ネナ・チェリー。ナオ・ヨシオガ
2019年8月19日 音楽 さすが、キュートな姉御。すべてが、素晴らしすぎた。パンチ・ブラザース(2016年8月4日、2019年7月10日)を抜いて、今のところ2019年No.1公演となった。
変わらない魅力的な彼女の姿に触れながら、二十歳ちょいだったリップ・リグ+パニック(ローランド・カークの曲/アルバム名からきていますね)以来の来日になるのかとふと思う。来ていたら見ているはずだが、彼女を見た記憶がまったくないもの。その83年だかのリップスの公演には、ぼくのなかではマイルズ・デイヴィス以上に燦然と輝く自由ジャズ・トランペッターである義父のドン・チェリーも同行していたんだよなー。小さい頃からドン・チェリーにくっついて世界中を旅した彼女のしなやか枠超えスタンスはすべからく彼に負っている。で、この公演はサマーソニック出演を介してのもの。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。熱心なファンが来ていて、最初から拍手が熱かった。
会場に入り、ステージを見て驚く。いろんな機材からヴァイブラフォンやハープなどの普通のポップ・ミュージックのバンドには入らない楽器まで、数々のブツがどばーあと置かれている。事前の紹介HPでは同行メンバーの記載がなされていなかったので、どーいうライヴをやるのか皆目見当がつかなかったのだが、それだけでもうぼくの期待メーターは上がる。サポートのメンバーは6人で、うち女性が2人。マニュピレート専任の人もいる(多い時は、3人ほどエレクトロ機器と向き合っていた)が、結構みんな自在に楽器を持ち変える。その様も、本当にいい感じだ。
そして、皆さん何人なのかわからないが(英国人が多いのかなあ?)、腕と感性もいける。いくら電気音が幅をきかせようとプリセット音源を流していますという感じがなく、ちゃんと皆んなでオペレートしあいエクレクティック(その際、生楽器の音がモノを言う)なデジタル・ビヨンドの音を送出していて、それにはうなる。ある曲でプリセットのアルト・サックス・ソロが挿入されもしたのが、サウンドの全体像がとても有機的なので、一瞬誰かがサックスを手に取り吹き出したのかとぼくは思ってしまった。
そうした面々の先頭に彼女がいて、ゆうゆうと肉声を出す。もう態度が違う、位置する場所が常人とはまったく異なるという感じはアリアリ。かといって、物腰はフランクかつファンキーな余裕に満ちているのだから、これはタマが違うと悟らずにはいられない。義父バンザイ、とも。肝心の歌も、ぼくが想像していた以上に歌えていた。いい、シンガー。実は彼女の曲って、曲調だけをとると内省的と言えるようなものが多いのだが、それが様々な現代的な造形を身にまとい鮮やかに宙を舞う様にはほんと誘いに満ち魅力的。旧人気曲の「7セカンズ」や「バッファロー・スタンス」も衣替えして送り出される。後者はもともとラップ曲だが、ラップも堂にいったものだった。
▶︎過去の、パンチ・ブラザース
http://43142.diarynote.jp/201608100931466329/
https://43142.diarynote.jp/201907110708425985/
その後は気持ちを整え直し、南青山・ブルーノート東京で、日本人R&Bシンガーのナオ・ヨシオカのショウを見る。もともとあちらの奏者を使うなど本場を見据えた活動を標榜しているという印象があるが、現在はNYに住み、3年ぶりのアルバムのリリースをフォロウするものとなる。こちらのお客さんも熱い反応を示していて、コアなファンがついていることがわかる。
サポート陣はフィラデルフィアやNYに住んでいる人たちか。キンドレッド・ファミリー・ソウルのアルバムにも名を出すダイ・ミヤザキ(ギター)、ビラル(2001年8月18日、2017年1月24日)のアルバムで弾いてもいるコーリー・バーンハード(キーボード)、ウィル・ダウニングらのアルバムに参加しているシェルトン・グレイ(電気ベース)、透明アクリル板で囲まれたマーク・トーマス(ドラム)、ジル・スコットやザ・ルーツ(2002年12月29日、 2003年12月2日、2004年9月19日、2007年1月15日、2013年12月19日)のプロデュースをしているカーリ・マティーン(パーカッション、コーラス、チェロ)という面々。ミヤザキはいろんなソウル系演奏を的確にマスターしていますという音をテレキャターで出し、5弦のフレットレス・ベーズを弾くグレイは鍵盤のそれもいけた。パーカッションはあまり効いていないマーティンは、ピアノだけをバックにする曲でなんとエレクトリック・チェロを十全に弾いてびっくり。ソング・ライティングからオーディオ・プロダクションまで、裏方として有能な御仁なんだろうな。
