2日前から、パリに来ている。気ままに出歩く日々。東京より寒く、ときに雨が降るのは普通のことらしい。ところどころで、ちょうど咲いている桜の木を認める。どこも1本だけで日本の桜ほど大きくないが、かつてあちこちに植樹されたのだろうな。3月下旬から夏時間が採用されたようで、午後9時でも明るい(逆に、朝の7時は暗い)のはうれしい。

 この日は夕方、10区にあるニュー・モーニングというジャズ箱へ行く。看板は出ておらず、黒い鉄板ドアの奥にあるので、分かりづらい。マヌ・カチェ(2011年1月28日、2012年1月13日)の2014年の独アクト発のライヴ盤はここで録られていますね。天井は低いがけっこう広い会場で、汚い。飲み物のみのサーヴのみで、食べ物はいっさいなし。パイントの量のビールはプラケース提供で(確か)9ユーロ。椅子をステージに向かい半円形に並べ、200人強は入っていたはず。グランド・ピアノは置かれておらず、この日はフェンダー・ローズが設置してあった。

 故ミシェル・ペトルチアーニ(2012年8月7日、参照)の兄であるギタリストのフィリップ・ペトルチアーニがリーダーシップを取る公演で、彼が過去にも共演作を出している女性シンガーのナタリー・ブランとの双頭作『Remember Petrucciani』(Jazz Village,2016)を題材とするショウと言えるか。2部制、入場料は25ユーロぐらいだったのではなかったか。なんか、そういうことってすぐに忘れちゃう。

 最初はフィリップとナタリー・ブランとのデュオ。けっこういい歳の彼女はフランス語でスタンダードっぽい曲をうたっていた。2曲目いこう、そこにベース(ウッド・ベースと電気ベースの2人。2人一緒に演奏する曲も多かった)、3管、ドラムが入る。つまりピアノレス編成にて、管セクション音などはそこそこ練られたセッション風演奏は進められた。

 2部はまず、なんと真性ブルース・マンのラッキー・ピーターソンが出て来てソロで延々弾き語り。それ、ゴスペル調くずし。ちょい、ダニー・ハサウェイ的と思わせるところもあり。実は、ここに来ようと決めたのは、ゲストで彼の名前が入っていたから。かつて、仏ヴァーヴ/ジタン・ブルース・シリーズからアルバムを出していた彼(そのときに発表したジャッキー・ミトゥ曲カヴァーの「ホワイ・キャント・ウィ・リヴ・トゥゲザー」は、『クール・バラード』というユニバーサル2006年発のコンピ盤にも入れさせてもらいました)だが、今パリに住んでいるのかな? 彼は今年、『Long Nights』(JSP)という新作を出したばかりだ。

 オルガン奏者としてもギタリストとしても知られる彼だが、この日はエレクトリック・ピアノを弾く。次の曲から1部の出演者が出てきて、わりとステディなビートのもと、ラッキー・ピーターソン主導と言える曲をやる。ふふ。また、ヴァイオリン奏者としてインターナショナルな知名度を持つディディエ・ロックウッドも演奏するが、彼のそれにはほう。やっぱりうまいし、彼は生ヴァイオリオンにエフェクターを通すときもあるのだが、表現力豊かで、それはバーニー・ウォレル(2007年8月7日、2011年8月12日、2012年7月27日、2013年1月30日、2014年10月28日)のシンセ演奏みたいと思わせられもした。彼はソロの際、ループ音を作る場合もあった。

 最後はやっとリズムが4ビートに戻っての、ブルース。ラッキー・ピーターソンの指裁きは完全なジャズ・マナーではないが、これにも彼は無理なく合わせる。なお、開演前には客席にはちょこんとミシェルの息子のアンソニー・ペチルチアーニも座っていた。でも、彼はすぐにいなくなった。

▶過去の、ミシェル・ペトルチアーニ
http://43142.diarynote.jp/201208091509447159/
▶過去の、バーニー・ウォレル
http://43142.diarynote.jp/200708051740450000/
http://43142.diarynote.jp/201206011834355756/
http://43142.diarynote.jp/201208091303253665/
http://43142.diarynote.jp/201301311053069360/
http://43142.diarynote.jp/?day=20141028

<今日の、セキュリティ>
 会場の入り口で、危険物携帯がないかのチェックあり。それは博物館とか人の集まる施設に入るときも同様。それ、昨年秋のテロ以降に行われるようになったそう。フットボール・シーズン期に欧州に来た場合、ぼくはなるたけサッカーの試合を見に行くことにしているが、昨日の土曜サッカー日にパリ・サンジェルマンはアウェイ試合。残念。もし、ホームで試合があってサンドニに行ったとしたら、昨年のテロの決行場所にもなっただけに入場チェックは相当ものものしかったと思われる。今、警備業界は人手不足になっているだろうとも思った。

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