DJをやる前にドラムを叩いていたというジェフ・ミルズ(2017年11月7日、2017年11月10日)がジャズ・フュージョン傾向のバンドをやりたくて組んだのが、スパイラル・デラックスだ。他の構成員は、モウグ・シンセサイザーの大野由美子(2002年1月13日、2003年11月8日、2004年12月12日、2006年6月22日、2011年9月16日、2012年6月1日、2015年6月9日、2015年7月30日、2016年9月1日、2017年3月24日、2018年4月26日、2018年9月1日 )、エレクトリック・ベースの日野“JINO”賢二(2006年1月9日、2011年7月25日、2012年3月24日、2014年4月22日)、そしてキーボードのジェラルド・ミッチェル。彼はミルズと旧知の間柄である米国人。その4人は、『ヴードゥ・マジック』というパリ録音のアルバムをリリース。そこには米国人女性シンガーも歌っていたが、彼女はの日野の推挙で入った。

 六本木・Super Deluxe、オール・スタンディング。けっこう、ノリですすめていたところはあったのではなかったのかな。ミルズのビート出しから始まり、それにメロディを出せる3者が呼応しながら、音を加えていくという感じ。そして、それを受け、ミルズがまたビートを変えていく。ショウを通して、思って以上に即興性が高いと感じた。

 実は、スパイラル・デラックスはミルズが機械音と併用してドラムを叩くプロジェクトと理解していたが、彼はボンゴやタンバリンを叩く場面も少しあったものの、全面的に機材経由でビートを送り出す。ただ、けっこうその場でパッドを叩いたりつまみをいじり4つ打ち基調のビートや流れを臨機応変に作っていて、その変化に合わせてスラッピング主体のJINO がジャズ的なウォーキング・ベースのフレイズにチェンジしたりもする。なんでも、彼らにはもっとアコースティックなセットもあり、その際はミルズがドラムを叩き、ミッチェルはグランド・ピアノも弾くのだそう。そのミッチェルはなかなかに優秀な指さばきでリフを入れていた。4人、とても楽しそうだった。

追記:あ、忘れました。本編最後に、若いアルトとテナー・サックス奏者が加わる。JINO流れの奏者であるように見受けられたが、真っ当な演奏を聞かせた。

▶︎過去の、ジェフ・ミルズ
http://43142.diarynote.jp/201711080729053828/
https://43142.diarynote.jp/201711110810235717/
▶過去の、バッファロー・ドーター/大野由美子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200606270001320000/
http://43142.diarynote.jp/200412212058580000/
http://43142.diarynote.jp/201109171049342536/
http://43142.diarynote.jp/?month=201206
http://43142.diarynote.jp/?day=20150609
http://43142.diarynote.jp/201508051544452721/
http://43142.diarynote.jp/201609200958472477/
http://43142.diarynote.jp/201708141221583726/
https://43142.diarynote.jp/201804271733498350/
https://43142.diarynote.jp/201809051532324111/
▶過去の、日野賢二
http://43142.diarynote.jp/?day=20060109
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120324
https://43142.diarynote.jp/201404260858553785/

<少し前の、メンバーの言葉>
「スパイラル・デラックスは私の長年の音楽活動の結晶です。他のミュージシャンと自由に演奏できる環境を作ることが目的です。日本には友人がたくさんいるので、興味を持ってくれるアーチストを探すのはそう難しいことではありませんでした」(ミルズ)
「バンドの趣旨は、何か新しい形のジャズ、フュージョン辺りの音を作っていく事と聞きました。私はフュージョンというジャンルは全く演奏したことがないくらい縁のない音楽だと思っていましたが、”新しい形”という所に惹かれ、また90年代からジェフのファンなので喜んでお受けしました」(大野)
「メンバーの長いキャリアやバックグラウンドが様々なレベルに到達したと思っています。4人が一緒になる事で共通項を探し出し、そこから未知のものを探索することができました」(ミルズ)
 これらは、毎日新聞記事用に今年9月にやったメール・インタヴューの抜粋。ミルズの最初のターニング・ポイントは、「1989年にラジオの仕事をやめてプロのミュージシャン(DJ)になった時」とのこと。でも、もうデトロイトを離れて相当年月がたつようだ。また、彼は「 私たちはMIDIのシンクを使用して一つに繋がることをせず、もっと自由にプレイする方法をとっています。つまり、どんな時でもメンバーの一人がフリーにプレイし始めて曲の流れを変えていくことができます。テンポの変化、ソロ、即興などこういったこと全てがスパイラル・デラックスでは可能なのです」とも答えていて、まさにこの晩の演奏は発言通りの内容だった。

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