ギタリストの渡辺香津美(2004年12月15日、2010年9月1日、2010年9月5日 、2010年11月20日、2012年3月20日、2016年6月4日、2016年9月4日、2017年9月2日、2018年4月6日、2013年8月1日)がデビュー作『Infinite』(東芝音工)を出したのが17歳のときで、それが1971年。川崎駅近くのミューザ川崎シンフォニーホールで、その50周年を冠する何気に幅の広い設定を持つ公演を見る。

 いろいろなギターを手にする当人に加え、クラシックのフルート奏者である荒川洋(綺麗にソロを取っていた)、エレクトリック・ベースのコモブチキイチロウ(2011年1月21日、2012年4月10日、2012年11月10日、2012年11月25日、2013年7月10日、2013年7月27日 、2018年10月6日、2019年10月6日、2021年6月23日 )、フラメンコ・ギターの沖仁(2011年1月21日、2013年8月1日)という陣容なり。ただし、ポイントはこの4人で一緒にやる曲もあるのだが、それぞれのデュオ、渡辺以外の一人が抜けて3人でやったりと、曲ごとに様々な編成で演奏したこと。ドラムレスなので室内楽的志向を取ると書けなくもないのだが、実はけっこう演奏に内在するテンションは高く、場合によってはダイナミックという形容も可能だったか。

 1部はすべて渡辺曲を演奏するが、たとえば沖の個性も介した著名曲「ユニコーン」なんて、完全に「哀愁のユニコーン」とも言うべき聞き味になっていた。2部はベートーヴェンの「悲壮」やラヴェルの「ボレロ」、さらに谷川公子の曲も悠々と演奏する。また、2部ではヴォーカリストのSHANTI( 2012年3月23日、2015年7月23日 )が出てきて、4曲歌う。

 彼女はこの2月にお母さんになったそう。ここのところはあまり歌っていないのか、音程が不安定に聞こえて少し気の毒になった。のではあるのだが、その一方で立派だなとぼくは頭を垂れた。というのも、彼女が歌ったのはフォスターの「ハード・タイムス・カム・ノー・モア・アゲイン」やスコットランド民謡発祥の「ウォーター・イズ・ワイド」というメッセージ性の強い古曲。ノーベル文学賞受賞者のボブ・ディランもその2曲をカヴァーしているわけだが、マスクなしでは外出できないこの困難な状況にあってはやはり意味のあるものとして届く。これらヒューマン曲を誰が選んだのかは知らないが、彼女が入ったヴォーカル曲ががこの公演をぐっと意味深いものにしていたのは確かだ。また、彼女は渡辺の求めに従い彼と谷川の共作曲「Soleil」にも急遽英語詞をつけたとのことだが、そちらも人間愛に満ちたものだった。

 あっさり聞こうと思えばそれも可能ながら、いろいろと情報と襞を持つ公演ではなかったろうか。

▶過去の、渡辺香津美
http://43142.diarynote.jp/200412212102130000/
http://43142.diarynote.jp/201009030955539620/
http://43142.diarynote.jp/201009171511588216/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101120
http://43142.diarynote.jp/201203260803216950/
http://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
https://43142.diarynote.jp/201804071041255956/
▶︎過去の、コモブチキイチロウ
http://43142.diarynote.jp/201101231224498510/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120410
http://43142.diarynote.jp/?day=20121110
http://43142.diarynote.jp/?day=20121125
http://43142.diarynote.jp/?day=20130710
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
https://43142.diarynote.jp/201810090958036278/
https://43142.diarynote.jp/201910070759405954/
https://43142.diarynote.jp/201910291633402258/
▶︎過去の、沖仁
https://43142.diarynote.jp/201101231224498510/
https://43142.diarynote.jp/201308091149599475/
▶︎過去の、シャンティ
https://43142.diarynote.jp/201203260806527228/
https://43142.diarynote.jp/201507251003319800/

<今日の、会場>
 川崎駅に降りる。きょろきょろ。等々力競技場での川崎フロンターレの試合は見に行ったことはあったが、それは武蔵小杉駅からだからなあ。前にブーツィ・コリンズ(2011年8月12日、2012年5月31日)を川崎チッタに見に行ったのが2011年なので、ちょうど10年ぶりのカワサキ行き? そのときは車で行っており、それ以前もそうなので、もしかすると電車で川崎駅に行くのは初めてか? 30年前ぐらいはけっこうスマッシュがチッタで公演をやっていたことがあり川崎に出向くこともあったが、そのときの街の印象とはあまりに違うので驚く。実際、チッタはJRの線路を挟んで反対側であるのか。初めて行く会場は駅そばのデカいビルの中にあった。場内は楕円の形が取られており、一番下のフロアは半分がステージになっていてかなり広い。木の質感も活かしつつ、ステージを楕円形の各席スペースが段となり囲むと言う感じ。立派なパイプ・オルガンも設置されていた。開館以来何度ちゃんと使用されたのだろう。
▶過去の、ブーツィ・コリンズ
http://43142.diarynote.jp/201108131129381378/
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/

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