挾間美帆 ”m_unit”
2015年10月15日 音楽 NYに住む(今もマンハッタン音楽院に通っているのかな?)、作編曲家/ピアニスト(2014年7月10日)の2作目『タイム・リヴァー』(ユニバーサル)リリースをフォロウするライヴ。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。
m_unitと名付けられたラージ・アンサンブルの指揮をする(1曲ではピアノも弾いた)彼女と、構成員13人。アルト/フルート、テナー/ソプラノ、バリトン/バスクラ、トランペット、ホルン、ヴァイオリン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ヴァイブラフォン、ピアノ、ベース、ドラム。という編成を見ても、通常のジャズ・ビッグ・バンドから離れた私の音を求めるという強い意志は出ていますね。なんて軽く書いちゃったが、ここに至るまでの試行錯誤や生理的な闘争は相当のものだったのではないだろうか。
NY録音の新作に入っていた曲を中心に、デビュー作収録の曲も。やはり、4人の弦のサウンドは良いし、彼女の編曲の冴えは実感できる。それに比べると管奏者たちはもう少し気張ってほしかったという恨みは残る。とくに、ソロ。お行儀よすぎない? なんか、日本の管奏者の弱点に触れた思い……。アルバムで引き立つ使われ方をしていたヴァイブラフォンのパートは香取良彦(2012年11月9日、2015年9月27日)が叩いていたが、ぼくの耳には玉虫色演奏に聞こえてしまった。ともあれ、弦セクションは彼女の国立音大時代の友達を含むクラシック側の奏者のようだが、質が高いなあ。ピアノはソロとしても活動している宮川純、趣味の良い指さばきをしていると思った。彼と狭間は、小学校高学年の頃からコンクールで顔見知りだったという。
めくるめく総体の土台を支える、40歳近くに見えるベース奏者のサム・アニングとドラマーのジェイク・ゴールドバスは彼女のアルバムにも入っていて、挾間がわざわざNYから連れてきた奏者たち。土台さえしっかりすれば一期一会の大型表現も何とかなるサというのは、この前のパット・メセニーとブルーノート東京オールスターズ・ジャズ・オーケストラ(2015年9月27日)の実演設定を思い出させるか。事実、その外国人2人による、細かい楽器音の“綾”の間に自在に入り込んで、サウンドの変化の起点を作ったり、強度を高めたりする演奏は立派。こりゃ、わざわざ連れてくる意義があるとも痛感。あの両者の演奏、どのぐらいまで譜面化されているのだろう? なんでも、彼女は米国でライヴもやるときもこの2人はかならず同行させるのだとか。アニングはオーストラリア出身、ゴールドバスはロイ・アサフの来日公演(2014年9月7日)で来ているそう。
前途洋々の輝く才の発露に触れ、肌が5歳ほど若返る。な〜んて。1986年生まれだから、まだ20代だものなー。後は持続、様々な経験や周りの人たちとのやりとりが、もっともっと彼女の音楽をアトラクティヴなものにしていくに違いない。もし一つ望むとすれば、才気走った色づけをより引き出すような素材〜印象的なメロディをもっと書いてほしいこと。ぼくがこの晩の演奏曲で一番印象に残ったのは。トゥール(2007年2月9日)のメイナード・キーガンやジェイムス・イハ(2012年9月26日)らが組んだロック・バンドであるア・パーフェクト・サークルのカヴァー曲だったもの。
しかし、確かな弦音の存在って、いいなー。山下洋輔(1999年11月10日、2004年7月27日、2006年3月27日、2013年7月10日2009年7月19日、2013年7月27日、2015年7月21日)は<ウィズ・ストリングス>のアルバムを作らないか。で、弟子筋/同じメネージメントに所属する狭間が腕によりをかけた弦アレンジをそこに提供する。マッコイ・タイナーの『フライ・ウィズ・ザ・ウィンド』の山下/挾間版のようなもの、ぜひとも聞いてみたい。
▶過去の、挾間美帆
http://43142.diarynote.jp/201407111305232157/
▶過去の、香取良彦
http://43142.diarynote.jp/201211170926496101/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
▶過去の、パット・メセニー&ブルーノート東京オールスターズ・ジャズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
▶過去の、ロイ・アサフ
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
▶過去の、トゥール
http://43142.diarynote.jp/200702122332570000/
▶過去の、ジェイムス・イハ
http://43142.diarynote.jp/201209281128386373/
▶過去の、山下洋輔
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040727
http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201507221814047783/
<今日の、感心>
あらららあ、と思ったのは、彼女のMC。けっこう舌足らずな感じでしゃべっていて、出光音楽賞を受けた際に持たれたフォーマルな公演のときの凛とした喋り口とは印象が違う。おそらくこっちのほうが素に近いのだろうけど、見事にTPOを使い分けていることに驚く。そういえば、会場チェックインのときに彼女の手書きのカードを受け取ったが、入場者全員に配られたカードの文面は違っているらしい! あなた、一体何枚のカードを、考えを巡らせ書いたの? すごい、まっとうな営業努力している。とかなんとか、才に見合う努力や気配りもできる人であり。それは彼女が大きな評価を得る助けるに違いない。
