Shibuya Showcase Fest 2017は、昨日と今日、渋谷で開かれた音楽ショーケースのイヴェントだ。昼はいくつかのパネラー講演が持たれるとともに来日ミュージシャンや海外事務所とのミーティングの場が設けられ、夜は複数の会場でライヴが開かれる。11もの出演者が出演した木曜日の方は所用があり、2日目の方だけにぼくは行った。この日のライヴの場所は、チェルシー・ホテルとミルキー・ウェイ。東急ハンズの向かいに、ライヴ・ハウスが5つとか入っているビルがあるとは知らなかった。そのビルの一階にある食べ物テイクアウトの店はものすごい列になっていた。

+ガエル・バズウェル(チェルシー・ホテル)
 フランスの女性ロッカーで、出演者は日替わりとなるなか、彼女のみ両日このフェスに出演。ギターを弾きなが歌う長身の彼女に加え、ギタリスト(レギュラーとオープン・チューニングの2本のギターを用意し、後者の時はスライドも用いる)、ベース、ドラムという男性陣を従えパフォーマンス。英語で堂に行ったアーシィなアメリカン調ロックを聞かせる。新作『New Day’s Waiting』(Sacem、2017年)に入った「ソー・ブルー」はキース・リチャーズが歌ったザ・ローリング・ストーンズ(2003年3月15日)の「ハッピー」(1972年)の出だしを思い出させる。昨日はザ・ビートルズの改変カヴァーをやったそうだが、この晩はセルジュ・ゲンズブールの曲をカヴァー。この曲だけフランス語で歌ったわけだが、これがグルーヴィなロックンロールとなっていてアガった。
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm

+マイケル・カネコ(チェルシー・ホテル)
 オリガミ・プロダクションが送る、20代のくつろぎ系シンガー・ソングライター。東京生まれ、南カルフォルニア育ちでだそうで、ベース奏者とドラマーのサポートを受けて、自然体の歌を聞かせる。

+マタハリ(ミルキー・ウェイ)
 なんとチリから来たバンド。サンティアゴをベースとしていて、男女ヴォーカル(主にリード・ヴォーカルは声の響く女性が取る)、ギター、ベース、ドラム、パーカッションという編成。キーボードレスの構成だが、プリセット音の併用で、そちらの音も聞こえる。そんな面々は、米国の70年代調のディスコ、ポップ・ファンクを自分たちのノリに置き換えて披露。曲自体はそんなにひねりはないのだが、スペイン語で歌われるそれらはなんか訴求力を伴い、身体を揺らさせる。

+民謡クルセイダーズ(ミルキー・ウェイ)
 ほう、こんなん。面白い。男女のシンガー(男性は、もろな民謡歌い)、ギター、ベース、キーボード(女性)、パーカッション3人(うち一人は女性)、菅2人という10人編成で、日本の民謡とラテンやクンビアやダンスホールやファンクなどを掛け合わせたことを、アトラクティヴに披露する。客フロアには外国人も少なくなかったが、彼らにも大受け。キウイとパパイヤ・マンゴーズ(2010年12月27日、2012年1月28日)やアラゲホンジ(2012年10月10日)に続く、見どころありの新勢力。もう一度、ちゃんと見たい。
▶過去の、キウイとパパイヤ・マンゴーズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20101227
http://43142.diarynote.jp/201202071445258085/
▶︎過去の、アレゲホンジ
http://43142.diarynote.jp/201210111837516874/

+ゴスト(チェルシー・ホテル)
 オランダ人ロエル・バルマーのソロ・プロジェクトで、プリセット音を多用しながら歌う彼に、ドラマー(けっこう、腕が立った)が加わる形でパフォーマンス。すぐにぼくが想起したのは、ジェイムス・ブレイク(2011年10月12日、2013年6月4日、2017年2月25日)。ベニー・シングス(2011年8月9日、2016年9月22日 )も助力している彼のアルバム『メモリー・アイヴィ』(サイン・ポール)を聞いただけだとそれほどブレイクを想起しないかもしれないが、より才気が露わになる生だとそれはてきめん。ただし、ゴストの方がもっとアグレッシヴでポップではあるが……。
▶過去の、ジェイムズ・ブレイク
http://43142.diarynote.jp/201110161924242614/
http://43142.diarynote.jp/201306060730086224/
http://43142.diarynote.jp/201702261130301434/
▶︎過去の、ベニー・シングス
http://43142.diarynote.jp/?day=20110809
http://43142.diarynote.jp/201609230711454192/

<今日の、ミーティング>
 数日前に上出のガエルさんから、14日か15日にお会いできたらと直メールあり。けっこう綺麗っぽいし、断る理由があろうか。で、昼間に歓談。場所はフェス事務局が出演者商談用に複数フロアを押さえた渋谷のカラオケ屋の一室。へ〜え、カラオケ・ルームはとってもミーティングに向きであると思った。というのはともかく、彼女は笑顔でドラマーのスティーヴ・ベルモンテと待っていてくれた。ま、正式なインタヴューではないのでぼくのなんちゃって英語でもいいだろと単身会いに行ったわけだが、これが彼女たち、素晴らしい対応具合。まあ、メールでひどい英語スピーカーだから驚かないでねと、釘をさしておいたものの。もうウマがあい、話が弾む弾む。滅茶苦茶ながら、面白いように意思疎通が図れる。一応ICレコーダーで録音もしたが、それたとえばオレの葬式の時に流したら、そのバカ英語の様に皆んな口あんぐり、爆笑となるだろうな。ハハハ。もとい、両親がその手のものが好きで家にはたくさんヴァイナルがあり、彼女はブルースをはじめ自然とアメリカの音楽に親しんだとのこと。そして、それゆえにフランス語ではなく、英語で歌いたいそう。ボニー・レイット(2007年4月6日)は大好きだそうで、もっと成長したらフランス版ボニー・レイットみたいになると思ったと事前に彼女の音を聞いた感想を伝えると、とても喜んでいた。とにかく、ハートのある、びっくりするほどいい人たち。あっという間に、1時間弱の時間が過ぎた。
 彼女たちとの会談を終えて部屋を出ると主催者側の方から、もう一人アーティストと会って欲しいとの依頼。そして、昨日ライヴを行なったベルギー人女性シンガー/ピアニストであるマチル・ド・ルノーと別室で少し話をきく。彼女の自主制作盤『Lucky Number』には移ろいやすい景色を淡々と追っていくような、情処あるピアノ弾き語り主体表現がいろいろとならんでいる。彼女、来年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァル・イン・ジャパンに出る可能性があるようだ。何か国語も喋れるようだが語学はお得意なようで、来年までに日本語を覚えると自信ありげに言っておりました。
▶過去の、ボニー・レイット
http://43142.diarynote.jp/200704112101130000/
http://43142.diarynote.jp/200806121400260000/

追記;http://www.franceblues.com/?p=5841  わははは。

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