『〜たのしい東京アワーズ〜大東京ゴールデンショウ』と題された出し物で、生理的にほんわかしたポップ・ミュージックを聞かせる3組が出演した。下北沢・440。

 まず、大島武宜(ギター、歌、キーボード)と伊藤絵里(キーボード、歌、パーカッションや鳴り物)からなるタとエというデュオ・ユニットが出てきたが、これには驚く。反復っぽい楽曲設定のもと洒脱にポップネスを広げていくと書けそうなことをやっているのだが、これはペンギン・カフェ(2014年9月27日、2017年7月8日)の公演に前座として出たら、お客も出演者も日本にはこんなにイケてるストレンジ・ポップをやるユニットがあるのかと仰天しちゃうんじゃないか? 二人だけなのに演奏部も広がりがあるし、基本二人一緒に歌われる歌も誘いを持つ。女性の方は5人組のプログ・ロック・バンドも組んでいてそちらではパーカッションを担当しているらしいが、美しくよじれる箇所を持つキーボードの音も素敵。この二人のパフォーマンスでダメなのは、下手くそな男性のMCのみ。

 次は、歌と生ギターのしみずけんた、ウッド・ベースの宇都ぽん良太郎、打楽器の渡辺英心(英心と宮本仁、クラリネットの近藤哲平からなるコロリダス(2013年2月3日、2014年1月18日、2016年2月28日)。もともと英心は秋田在住、この初春からしみずは熊本、今夏からぽんは鹿児島在住とかで、これからライヴを見ることができる機会は少なくなるのかもしれないが、やっぱりいいライヴ・バンドだよな。今回思ったのは、ツイン・パーカッションゆえの押し出しの強靭さがあり、グイグイとショウが進むこと。一方で、しみずのほんわか系ラヴ・ソングがじわんと余韻を残したりもし、その両方向は重なり合いにくいものであるのかもしれないが、ゆったり両立を図ってもらいたいなと思った。

 そしてメインの出演者は、たのしい東京。かつてサンバマシーンズ(2010年12月27日、2011年2月11日、2011年5月8日、2012年6月8日、2012年10月27日、2013年2月11日、2013年8月24日、2014年6月15日、2015年7月12日)でアルト・サックスを吹いていて、現在は廣瀬真理子とPurple Haze (2015年7月12日。10月に2作目が出る)やたおやめオルケスタ(2011年4月8日。夏に新譜が出た)に参加している沼尾木綿香(2010年12月27日、2011年2月11日、2011年5月8日、2012年6月8日、2012年10月27日、2013年2月11日、2013年8月24日、2014年6月15日、2015年7月12日)が率いるラージ・アンサンブルだ。

 ここではアンサンブルの関係だろうフルートを主に吹く沼尾にくわえ、ヴォーカルの大塚望(2015年7月12日)、クラリネットの新谷健介、トランペットの佐瀬悠輔、ギター(と一部バンジョーの)高木大輔、ダブル・ベースの遠藤定、ドラムの田中涼という面々がステージに立つ。この顔ぶれ以外に、鍵盤や菅2本が入る場合もあるらしい。面々は皆、洗足音楽大学ジャズ科の3年の幅の間にいた学友で、皆20代なようだ。

 四季にまつわる曲を1曲づつ収録した『春夏秋冬』(ウルトラヴァイブ、APLS1607)という4曲入り作を昨年リリースしているが、季節柄(?)そこからは「夏の終わり」という曲だけを披露し、あとはアルバムとは全然関係のない曲をやる。作曲(歌詞がある場合は大塚がつける)と編曲は沼木が担当、この晩はオリジナルとカヴァーが半々であるとか。なんにせよ、ジャズの洒脱な様式や優美なイメージを柔和にして親しみやすいJ-ポップ的感性と交錯させようとしたことをやっていると言えるか。そのほんわかした脱ジャンル的な広がりは、映像音楽需要があるやとも感じる。

 へえと思ったのは、ジャズ曲カヴァーのうち2曲がチャールズ・ミンガスの「ブギー・ストップ・シャッフル」と「ベター・ゲット・ヒット・イン・ユア・ソウル」であったこと。おお。聞けば、沼尾はミンガスのことが好きなんだとか。そちらもヴォーカルは入りで披露。大塚が歌わない曲はメンバーがソロを回した1曲だけだった(よな?)。

▶︎過去の。ペンギン・カフェ
http://43142.diarynote.jp/201409291720019557/
http://43142.diarynote.jp/201707101243147840/
▶過去の、コロリダス
http://43142.diarynote.jp/201302041828146553/
http://43142.diarynote.jp/201401200835094139/
http://43142.diarynote.jp/201603011023174338/
▶過去の、沼尾木綿香
http://43142.diarynote.jp/201101061047294455/
http://43142.diarynote.jp/201102121002078478/
http://43142.diarynote.jp/201105140858559432/
http://43142.diarynote.jp/201206120854205300/
http://43142.diarynote.jp/201211151028209850/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201405051105329639/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/201507190815468497/
▶過去の、サンバマシーンズ/カルナバケーション関連
http://43142.diarynote.jp/201101061047294455/
http://43142.diarynote.jp/201102121002078478/
http://43142.diarynote.jp/201105140858559432/
http://43142.diarynote.jp/201206120854205300/
http://43142.diarynote.jp/201211151028209850/
http://43142.diarynote.jp/201302181123344904/
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201405051105329639/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160211
http://43142.diarynote.jp/201605240833401202/
▶︎過去の、大塚望
http://43142.diarynote.jp/201507190815468497/
▶過去の、たをやめオルケスタ
http://43142.diarynote.jp/201104101221012622/

<今日の、大団円>
 たのしい東京のアンコールで、先に出た2組も登場。その1曲目は選抜の3人が加わり、2曲目は出演者全員が壇上に上がった。なるほど、『〜たのしい東京アワーズ〜大東京ゴールデンショウ』と冠するだけはある?  ほのぼの〜、ですね。