m_unitと名付けられたラージ・アンサンブルの指揮をする(1曲ではピアノも弾いた)彼女と、構成員13人。アルト/フルート、テナー/ソプラノ、バリトン/バスクラ、トランペット、ホルン、ヴァイオリン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ヴァイブラフォン、ピアノ、ベース、ドラム。という編成を見ても、通常のジャズ・ビッグ・バンドから離れた私の音を求めるという強い意志は出ていますね。なんて軽く書いちゃったが、ここに至るまでの試行錯誤や生理的な闘争は相当のものだったのではないだろうか。
NY録音の新作に入っていた曲を中心に、デビュー作収録の曲も。やはり、4人の弦のサウンドは良いし、彼女の編曲の冴えは実感できる。それに比べると管奏者たちはもう少し気張ってほしかったという恨みは残る。とくに、ソロ。お行儀よすぎない? なんか、日本の管奏者の弱点に触れた思い……。アルバムで引き立つ使われ方をしていたヴァイブラフォンのパートは香取良彦(2012年11月9日、2015年9月27日)が叩いていたが、ぼくの耳には玉虫色演奏に聞こえてしまった。ともあれ、弦セクションは彼女の国立音大時代の友達を含むクラシック側の奏者のようだが、質が高いなあ。ピアノはソロとしても活動している宮川純、趣味の良い指さばきをしていると思った。彼と狭間は、小学校高学年の頃からコンクールで顔見知りだったという。
めくるめく総体の土台を支える、40歳近くに見えるベース奏者のサム・アニングとドラマーのジェイク・ゴールドバスは彼女のアルバムにも入っていて、挾間がわざわざNYから連れてきた奏者たち。土台さえしっかりすれば一期一会の大型表現も何とかなるサというのは、この前のパット・メセニーとブルーノート東京オールスターズ・ジャズ・オーケストラ(2015年9月27日)の実演設定を思い出させるか。事実、その外国人2人による、細かい楽器音の“綾”の間に自在に入り込んで、サウンドの変化の起点を作ったり、強度を高めたりする演奏は立派。こりゃ、わざわざ連れてくる意義があるとも痛感。あの両者の演奏、どのぐらいまで譜面化されているのだろう? なんでも、彼女は米国でライヴもやるときもこの2人はかならず同行させるのだとか。アニングはオーストラリア出身、ゴールドバスはロイ・アサフの来日公演(2014年9月7日)で来ているそう。
前途洋々の輝く才の発露に触れ、肌が5歳ほど若返る。な〜んて。1986年生まれだから、まだ20代だものなー。後は持続、様々な経験や周りの人たちとのやりとりが、もっともっと彼女の音楽をアトラクティヴなものにしていくに違いない。もし一つ望むとすれば、才気走った色づけをより引き出すような素材〜印象的なメロディをもっと書いてほしいこと。ぼくがこの晩の演奏曲で一番印象に残ったのは。トゥール(2007年2月9日)のメイナード・キーガンやジェイムス・イハ(2012年9月26日)らが組んだロック・バンドであるア・パーフェクト・サークルのカヴァー曲だったもの。
しかし、確かな弦音の存在って、いいなー。山下洋輔(1999年11月10日、2004年7月27日、2006年3月27日、2013年7月10日2009年7月19日、2013年7月27日、2015年7月21日)は<ウィズ・ストリングス>のアルバムを作らないか。で、弟子筋/同じメネージメントに所属する狭間が腕によりをかけた弦アレンジをそこに提供する。マッコイ・タイナーの『フライ・ウィズ・ザ・ウィンド』の山下/挾間版のようなもの、ぜひとも聞いてみたい。
▶過去の、挾間美帆
http://43142.diarynote.jp/201407111305232157/
▶過去の、香取良彦
http://43142.diarynote.jp/201211170926496101/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
▶過去の、パット・メセニー&ブルーノート東京オールスターズ・ジャズ・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
▶過去の、ロイ・アサフ
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
▶過去の、トゥール
http://43142.diarynote.jp/200702122332570000/
▶過去の、ジェイムス・イハ
http://43142.diarynote.jp/201209281128386373/
▶過去の、山下洋輔
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040727
http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201507221814047783/
<今日の、感心>
あらららあ、と思ったのは、彼女のMC。けっこう舌足らずな感じでしゃべっていて、出光音楽賞を受けた際に持たれたフォーマルな公演のときの凛とした喋り口とは印象が違う。おそらくこっちのほうが素に近いのだろうけど、見事にTPOを使い分けていることに驚く。そういえば、会場チェックインのときに彼女の手書きのカードを受け取ったが、入場者全員に配られたカードの文面は違っているらしい! あなた、一体何枚のカードを、考えを巡らせ書いたの? すごい、まっとうな営業努力している。とかなんとか、才に見合う努力や気配りもできる人であり。それは彼女が大きな評価を得る助けるに違いない。
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