シカゴをベースに活動したブルース・マンの訃報が届いた。享年、93。弟のソウル主体顔役シンガー/ギタリストのシル・ジョンソン(2014年7月29日)も存命なはずで、長生き家系なのかな。もとい音楽的な才には恵まれてやはり弟のマック・トンプソンはマジック・サムのバンドでベーシスを弾いていたことで知られる。姪(シルの娘)はシリーナ・ジョンソン(2003年1月28日)ですね。

 ミシシッピー州ホーリー・スプリングの生まれ。本名はジェイムス・アール・トンプソン、当初はピアノを弾いていたという。シカゴに移ったのは1950年ごろ、ブルース・ギタリストとしてちゃんと活動したのは30歳を回ってからだった。ジョンソンという苗字に変えたのは、シル・ジョンソンという名前で活動していた弟に倣ったと言われる。そして、地の利を得て名のあるブルース・マンたちのサポートをし、オーティス・クレイ(2006年7月23日)やデニス・ラサール(2004年12月20日)らディープなソウル・シンガーとも仕事をした。

 リーダー作を出すのは1970年代中期以降、仏MCM、アリゲイター、デルマーク、ブラック&ブルー他からいろいろとアルバムをリリース。フィーチャリング・ビリー・ブランチ&ラッキー・ピーターソン(2016年4月10日、2020年5月18日)と副題されていた1994年作『I’m A Jockey』は仏ドリュフュス・ジャズの傘下レーベル“バードロジー”で録ったものが米ヴァーヴからもリリースされた。整った指さばきをし、マジック・サム愛好を思わせる甲高い声で歌った人物。『Every Day of Your Life』(Delmark、2019年)にあるように、伸びる甲高い歌声は晩年作まで変わりがなかった。同作には、レゲエ・ビートの曲も収められていた。

▶︎過去の、シル・ジョンソン
https://43142.diarynote.jp/201408051721103640/
▶過去の、シリーナ・ジョンソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm
▶︎過去の、オーティス・クレイ
https://43142.diarynote.jp/200607281032040000/
▶︎過去の、デニス・ラサール
http://43142.diarynote.jp/200412212106260000/
https://43142.diarynote.jp/?day=20180110 訃報
▶︎過去の、ラッキー・ピーターソン
https://43142.diarynote.jp/201604190912403018/
https://43142.diarynote.jp/202005181643344196/ 訃報

<今日の、チェック>
 アンテプリマ・プダクションズというところから、案内メールが1通。それは在欧(だと思う)ジャズ・ビヨンド歌手であるユン・サン・ナ(나윤선)の新作リリースの告知。ヴィデオ・クリップも添付されており、それがなかなか良かったので、嫌いなアップル社の音楽提供回路で彼女をチェック。こういうとき、本当に便利。かつてはサブスクリプションで音楽を聞くのだけは勘弁被りたいと思っていたが、選曲を頼まれてリストを送る必要性にかられてからはしっかり加入するようになり……。悔しいけど、楽。そりゃ、音質やクレジットやジャケットのカヴァー・ワークにこだわりのない人だったら、それで済ませちゃうよなー。だからこそ、アーティストにもっと分配金を! 
 話は戻って、1969年ソウル生まれのユン・サン・ナには感心。独アクトから何作も出しいて、確かな喉の力のもと今を見渡す視点を持つ俯瞰型のヴォーカル表現を作っている。彼女、フランス語と英語に堪能であるのかな。歌い込む場合は過剰さを覚えるが、引いた際の風情が美しい。そのスタンスは現代のジャズのあり方として正しい。

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