が、劇中に突然カメラ(スクリーンの先にいる見る者)に向かって、主観的な気持ちを独白するところがいろいろあること。→そして、その設定は最後に実を結ぶ(?)。思わず、ぼくはたまたま見ている米国TVドラマ「ハウス・オブ・カーズ 野望の階段」における同様の仕掛けを思い出した。そういうの、過去にも例があるのだろうが、今流行りなのだろうか。と、たった二つのサンプルでそう語るにはあまりに無理がありますね。

 ぼくはザ・ビートルズ以前の白人音楽に暗い面もあり、それほどフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズに着目したことはない(それゆえ、今年1月の来日公演も、まいっかとなった。映画中で、「君の瞳に恋してる」が紹介もされるが、曲自体はもちろん自然に耳にして知っているし好曲と思っていたが、オリジナルがヴァリのソロ・キャリア用に作られたという事実は、初めて知った。トホホ)が、ニュージャージーのチンピラ主体で結成されたグループであり、ヴァリの個性的な歌い口(白人のファルセットは苦手とも再確認した)とメンバーのボブ・ゴーディオのフックを持つ曲作りが、その成功を支えたのはよくわかった。ヴァリ役のジョン・ロイド・ヤングをはじめ、グループの4人の役者中3人はミュージカル初期キャストが演じている。なお、この映画のエグゼクティヴ・プロデューサーは、ヴァリとゴーディオがやっているよう。9月下旬より、全国ロードショウとなる。

▶過去の、カイル・イーストウッド
http://43142.diarynote.jp/?day=20061103
http://43142.diarynote.jp/201010211706204508/

 その後、今日の夕方から丸の内周辺で始まる東京ジャズ会場に行く。野外のフリー・ステージ(<ザ・プラザ>)では、スイスのグランド・ピアノラマックスがやっている。リーダー格のレオ・タルディン(鍵盤)に加え、ドラマーのエリソン・グレンとシンガーのドム・ブルクハルターというトリオ編成でパフォーマンス。広義のクラブ・ミュージック要素とジャズ流動性を掛け合わせようとする意志を持つと、その指針は取れるか。現在はジュネーヴに住むタルディンは米国のニュー・スクール在学中に、モントルー・ジャズ祭国際ソロ・ピアノ大会で優勝。NY居住中にこのユニットを結成し、その2005年の初アルバムには同じくスイス出身のジョ・ジョ・メイヤー(2012年6月25日)がドラマー参加していた。

▶過去の、メイヤー
http://43142.diarynote.jp/?day=20120625

 その後、同フェスの<ザ・クラブ>と名付けられた会場となるコットンクラブで、カナダのシンガー、モリー・ジョンソンを見る。実は彼女には今日の午前中に取材をしたのだが、これがもう痛快なキャラの持ち主でなかばびっくりするとともに、おおいに共感。姉や兄も俳優や歌手や監督として活動している、トロント居住の彼女の6作目となる加ユニヴァーサル・ミュージック発の2014年作はビリー・ホリディ絡み曲集。実は彼女はジャズ一直線の人ではなく、サバけたキャラや経験が偉大なアイコンの世界に望む際に吉と働いている、と言いたくなるか。声と佇まいが、不足ないストーリー性を浮き上がらせるというか。そんな彼女の ショウはピアニストとコントラバス奏者(彼とは20年来の付き合いとなるという)をしたがえたもの。曲は新作披露曲を中心に、自らのオリジナル曲も。彼女の前作は過去発表した自己曲を再演したアルバムだ。

<先々週に見た、映画「ストックホルムでワルツを」>
 そういえば、書き記そうと思っていて忘れてしまっていたが、「ストックホルムでワルツを」という映画の試写を10日強前に見た。スウェーデンのジャズ歌手のモニカ・ゼタールンド(1960〜70年代前半に活躍。1937〜2005年)を題材にした2013年スウェーデン映画。小難しい面も持ったシングル・マザーであるゼタールンド役を同国のシンガーであるエッダ・マグナソンが演じ、劇中で自ら歌っているが、なかなか善戦。また、同国のジャズの受け取られ方も少しは肌で感じることができるか。
 金髪の本人の写真はとても綺麗で、一部アメリカ進出ができたのも、なるほどと思う。最初の米国行き(これは、見事に失敗したよう)を誘ったのは著名米国ジャズ評論家のレナード・フェザーであったようで、それは映画できっちり描かれる。また、後に彼女はビル・エヴァンスと録音(彼の美曲「ワルツ・フォー・デビー」をスウェーデン語で歌ったりもした。映画の原題は「ワルツ・フォー・モニカ」。意味不明の邦題は、そこから来ているのだろう)したことでも知られ、映画のクライマックスは彼のトリオと一緒にNYのクラブで共演するシーンだ。

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