会場は、赤坂・ブリッツ。18時半開演。まず、日本のceroが全7人(2人の管奏者は打楽器を兼ねる)で30分ほどパフォーマンス。へえ、こんなグループだったのか。広義のシティ・ミュージックのヒップホップ世代版、てな、所感を持つ。一番ヒップホップぽい曲は初期のアレステッド・ディヴェロップメント(2000年4月27日、2000年8月5日、2001年2月3日、 2002年4月17日、2013年4月19日)にインスパイアされたような曲と感じた。好奇心旺盛にいろんな音楽を参照しているところがあって、なるほどスナーキー・パピーの前座を務めるのにも納得。スタジオコーストでのイヴェントの告知もしていたが、彼ら人気あるんだな。

 本編の前に、ミシェル・ウィリスという英国生まれ、カナダのトロント育ちのシンガー・ソングライターも出てくる。スナーキー・パピーの個人レーベル“グラウンドアップ”からアルバムが出ている人(『ファミリー・ディナー Vol.2』でも、ローラ・ムヴーラ;2013年6月21日 と歌う曲があった)で、キーボードを弾きながら歌う。ファルセットの歌声はどこかローラ・ニーロを想起させると思った。多くの曲ではスナーキー・パピーの選抜隊が出て来て、ファミリアに淡い伴奏を付けもした。

 そして、20時25分(そのころには何杯も飲んじゃっていて、酔っぱらっていた)に、いよいよスナーキー・パピー本体のショウが始まる。リーダーのマイケル・リーグ(エレクトリック・ベース)に加え、4管、キーボード、ドラム、パーカッション、ギターという9人編成でことにあたっていたか。で、悠々と、曲という航海図をもとに各個人の楽器音や個性を思うままに重ね、広げていくわけだが、その流れがとっても硬軟、強弱に満ちていてうならせる。まさに、パノラマみたいな表現だとも思わされたな。アルバムだと少し窮屈だと思わせる展開も尺に自由があるライヴだと有機的で、OK。そして、それは構成員の腕の確かさやバッググラウンド多彩さもしっかりと伝える。

 いろんな歌手を起用した『ファミリー・ディナー』シリーズはもう百点満点(あるレヴューで、ポップ・ミュージックの未来があるというようなことも書いた)、だけどインスト作群には妙なフュージョン的小賢しさが出ていて全面感情移入できないというのがぼくのスナーキー・パピー観だが、ライヴには素直にこれはすごいと思わされた。音楽をやる楽しさ、同好の士とともに事にあたれるうれしさ、いろんな音楽に興味を持ってそれを思うまま統合できる素晴らしさといったようなものが、パフィーマンスの奥から浮きあがるのだから、これは賞賛するしかないではないか。

▶過去の、ローラ・ムヴーラ
http://43142.diarynote.jp/201306241439301125/
▶過去の、アレステッド・ディヴェロップメント/スピーチ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-4.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-4.htm
http://43142.diarynote.jp/201304211111189539/
 
<翌日の、マイケル・リーグ>
 リーダーに取材した。わああ、びっくりするほどの好漢。でもって、明晰で、やはり音楽と仲間を真心で大切にする人だった。。話を交わして、本当に楽しかった。こっちの質問にぐいぐいのってきてくれ、インタヴューア冥利にもつきました。PCに入っているちゃんとパートわけしているデモを画面を介して、説明してくれたりもしてくれた。今回、ゴスペル・オルガニストのコーリー・ヘンリーやパーカッッションの小川慶太(2014年8月3日、2016年1月19日)らが同行していないのは、多くの人がフィーチャーされるように、ローテンションを組んでライヴやっているからとか。それ、サッカーのリーグ戦とカップ戦を使い分けるようなもん? そうだね、とのこと。2010年ごろにバンドごとテキサスからNYにやってきたのはかなりな決心を要したそうで、今も8割残っているそう。彼はいまだテキサス愛を持っている(詳細は、イントキシケイト誌で)。彼の転機は、カーク・フランクリン(2009年9月18日)らテキサスのゴスペル・サークルと懇意になれこと、だって。いや、それにしても本当にナイス・ガイ。スナーキー・パピーの聞こえ方が変わってきそう?
▶過去の、小川慶太
http://43142.diarynote.jp/201408061110256933/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160119
▶過去の、カーク・フランクリン
http://43142.diarynote.jp/200909251530436151/

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