ピアノの大西順子(1999年10月9日、2007年9月7日、2010年9月30日、2010年12月22日、2011年2月25日、2011年8月6日、2015年9月6日、2018年2月8日、2019年2月17日、2018年2月8日)とダブル・ベースの井上陽介(2006年1月21日、2008年8月19日、2009年4月1日、2010年12月22日、2012年8月24日)とドラムの吉良創太とパーカッションの大儀見元(2005年6月9日、2006年2月16日、2006年7月10日、2006年8月24日、2011年1月21日、2013年3月26日、2014年9月7日、2018年5月13日、2020年11月18日)という顔ぶれの新カルテットを、南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。ポイントは打楽器奏者入りの編成であること。少し前は管楽器奏者たちを使いこなす路線を取っていた彼女だが、次のタームに移ったということか。
 
 オープナーは、10年強前のトリオ作のタイトル・トラックでもあったオリジナルの「Musical Moments 楽興の時」。過剰にハネないその演奏を聞いて、ピアノ・トリオに打楽器がもたらす奥行きやエキゾな襞を介さんとするものかと感じる。途中からは、もっと大儀見の音が大きくなり、弾む感じが増した。

 また、一方で「オールモスト・ライク・ミー」(2017年作『GLAMOROUS LIFE』で取り上げた、1964年プログ・ブラック・ジャズ曲)や故ジェリ・アレン(2004年11月3日、2005年5月11日)の1984年曲「プリントメイカーズ」というかなり構成に凝った(だまし絵的という形容もあるか)曲も取り上げており、パーカッション音の存在は楽曲がもたらすとりとめのなさに芯を与えていた。なんにせよ、ラテン・ジャズをやりたくての方策ではなく、もう一つのアクセントや陰影を獲得するために打楽器を入れているのだとぼくは了解。そして、パーカッション入りのジャズも悪くないよなー、それに留意して過去のジャズ表現を振り返ってみようかと思ったりもした。MCで、大西は大儀見のことを欠かせない起爆剤的な人材であると紹介していた。

 本編5曲。そして、アンコール。であるのだが、アンコールの曲にはいささか驚かされる。なんと、大儀見元がパーカッションを叩かずまっすぐに歌う、ザ・ビートルズ曲「フール・オン・ザ・ヒル」のカヴァー。井上もベースを弾きながらコーラスをつけ、オリジナルのリコーダーが入る間奏部でその二人は口笛を吹いた。原曲感を大切にしたそれ、まあ芸がないと言えばないのだが、ものすごくいい。身体に入ってくる。こういうことをやる人は信用できると、大きく頷いた
 
▶過去の、大西順子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/octber1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200709131138020000/
http://43142.diarynote.jp/201010030952428017/
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
http://43142.diarynote.jp/201102261254532443/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110806
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/201610311054183284/
https://43142.diarynote.jp/201802091845433242/
https://43142.diarynote.jp/201902181354161728/
https://43142.diarynote.jp/201712201609098430/ カーター時代の大西の思い出を記した項
▶︎過去の、井上陽介
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/ 三好“3吉”巧郎
http://43142.diarynote.jp/200808221745590000/ 塩谷哲
http://43142.diarynote.jp/200904061348147316/ ヒラリー・コール
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/ 大西
http://43142.diarynote.jp/201209181226141636/ 塩谷
https://43142.diarynote.jp/201802091845433242/
▶︎過去の、大儀見元
http://43142.diarynote.jp/200506120644360000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060216
http://43142.diarynote.jp/200607110800410000/
http://43142.diarynote.jp/200608271342350000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110121
http://43142.diarynote.jp/201303290751204240/
https://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
https://43142.diarynote.jp/201805150750157494/
https://43142.diarynote.jp/202011191142195242/
▶︎過去の、ジェリ・アレン
http://43142.diarynote.jp/200411071405440000/
https://43142.diarynote.jp/200505141717440000/

<今日の、プロフェッショナル>
 大西のブルーノート公演は昨日と今日の2日間。1日2ショウなので、4回のショウを持ったわけだが、それらで彼女はすべて異なる曲を弾いたという。なんかやる気満々というか、ジャズ演奏家の矜持をしかと感じさせる方策を取ったというしかない。あと、こういうおり、ライヴの回数が減り、ライヴの場のありがたみを再確認してのものであり、こんなときにライヴに来てくれる人をいつも以上に歓待したいという気持ちがあるようでもあり。まあ、正確なところは分からぬが、そう感じさせる実演が悪いはずがない。”バカの姿を借りた賢人”に、幸あれ。このクインテットで新作を撮る方向にあるようだ。

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