六本木・アスミックエース試写室で、2017年イギリス映画を見る。<青春ゾンビ・ミュージカル>という触れ込み、なり。“英国〜若者のもやもや〜ミュージカル”という項目から、「時計仕掛けのオレンジ」とか「トミー」とかの、英国ロック文化と繋がったクリエイティヴなミュージカル映画の系譜にあるものを期待した……。なんてことは、一切考えなかった。それにしても、ゾンビものを好きな映像の作り手って少なくないんだなあ。ぼくは、まったくゾンビに興味は持てない。あ、あとこの映画はクリスマス・シーズンを扱う。向こうの人たちにとって、その設定は人と繋がりや足元を振り返らせる動機を与えるだろう。

 スコットランドの田舎町に住む高校生アナと友達たちがソンビと戦う様を描く。という概要から、すっこーんと抜けた荒唐無稽でもある、痛快活劇的な内容を期待したのだが、仕上がりはけっこう違っていた。なんかジメっとしていたり、現実離れしたストーリーなのに変なところ真面目というか翔んでいなかったり。

 長編2作目となるグラスゴー・ネイティヴのジョン・マクフェール監督は写真を見ると30代に見えるが、この映画を撮るまではミュージカル映画といえば(米国のスーパー・バッドなお下劣アニメ)「サウスパーク」の実写版(1999年。それを見たことはないが、ディズニー風のミュージカル仕立てを取ると聞いたがある)しか知らなかったそう。だが、ありとあらゆるミュージカルDVDを見た結果、今は「ウェストサイド物語」が好き、という発言が資料に載せられていた。うーむ、ブっとんだ「サウスパーク」しか知らない感性で描いたほうが良かったんじゃないか。エンドロールに出てくる登場人物たちのアニメーションは見事にサウスパークの画風に倣ったものですね。それから、監督が学校の先生にかなりな不信感を持ってきていることはよく伝わった。

 話の要所要所で歌が登場人物たちによって歌われるが、それはロディ・ハートとトミー・ライリーによる。両者(1980年と1987年生まれ。前者はザ・ロンサム・ファイアーというバンドでも活動)ともにスコットランドのグラスゴーをベースにするシンガー・ソングライター。それらポップ・ソング傾向にある楽曲の作風の幅は広くないが、出来は悪くない。ただし、画一的なサウンドは安っぽいとは感じた。

 その後、丸の内・コットンクラブで、ドクター・スリーと名付けられたイタリア人ピアノ・トリオを見る(セカンド・ショウ)。ピアニストのダニーロ・レアは1957年生まれで、若い頃に来日して以来とか。日本に何度か来ているイタリア人ドラマーのロベルト・ガッド(2008年5月14日、2019年3月6日)とはマブ達ですね。ベーシストのエンツォ・ピエトロパオーリ(何気に、曲の展開をリードする局面あり)とドラマーのファブリッツィオ・スフェーラ(とてもブラシを多用)はもう少し年下か。

 いろんなリーダー作を持つレアは、その2人とともに1998年から10枚近いアルバムをドクター3として発表。なるほど、凝ったマッシュ・アップ〜曲置き換えや繋がり表現を誰も譜面に頼ることなく悠々と披露する。冒頭で、ぎこちない英語で、リーダーは「我々は、ロック、オペラ曲、映画音楽などいろんな素材をジャズとして演奏します」みたいなことを言ったが、まさしくその通り。

 エルトン・ジョンの「ユア・ソング」を延々と開いた後にザ・ビートルズの曲(あれ、曲名わすれた。他の曲でもザ・ビートルズ曲は披露された)をつなげたり、坂本龍一(2011年8月7日、2012年3月21日、2012年8月12日、2013年8月11日)の映画曲を重ねたり。なかには、メキシコ民謡の「ラクラカチャ」も彼らは俎上に持ち出した。そして、場合によっては、面々は先にマッシュアップと書いたように、だまし絵的に曲の断片をくっつけたり(その場合、ジャズ・スタンダードもかりだす)、引用したりする。また、デイヴ・ブルーベックの「ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク」のようにテンポの交錯を見せるときもあった。

 ヘヴィな方向にはまったく行かないが、3人ともまっとうな技量を持ち、彼らなりのインタープレイ流儀を抱える。趣味良し。ゆえにその作法はポップ・ジャズやイージー・リスニング方面に流れずに、しっかりジャズの範疇に留まる、サバけた欧州人感覚も露わにする。洒脱なジャズを聞いてみたいナ。そんな、おねーちゃんを誘うにはぴったりの出し物であると感じました。

◀ ロベルト・ガット
https://43142.diarynote.jp/200805181146070000/
https://43142.diarynote.jp/201903071110239629/
▶過去の、坂本龍一
http://43142.diarynote.jp/?day=20110807
http://43142.diarynote.jp/?day=20120321
http://43142.diarynote.jp/?day=20120812
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811

<今日の、OS> 
 2ヶ月前ぐらいに、macOS Mojaveを新たに入れた。これまでPCの機能の2パーセントしか使っていないのでライオンに代わり新たにOSを入れる必然性はまったく感じないのだが、半年間近く定期的にダウンロードしましましょうみたいなおせっかいなお知らせボックスがPC画面の右上に頻繁に出て鬱陶しいのでダウンロードしちゃった。すると、ありがたみは何も感じていないが、ワードやエクセルが適合しないみたいな表示が出ることに。とはいえ、今のところはこれまで同様使えている、、、。が、微妙な違和感は感じるところであり、今後はOS新調はすまい。ちなみに、ぼくのオフィイスは2011。ついでに、SIRI ってなんじゃらほい。ホームとか株価とかヴォイス・メモとか新たな項目も勝手にくわわっているなー。

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