映画「永遠に僕のもの」。ジェフリー・キーザー・トリオ
2019年8月2日 音楽 外苑前・GAGA本社試写室で、2018年アルゼンチン/スペイン映画「永遠に僕のもの」(原題:「El Angel」)を見る。監督は1980年ブエノスアイレス生まれの、ルイス・オルテガ。同国では知らない人はいないという1971年に実際に起こった美青年凶悪犯罪(その犯人は今も収監中という)にインスパイアされた映画で、アルゼンチンでは昨年のNo. 1ヒット作となったという。今月中旬から、ロードショー公開される。
主役は有名俳優の子息でラッパーもやっているというロレンソ・フェロ。ぼくはもっと美少年を使った方がアトラクティヴになるかと思ったが、まあ女性には受けそうで、思春期の説明のつかないモヤモヤは出していよう。意気がりや甘え、同性愛も示唆するようなうつろう思慕とかがいろいろ絡まり、普通の家庭に育った青年がなぜかばんばん人を殺す盗人になっちゃい、常軌を逸した行動に出たか〜というストーリーを、それなりに風情のある映像とともに描いている。
時は1971年で場所はブエノスアイレス(そんなに同地の形而上は描かれない)、言葉はもちろんスペイン語だ。劇伴はあまり流れず、おそらく当時のアルゼンチンのポップスが場に合わせて次々に使われる。大詰めの場面で用いられるのは、1930年代の米国トラッドでボブ・ディランやザ・アニマルズのヴァージョンでも知られる「朝日のあたる家」のスペイン語カヴァー曲だった。
その後移動し、丸の内・コットンクラブ。アート・ブレイキー、レイ・ブラウン、ジム・ホール(2005年1月18日、2012年6月4日)などの巨匠からの需要もあり(ブレイキーに最初に声をかけられたのは、17才だったと言われる)、90年代はサニーサイド、ブルーノート、コロムビアなどからリーダー作を出しかなり秀英であることを強く印象付け、一方では妙な捌け具合(?)も持ち、石垣出身のシンガー/三線奏者の大島保克(2015年2月26日)との双頭アルバムも2007年に日本のビクターから出していたりもするジェフリー・キーザー(2005年1月18日、2006年9月17日、2015年7月9日、2018年11月26日)のリーダー公演を見る。ファースト・ショウ。当初はジェフ・キーザーとリーダー・アルバムで表記していたものの、彼はいつのまにか素直にジェフリー・キーザーと名乗るようになっている。
トリオによる公演で、ベースのリッチー・グッズ(2018年7月26日)とドラマーのジョン・ウィカンを従える。グッズのことを「アメイジング!」と紹介していたが、バランスを崩すその音のデカさには驚く。なんで? ハービー・ハンコック抜きのヘッドハンターズの2011年作に入るなど普段はエレクトリック・ベースを弾く仕事も彼は少なくないようだが、この日も2曲でエレクトリック・ベースを手にする。その際もキーザーは素直にピアノを弾き、わざわざエレクトリック・ベースを弾かせた意図が分らなかったな。ドラマーはレギュラー/マッチド・グリップ併用のもと、そつなく曲趣に合わせたビートを供給。彼、カナダ出身の女性トランペッターのイングリッド・ジャンセン(2010年9月4日、2012年12月17日)の作品によく参加していたりする。昨年出たキーザーの新作はキックスターターで資金調達して作ったトリオ作『On My Way to You』(5曲はギラン・ゴーゴットという歌える女性歌手をフィーチャー)だが、そのアルバムと今回のリズム隊は異なる。
過去のアルバムもそうだが、キーザーはオリジナルにあまり固執せず鷹揚にスタンダード/他人曲をとりあげて、個をださんとする御仁。一部右手だけエレクトリック・キーボードでソロを取る時もあったが、基本はアコースティック・ピアノを十全に鳴らす。そして、そうしたパフォーマンスから浮かび上がるのは、彼は本当に清新なピアノ音(色)を出すことができるということ。フレーズや曲処理がどうこうと言うより〜それは期待していたより、わりとフツーな感じ〜も、そのピアノ総体のぽっかり浮かび上がる音場のようなものにぼくは頷いた。
ところで、キーザーはかなりまっとうなイントネーションで「ありがとうございます」と言い、一部に日本語の言葉もメモなどを見ずにした。かなり前に彼の奥さんは日本人という話をきいたこともあったような気もするのだが、そこらへんどうなのだろう。
▶︎過去の、ジム・ホール
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/201206110916017268/
▶︎過去の、ジェフリー・キーザー
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060917
http://43142.diarynote.jp/201507110856518338/
https://43142.diarynote.jp/201811271055049781/
▶︎過去の、リッチー・グッズ
https://43142.diarynote.jp/201807271129401694/
▶︎過去の、イングリッド・ジェンセン
https://43142.diarynote.jp/201009151537076176/
https://43142.diarynote.jp/?day=20121217
▶︎過去の、大島保克
https://43142.diarynote.jp/201502271422421282/
<今夏の、諦め>
今年は例年の夏場と違いあまり暑くなくていいなあなぞと思っていたら、ここ1週間は外に出る時以外は、室温設定は<自動+2℃>ではあるものの(でないと、体が冷えてダメ)、寝るときもエアコンはつけっぱなし。←昨年から、ノーエアコンなエコ男標榜は完全にやめました。新しい、立派なエアコンに買い替えちゃったし。んなわけもあり、家から外に出た際に感じる高湿高温さにはかなり絶望的なキブンを得ておる。で、あぁ今年もやはり秋までキホン死んだふりかなあと思っていたら、試写会を見てライヴ会場に向かう際に、なんか体調が芳しくないなあという思いにとらわれる。とともに、6時起床で14時ちょいまで根を詰めて原稿書きをやったというものの最低限の睡眠時間は取っているはずなのに、かなりな眠気も感じてしまう。そういえば、ここんとこ普段、昼寝もしているか。え〜ん、もう夏バテ? 猛暑ダレ? とほほ。