そんな面々が出す音がでかくて、最初びっくり。小柄なナオ・ヨシオカがそれに負けず、透明感はあるものの声量ある歌唱で渡り合い、それにもへえと頷く。もうR&Bに対する純真だけに終わらぬパフォーマンスを彼女はちゃんと出していた。曲はそこそこ難しいものもあるが、それも歌い手としての向上心が導くものだろう。今年一番感激したショウの後に接するのはきついかなとふと思ったりもしたのだが、楽しめました。
▶︎過去の、ビラル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm サマーソニック
https://43142.diarynote.jp/201701251128533335/
▶過去の、ザ・ルーツ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040919
http://43142.diarynote.jp/200701201415300000/
http://43142.diarynote.jp/201312200917503345/
<今日の、サーヴィス>
ビルボードからブルーノートに向かう際、カミナリが光るのを確認。雨降るのかあ、そういえば天気予報の今日の夜の降水確率は40パーセントだったよなーとか思いつつ、入店。ライヴ終了後、上階に出ると入り口で店員さんがビニール傘をたくさん持っている。ドアの外を見ると、雨が降っている。傘を差し出され、「いただいちゃっていいんですか?」と尋ねる。「どうぞ、お持ち帰りください」。濡れずにすみ、とってもありがたかった。
ところで、今日の二つの出し物は本日1日限りのもの。大昔取材したこともある、豪州出身のダンス系R&Bシンガーのデニ・ハインズの公演も今日あった。新婚の知人がサポートをしているし、見たかったなー。
変わらない魅力的な彼女の姿に触れながら、二十歳ちょいだったリップ・リグ+パニック(ローランド・カークの曲/アルバム名からきていますね)以来の来日になるのかとふと思う。来ていたら見ているはずだが、彼女を見た記憶がまったくないもの。その83年だかのリップスの公演には、ぼくのなかではマイルズ・デイヴィス以上に燦然と輝く自由ジャズ・トランペッターである義父のドン・チェリーも同行していたんだよなー。小さい頃からドン・チェリーにくっついて世界中を旅した彼女のしなやか枠超えスタンスはすべからく彼に負っている。で、この公演はサマーソニック出演を介してのもの。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。熱心なファンが来ていて、最初から拍手が熱かった。
会場に入り、ステージを見て驚く。いろんな機材からヴァイブラフォンやハープなどの普通のポップ・ミュージックのバンドには入らない楽器まで、数々のブツがどばーあと置かれている。事前の紹介HPでは同行メンバーの記載がなされていなかったので、どーいうライヴをやるのか皆目見当がつかなかったのだが、それだけでもうぼくの期待メーターは上がる。サポートのメンバーは6人で、うち女性が2人。マニュピレート専任の人もいる(多い時は、3人ほどエレクトロ機器と向き合っていた)が、結構みんな自在に楽器を持ち変える。その様も、本当にいい感じだ。
そして、皆さん何人なのかわからないが(英国人が多いのかなあ?)、腕と感性もいける。いくら電気音が幅をきかせようとプリセット音源を流していますという感じがなく、ちゃんと皆んなでオペレートしあいエクレクティック(その際、生楽器の音がモノを言う)なデジタル・ビヨンドの音を送出していて、それにはうなる。ある曲でプリセットのアルト・サックス・ソロが挿入されもしたのが、サウンドの全体像がとても有機的なので、一瞬誰かがサックスを手に取り吹き出したのかとぼくは思ってしまった。
