まず、東銀座・松竹試写室で、2016年アメリカ映画の「スイス・アーミー・マン」を見たのだが、驚くとともに、大きく頷いた。というのも、無人島に一人たどり着いたヘタレ青年の話なのだが、絶望の淵にあった彼のもとに水死体が流れ着くことで、ストーリーは始まる。。。。。その死体はオナラをし(その力でジェット・スキーのように海を移動でき)、口からは真水を噴出し(青年の口を潤し)、火も作り、ぼっ起もし(それは、進む方角を示す)、しゃべりもする。おお、すげえ目茶苦茶、荒唐無稽。しかし、そのぐらいの飛躍や自由な発想を持つ映画があってもいいではないか。もう、その大枠でだけで、とても応援しつつ、見ちゃったな。
青年と死体のサイヴァイヴァルの旅を真面目に描く監督(脚本も)はダニエル・クワンとダニエル・シャイナートの二人からなる、ダニエルズ。彼らはミュージック・ヴィデオの分野で力を発揮してきたチームというが、ところどころのテンポや映像流儀にその流れは見出せるか。だが、そんなことよりも、その突飛な着想を普遍的な、どこか考えさせたり感じ入らせたりする映画に昇華させんとする心意気とスキルに首を垂れたいな。ま、ああいうストーリー展開で良かったのかとは、ぼくは思うけど。
ミュージック・ヴィデオを撮ってきたということで、音楽の扱いも一筋縄では行かない。ここで音楽を担当しているのは、アトランタを拠点とする技ありギター・ロック・バンドのマンチェスター・オーケストラ(デニエルズは彼らのクリップも作っている)のアンディ・ハルとロバート・マクダウェル。で、二人は基本ヴォイスだけでこの映画の音楽を作っている。肉声にエフェクトがかけられたりもするが、その音楽はもう一つの人間的な何かを加味する。なお、死体役を演じるのは映画「ハリー・ポッター」の主役をしていたダニエル・ラドクリフ。よくぞの、怪演だな。
なお、「スイス・アーミー・マン」という邦題は、原題をそのままカタカナにしたもの。いろんな機能を持つスイス・アーミー・ナイフに、本映画での死体がいろいろなことをできることをかけて、そういうタイトルにしたようだ。
その後は、千駄木・Bar Issheeに行き、スイス人その他の即興パフォーマンスに触れる。
ドラマーのニコラス・フィールドといろんな音でテナー・サックスを鳴らすグレゴール・ヴィディのデュオは、即興系ジャズ・ミュージシャンの気概と腕の立ち具合が良く現れる。タイミング、メロディ、音質、情緒、その他の様々な要素が絡んだり、ほつれたり。フィールドはスネアとシンバル一本以外は中華鍋の寸胴とか、プリミティヴなものを並べ創意工夫溢れさせて叩く。実はお店側とのやり取りの行き違いで、ドラムを持ってこなかったために急遽そうした寄せ集めのキットを叩いたようだが、これは面白い。もう技と創造性がバッチリ出ちゃうわけで、興味深くてしょうがなかったな。
起伏に富んだ1発モノの後、”スイス・アーミー・メン”にヴォイスの蜂谷真紀(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日、2015年6月15日、2016年11月2日)とターンテーブルの村田直哉(2016年11月2日)が加わり、4人でひらめきを出し合う。日本人勢の方が、少し前に出る感じはあったか。で、なんか思いつき、いい加減気味にレコードの音を飄々とカットインさせる村田だが、それがとっても効いていたいた。しかし、ヘッドフォンもせず無造作に入れる音がバッチリ決まる彼、すごいな。
フィールドとヴィディ君、けっこう若く見えたが、フィールドは40代だそうで(もう一人は32歳と言っていたっけ)、びっくり。だって、外国人っておっさんぽく見えるもの。でも、フィールドもなんか年々若くなってきていると言っていたな。
▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
http://43142.diarynote.jp/200901091437341082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201410310931316189/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161102
▶︎過去の、村田直哉
http://43142.diarynote.jp/?day=20161102
<今日の、アナログ>
スイスから来た二人は、『DO YOU HAVE A ROOM』という自主制作の二人名義のアナログ・レコードを持ち込んでいる。イケてるジャケット・カヴァーを持つそれを早速聞いたら、笑っちゃうぐらいに本格的な、テナー・サックスとドラムの即興演奏のアルバムだった。そして、そのストロングな行き方は色あせるものではなく、何らかの覇気に満ちた知性と“今”があるとも思わせられる。その二人、この後は山陰を含む西日本でギグをもち、戻って来て7月20日は六本木・スーパー・デラッックス、21日には稲毛のキャンディに出演する。