主役は有名俳優の子息でラッパーもやっているというロレンソ・フェロ。ぼくはもっと美少年を使った方がアトラクティヴになるかと思ったが、まあ女性には受けそうで、思春期の説明のつかないモヤモヤは出していよう。意気がりや甘え、同性愛も示唆するようなうつろう思慕とかがいろいろ絡まり、普通の家庭に育った青年がなぜかばんばん人を殺す盗人になっちゃい、常軌を逸した行動に出たか〜というストーリーを、それなりに風情のある映像とともに描いている。
時は1971年で場所はブエノスアイレス(そんなに同地の形而上は描かれない)、言葉はもちろんスペイン語だ。劇伴はあまり流れず、おそらく当時のアルゼンチンのポップスが場に合わせて次々に使われる。大詰めの場面で用いられるのは、1930年代の米国トラッドでボブ・ディランやザ・アニマルズのヴァージョンでも知られる「朝日のあたる家」のスペイン語カヴァー曲だった。
その後移動し、丸の内・コットンクラブ。アート・ブレイキー、レイ・ブラウン、ジム・ホール(2005年1月18日、2012年6月4日)などの巨匠からの需要もあり(ブレイキーに最初に声をかけられたのは、17才だったと言われる)、90年代はサニーサイド、ブルーノート、コロムビアなどからリーダー作を出しかなり秀英であることを強く印象付け、一方では妙な捌け具合(?)も持ち、石垣出身のシンガー/三線奏者の大島保克(2015年2月26日)との双頭アルバムも2007年に日本のビクターから出していたりもするジェフリー・キーザー(2005年1月18日、2006年9月17日、2015年7月9日、2018年11月26日)のリーダー公演を見る。ファースト・ショウ。当初はジェフ・キーザーとリーダー・アルバムで表記していたものの、彼はいつのまにか素直にジェフリー・キーザーと名乗るようになっている。
トリオによる公演で、ベースのリッチー・グッズ(2018年7月26日)とドラマーのジョン・ウィカンを従える。グッズのことを「アメイジング!」と紹介していたが、バランスを崩すその音のデカさには驚く。なんで? ハービー・ハンコック抜きのヘッドハンターズの2011年作に入るなど普段はエレクトリック・ベースを弾く仕事も彼は少なくないようだが、この日も2曲でエレクトリック・ベースを手にする。その際もキーザーは素直にピアノを弾き、わざわざエレクトリック・ベースを弾かせた意図が分らなかったな。ドラマーはレギュラー/マッチド・グリップ併用のもと、そつなく曲趣に合わせたビートを供給。彼、カナダ出身の女性トランペッターのイングリッド・ジャンセン(2010年9月4日、2012年12月17日)の作品によく参加していたりする。昨年出たキーザーの新作はキックスターターで資金調達して作ったトリオ作『On My Way to You』(5曲はギラン・ゴーゴットという歌える女性歌手をフィーチャー)だが、そのアルバムと今回のリズム隊は異なる。
過去のアルバムもそうだが、キーザーはオリジナルにあまり固執せず鷹揚にスタンダード/他人曲をとりあげて、個をださんとする御仁。一部右手だけエレクトリック・キーボードでソロを取る時もあったが、基本はアコースティック・ピアノを十全に鳴らす。そして、そうしたパフォーマンスから浮かび上がるのは、彼は本当に清新なピアノ音(色)を出すことができるということ。フレーズや曲処理がどうこうと言うより〜それは期待していたより、わりとフツーな感じ〜も、そのピアノ総体のぽっかり浮かび上がる音場のようなものにぼくは頷いた。
ところで、キーザーはかなりまっとうなイントネーションで「ありがとうございます」と言い、一部に日本語の言葉もメモなどを見ずにした。かなり前に彼の奥さんは日本人という話をきいたこともあったような気もするのだが、そこらへんどうなのだろう。
▶︎過去の、ジム・ホール
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/201206110916017268/
▶︎過去の、ジェフリー・キーザー
http://43142.diarynote.jp/200501222324430000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060917
http://43142.diarynote.jp/201507110856518338/
https://43142.diarynote.jp/201811271055049781/
▶︎過去の、リッチー・グッズ
https://43142.diarynote.jp/201807271129401694/
▶︎過去の、イングリッド・ジェンセン
https://43142.diarynote.jp/201009151537076176/
https://43142.diarynote.jp/?day=20121217
▶︎過去の、大島保克
https://43142.diarynote.jp/201502271422421282/
<今夏の、諦め>
今年は例年の夏場と違いあまり暑くなくていいなあなぞと思っていたら、ここ1週間は外に出る時以外は、室温設定は<自動+2℃>ではあるものの(でないと、体が冷えてダメ)、寝るときもエアコンはつけっぱなし。←昨年から、ノーエアコンなエコ男標榜は完全にやめました。新しい、立派なエアコンに買い替えちゃったし。んなわけもあり、家から外に出た際に感じる高湿高温さにはかなり絶望的なキブンを得ておる。で、あぁ今年もやはり秋までキホン死んだふりかなあと思っていたら、試写会を見てライヴ会場に向かう際に、なんか体調が芳しくないなあという思いにとらわれる。とともに、6時起床で14時ちょいまで根を詰めて原稿書きをやったというものの最低限の睡眠時間は取っているはずなのに、かなりな眠気も感じてしまう。そういえば、ここんとこ普段、昼寝もしているか。え〜ん、もう夏バテ? 猛暑ダレ? とほほ。
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