トランペットの黒田卓也(2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年5月25日、2015年1月30日、2015年2月15日、2016年9月17日、2016年12月16日、2017年7月12日、2018年2月21日、2018年4月4日、2018年9月21日)、テナー・サックスの馬場智章(2018年9月28日)、ピアノとキーボードの大林武司(2014年5月25日、2015年9月5日、2016年2月16日、2016年9月4日、2016年12月16日、2018年2月21日、2018年11月1日)、ダブル・ベースの中村恭士(2009年10月15日、2015年9月5日、2017年1月10日)、ドラムとパーカッションの小川慶太(2014年8月3日、2016年1月19日、2017年4月18日、2017年12月11日、2018年4月4日、2018年10月10日)、在NYの日本人たちで組まれたクインテットの実演を南青山・ブルーノート東京(ファースト・ショウ)を見る。

 ハービー・ハンコックの「処女航海」で実演は始められる。他は、面々のオリジナルをやったはず。大林は少しキーボードも弾くが、間違いなくアコースティック傾向にある生理的にストレートなジャズ。適切に今の“立ち”もどこかに宿していて、他力本願な成り立ち(TV「報道ステーション」のテーマ曲を録音するための企画で集められた。提出したデモに先方からなかなかOKが出ず、それでなにくそ今度こそはという気持ちになり、バンドの結成が固まったとインタヴューで言っていた)を持つにもの関わらず、きっちりグループの像が建立されているぢゃんと思わずにはいられず。全国ツアー中の一貫にある一つショウだが、面々が本当に伸び伸び楽しんでやっているのがわかる。中村の作(彼はいいコンポーザーでもある)の「G-Toku」の導入部の中村のソロ演奏がダンディで格好良すぎ、同曲における大林のソロも枠を一つ剥いたような鮮烈さがあり高揚した。黒田はマジなソロを取れるトランペッターであることを各曲示すし、彼より一回り下でまだ20代半ばの馬場も物怖じせずに対処(MCで、ミスター・チルドレンンの曲を歌ったよう)。小川はパンデイロを片手にドラミングする曲も1つ。新作でも、ブラジル味経由のそれは異彩を放っていたが、もっと多くの曲でやってほしかったな。

 会場は満場。意外に年配の人もいたような気がした。彼らがジャズの未来を切り開くとは思わない。だが、今の勢いあるジャズとしてのかなり輝かしいことを実演で示していたのは間違いない。

▶過去の、黒田卓也
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201501310942048841/
http://43142.diarynote.jp/201502170939564537/
http://43142.diarynote.jp/201609201835285184/
http://43142.diarynote.jp/201612181010384754/
http://43142.diarynote.jp/201707130853185809/
http://43142.diarynote.jp/201802221538438234/
http://43142.diarynote.jp/201804051207119119/
https://43142.diarynote.jp/201809221638262424/
▶︎過去の、馬場智章
https://43142.diarynote.jp/201809290719113115/
▶過去の大林武司
http://43142.diarynote.jp/?day=20140525
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160216
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
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http://43142.diarynote.jp/201702201427067352/
http://43142.diarynote.jp/201802221538438234/
https://43142.diarynote.jp/201811021046075049/
▶過去の、中村恭士
http://43142.diarynote.jp/200910161214535124/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20170110
▶過去の、小川慶太
http://43142.diarynote.jp/201408061110256933/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160119
http://43142.diarynote.jp/201704200801169451/
http://43142.diarynote.jp/201712121324481276/
http://43142.diarynote.jp/201804051207119119/
https://43142.diarynote.jp/201810170924585002/
https://43142.diarynote.jp/?day=20181117

 次は、丸の内・コットンクラブで、ホワイト・ブルース畑のギターと歌のジョシュ・スミスを見る。1979年コネティカット州生まれですぐにフロリダに家族とともに引っ越し、結婚を期に2002年からはLAに住んでいるという担い手。新作『バーン・トゥ・グロウ』(Vizztone)にはオルガンやホーン奏者たちも入っていたが、こも晩はベースのトラヴィス・カールトン(2007年9月19日、2011年4月12日。原稿では触れていないが、父親ラリー・カールトンの公演に同行している)とドラムのゲイリー・ノヴァク(2016年6月17日)という、どちらかというとフュージョン側にいるリズム・セクションを伴うトリオでことにあたる。カールトンは新作でも弾いていた。

 子供のころから南グロリダのライヴ・クラブにでたりして、14歳で初CDを出しているという早熟ギタリスト。この4月に2度目の来日を果たすマーカス・キング(https://43142.diarynote.jp/201708081443281390/、その最後のほうを参照のこと)をはじめ、白人ブルース・ロックの担い手にはそういう人が少なくないよなあ。

 ストレートに、“ホワイト”なブルース・ロック表現を聞かせる。ほとんどがブルース・コード崩し曲(アルバート・キングなどのブルース曲もやったよう)で、インストもやるが、多くの曲では本人が歌う。少し汚れた感覚をぼくは欲しいと思ったが、声はよく出ていて音程も確か。ギターは3種類用いたが、どれもレギュラー・チューニングであったよう。一瞬ジャジーな弾き方を見せたときもあったが、大半はブルース・ロック的奏法の王道にあるものを聞かせる。1曲だけ、けっこうトリッキーにソロを披露する曲があり、それにぼくは一番馴染んだ。彼は2000年代前半の2年間はジェシー・ハリス(2002年12 月21日、2005年9月7日、2006年1月23日、2006年4月22日、2007年3月11日、2009年3月31日、2010年10月10日、2011年8月6日、2012年7月16日、2013年5月26日、2016年4月27日、2016年9月8日、2017年6月10日)が全曲作曲関与した『リワインド』(ヴァージン、2004年)を出した都会派R&B歌手のリッキー・ファンテのグループに入っていたそうだが、ソウルっぽい弾き方は一切しなかった。

▶︎過去の、トラヴィス・カールトン
https://43142.diarynote.jp/200709201052530000/
https://43142.diarynote.jp/201104142209393004/
▶︎過去の、ゲイリー・ノヴァク
https://43142.diarynote.jp/201606201007017702/
▶過去の、ジェシー・ハリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130315380000/
http://43142.diarynote.jp/200601271859050000/
http://43142.diarynote.jp/200604251252010000/
http://43142.diarynote.jp/200703130418360000/
http://43142.diarynote.jp/200904040640421651/
http://43142.diarynote.jp/201010111257003810/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201305280925006733/
http://43142.diarynote.jp/201605141103337291/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160908
https://43142.diarynote.jp/201706111121479426/

<今日の、付記>
 ジョシュ・スミスの会場のホワイエにはギターやアンプが置いてあり、来場者が試奏できるようになっていた。楽器屋さんの一角が引っ越してきたみたい? 公演にはいくつものギター周辺機器メイカーが協賛としてついていたようだし、やはり客はギター好きの人が多かったんだろうな。そういえば、スミスはNAMM(アナハイムで1月に持たれるデカい楽器ショウ)で、そこに演奏モンストレイターでよく出ているらしい。向こうの知人がモノニオン(2017年9月1日、2018年3月22日)と彼がNAMMで一緒にやっているのを見たと言っていたよな。実はモノニオンもNAMMの常連で、そこでの確かな演奏と奇抜な外見で顔を広げたらしい。とともに、そういう楽器ショウで畑違いの奏者が出会うということもいろいろあるんだろうな。
▶︎過去の、モノニオン
http://43142.diarynote.jp/201709071307037021/
https://43142.diarynote.jp/201803231446465272/

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