2016年ファースト作『ザ・ラスト・デイ・オブ・オークランド』でグラミー賞の<最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム>に輝いた御仁のショウが、タイムリーに南青山・ブルーノート東京で持たれた。ファースト・ショウを見る。

 ギター、キーボード、ベース、ドラムというワーキング・バンドに、20年来の親友であり、『ザ・ラスト・デイズ・オブ・オークランド』でも弾いている(データーの交換でなされたそう)日本人ギタリストとのマサ小浜が入ってのもの。ギタリストが二人いるためか、当人は多くの場合、ギターを持たずに歌う。また、キーボードを弾きながら歌う曲も1つあった。

 思ったほど、ブルースぽくはなかった。いや、ブルース派生のドロドロした得体のわからなさ=モーン(唸り)をゴンゴンと出す人かと思ったら、そうではなかった。その理由の一つはバンド音がかっちりしていて、カラフルであったこと。よりブラック・ロック的な造形を濃くしつつ、米国黒人音楽を俯瞰する意思を持つ、キャラ立ちもしているビート・ミュージックを繰り広げたと指摘するのが正しいだろう。あと、ところどころゴスペルぽいところもぼくは感じた。ま、曲者感は山ほど、ですね。

 紙を手にし、それ見ながらリーディングした場面もあり。そしたら、ユーモアたっぷりに、ひたすら“blah blah blah”と、彼は言う。あははは、サイコー。彼の格好は、写真や映像で見られるように、シャツやネクタイやベストやスラックスをお洒落に組み合わせる。そこに、彼は自らの主張を重ねている。クールで趣味よし、それぞれは10ドルとかで安いアイテムであるそうだが。なんと彼の奥さんは日本人だそうで、結婚式は日本でやり、子供は日本語がペラペラだそう。へえ〜。彼と日本的項目は結びつかなかった。ステージでも日本語は食べ物の名称以外は話さなかったはずだし。

<翌日の、クールなやつ>
 公演前に、楽屋でインタヴューをする。なんか、外見がアンプ・フィドラー(2004年9月25日、2005年7月30日、2012年12月9日、2016年11月29日、2017年2月9日)と重なる。うしし。その芸名を知った際に、ラサーン・ローランド・カークの『ヴォランティアード・スレイヴリー』(アトランティック、1969年)というアルバム・タイトルをぼくは思い浮かべた。それを彼に伝えると、「ホーン・プレイヤーだったっけ? クールな人なんだね」とニッコリ。彼は共感を持てる人として、昔のブルース・マンたちとともに、カマシ・ワシントン(2014年5月28日、2015年10月31日、016年12月6日)の名前も出した。そういやあ、ワシントンって、カークの音楽性を受け継いでいるところがある。ぼくは過去の本ブログで、ワシントンと渋さ知らズ(2004年9月1日、2006年1月14日、2006年1月21日、2006年8月27日、2006年11月15日、2006年12月1日、2007年1月13日、2007年6月13日、2008年7月6日、2009年7月26日、2009年9月27日、2010年4月22日、2010年9月19日、2013年5月19日、2015年6月15日)の曲調の親和性を指摘しているが、カークは渋さの多大なインスピレーションの一つであるのは疑いがないわけで、それも当然だよなあ。彼の話はとてもスマートで示唆に富む。その質疑応答の抜粋は、今月下旬発売のbsr誌に掲載。
▶︎過去の、アンプ・フィドラー
http://43142.diarynote.jp/200409280745560000/
http://43142.diarynote.jp/200508060616450000/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161129
https://43142.diarynote.jp/201702100924466798/
▶︎過去の、カマシ・ワシントン
http://43142.diarynote.jp/?day=20140528
http://43142.diarynote.jp/201511040742444324/
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
▶過去の、渋さ知らズ
http://43142.diarynote.jp/200409010713470000/
http://43142.diarynote.jp/200601161256540000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200609031311580000/
http://43142.diarynote.jp/200611190320370000/
http://43142.diarynote.jp/200612060135390000/
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
http://43142.diarynote.jp/200706162321180000/
http://43142.diarynote.jp/200807081247190000/
http://43142.diarynote.jp/200908180046187200/
http://43142.diarynote.jp/200910071809361076/
http://43142.diarynote.jp/201004231559516550/
http://43142.diarynote.jp/201009231554333481/
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/
http://43142.diarynote.jp/201506161247423392/

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