そうした面々の先頭に彼女がいて、ゆうゆうと肉声を出す。もう態度が違う、位置する場所が常人とはまったく異なるという感じはアリアリ。かといって、物腰はフランクかつファンキーな余裕に満ちているのだから、これはタマが違うと悟らずにはいられない。義父バンザイ、とも。肝心の歌も、ぼくが想像していた以上に歌えていた。いい、シンガー。実は彼女の曲って、曲調だけをとると内省的と言えるようなものが多いのだが、それが様々な現代的な造形を身にまとい鮮やかに宙を舞う様にはほんと誘いに満ち魅力的。旧人気曲の「7セカンズ」や「バッファロー・スタンス」も衣替えして送り出される。後者はもともとラップ曲だが、ラップも堂にいったものだった。
▶︎過去の、パンチ・ブラザース
http://43142.diarynote.jp/201608100931466329/
https://43142.diarynote.jp/201907110708425985/
その後は気持ちを整え直し、南青山・ブルーノート東京で、日本人R&Bシンガーのナオ・ヨシオカのショウを見る。もともとあちらの奏者を使うなど本場を見据えた活動を標榜しているという印象があるが、現在はNYに住み、3年ぶりのアルバムのリリースをフォロウするものとなる。こちらのお客さんも熱い反応を示していて、コアなファンがついていることがわかる。
サポート陣はフィラデルフィアやNYに住んでいる人たちか。キンドレッド・ファミリー・ソウルのアルバムにも名を出すダイ・ミヤザキ(ギター)、ビラル(2001年8月18日、2017年1月24日)のアルバムで弾いてもいるコーリー・バーンハード(キーボード)、ウィル・ダウニングらのアルバムに参加しているシェルトン・グレイ(電気ベース)、透明アクリル板で囲まれたマーク・トーマス(ドラム)、ジル・スコットやザ・ルーツ(2002年12月29日、 2003年12月2日、2004年9月19日、2007年1月15日、2013年12月19日)のプロデュースをしているカーリ・マティーン(パーカッション、コーラス、チェロ)という面々。ミヤザキはいろんなソウル系演奏を的確にマスターしていますという音をテレキャターで出し、5弦のフレットレス・ベーズを弾くグレイは鍵盤のそれもいけた。パーカッションはあまり効いていないマーティンは、ピアノだけをバックにする曲でなんとエレクトリック・チェロを十全に弾いてびっくり。ソング・ライティングからオーディオ・プロダクションまで、裏方として有能な御仁なんだろうな。
そんな面々が出す音がでかくて、最初びっくり。小柄なナオ・ヨシオカがそれに負けず、透明感はあるものの声量ある歌唱で渡り合い、それにもへえと頷く。もうR&Bに対する純真だけに終わらぬパフォーマンスを彼女はちゃんと出していた。曲はそこそこ難しいものもあるが、それも歌い手としての向上心が導くものだろう。今年一番感激したショウの後に接するのはきついかなとふと思ったりもしたのだが、楽しめました。
▶︎過去の、ビラル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm サマーソニック
https://43142.diarynote.jp/201701251128533335/
▶過去の、ザ・ルーツ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-12.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040919
http://43142.diarynote.jp/200701201415300000/
http://43142.diarynote.jp/201312200917503345/
<今日の、サーヴィス>
ビルボードからブルーノートに向かう際、カミナリが光るのを確認。雨降るのかあ、そういえば天気予報の今日の夜の降水確率は40パーセントだったよなーとか思いつつ、入店。ライヴ終了後、上階に出ると入り口で店員さんがビニール傘をたくさん持っている。ドアの外を見ると、雨が降っている。傘を差し出され、「いただいちゃっていいんですか?」と尋ねる。「どうぞ、お持ち帰りください」。濡れずにすみ、とってもありがたかった。
ところで、今日の二つの出し物は本日1日限りのもの。大昔取材したこともある、豪州出身のダンス系R&Bシンガーのデニ・ハインズの公演も今日あった。新婚の知人がサポートをしているし、見たかったなー。
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