青年と死体のサイヴァイヴァルの旅を真面目に描く監督(脚本も)はダニエル・クワンとダニエル・シャイナートの二人からなる、ダニエルズ。彼らはミュージック・ヴィデオの分野で力を発揮してきたチームというが、ところどころのテンポや映像流儀にその流れは見出せるか。だが、そんなことよりも、その突飛な着想を普遍的な、どこか考えさせたり感じ入らせたりする映画に昇華させんとする心意気とスキルに首を垂れたいな。ま、ああいうストーリー展開で良かったのかとは、ぼくは思うけど。
ミュージック・ヴィデオを撮ってきたということで、音楽の扱いも一筋縄では行かない。ここで音楽を担当しているのは、アトランタを拠点とする技ありギター・ロック・バンドのマンチェスター・オーケストラ(デニエルズは彼らのクリップも作っている)のアンディ・ハルとロバート・マクダウェル。で、二人は基本ヴォイスだけでこの映画の音楽を作っている。肉声にエフェクトがかけられたりもするが、その音楽はもう一つの人間的な何かを加味する。なお、死体役を演じるのは映画「ハリー・ポッター」の主役をしていたダニエル・ラドクリフ。よくぞの、怪演だな。
なお、「スイス・アーミー・マン」という邦題は、原題をそのままカタカナにしたもの。いろんな機能を持つスイス・アーミー・ナイフに、本映画での死体がいろいろなことをできることをかけて、そういうタイトルにしたようだ。
その後は、千駄木・Bar Issheeに行き、スイス人その他の即興パフォーマンスに触れる。
ドラマーのニコラス・フィールドといろんな音でテナー・サックスを鳴らすグレゴール・ヴィディのデュオは、即興系ジャズ・ミュージシャンの気概と腕の立ち具合が良く現れる。タイミング、メロディ、音質、情緒、その他の様々な要素が絡んだり、ほつれたり。フィールドはスネアとシンバル一本以外は中華鍋の寸胴とか、プリミティヴなものを並べ創意工夫溢れさせて叩く。実はお店側とのやり取りの行き違いで、ドラムを持ってこなかったために急遽そうした寄せ集めのキットを叩いたようだが、これは面白い。もう技と創造性がバッチリ出ちゃうわけで、興味深くてしょうがなかったな。
起伏に富んだ1発モノの後、”スイス・アーミー・メン”にヴォイスの蜂谷真紀(2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日、2015年6月15日、2016年11月2日)とターンテーブルの村田直哉(2016年11月2日)が加わり、4人でひらめきを出し合う。日本人勢の方が、少し前に出る感じはあったか。で、なんか思いつき、いい加減気味にレコードの音を飄々とカットインさせる村田だが、それがとっても効いていたいた。しかし、ヘッドフォンもせず無造作に入れる音がバッチリ決まる彼、すごいな。
フィールドとヴィディ君、けっこう若く見えたが、フィールドは40代だそうで(もう一人は32歳と言っていたっけ)、びっくり。だって、外国人っておっさんぽく見えるもの。でも、フィールドもなんか年々若くなってきていると言っていたな。
▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
http://43142.diarynote.jp/200901091437341082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201410310931316189/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161102
▶︎過去の、村田直哉
http://43142.diarynote.jp/?day=20161102
<今日の、アナログ>
スイスから来た二人は、『DO YOU HAVE A ROOM』という自主制作の二人名義のアナログ・レコードを持ち込んでいる。イケてるジャケット・カヴァーを持つそれを早速聞いたら、笑っちゃうぐらいに本格的な、テナー・サックスとドラムの即興演奏のアルバムだった。そして、そのストロングな行き方は色あせるものではなく、何らかの覇気に満ちた知性と“今”があるとも思わせられる。その二人、この後は山陰を含む西日本でギグをもち、戻って来て7月20日は六本木・スーパー・デラッックス、21日には稲毛のキャンディに出演する。
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