眼鏡とスーツという出で立ちのアーティスト写真を見た事があったが、この日の格好はあっさりと黒色のスリムのジーンズとTシャツと、プーマの灰色のスニーカー。どっちにしろ、なんの知識もなくパっと見たら、コモン(2004年6月11日、2005年9月15日)のことをラッパーと思う人はいないだろう。どっちにしろ、老けた感じもなく、スリムで長身で格好いい。妙なエスタブリッシュ感もそこここに出ているかな。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。最初から、お客は盛り上がりを見せていた。

 かなり腕利きのDJと、別に腕利きじゃないキーボード奏者と女性コーラスを伴う。彼女は一部ラップもしたが、歌よりは存在感があった。MCによれば来日は2005年いらいだそう。前回公演と同じく、女性をステージにあげてやさしくイジるパートもあり。かつて絡んだJ・ディラ(ジェイ・ディー )について、MCで2カ所言及もする。乱暴にまとめるなら、多彩な行き方かつクレヴァーな視点の持ち方で、米国黒人芸能としてのヒップホップ流儀をきっちりと出していたと言えるショウ。ザ・ソウルクェリアンズ(ジェイ・ディー、クエストラヴ、ジェイムズ・ポイザーら)、プリンス、シーロウ、ジェフ・リー・ジョンソン、カニエ・ウェスト、ファレル・ウィリアムスとかいろんな才人たちと絡み、今もちゃんとメジャーからアルバムを発表しているのも、当然と思わされました。

▶過去の、コモン
http://43142.diarynote.jp/200406130120280000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20050915

 その後は、イタリア人ジャズ・ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ(2013年9月2日)を見る。丸の内・コットンクラブ、ソロ・ピアノでのパフォーマンス。ステージ中央にどんとピアノが置いてあると、グランド・ピアノってほんと細長いんだなと再認識しちゃう。そして、ステージ両端には、でっかいマイクが2本立てられている。お、コレ、ライヴ・レコーディングしているのか。とはいえ、本人のまったく飾らない格好もあり、また暗い曲が少なくないにも関わらず、ピアノ・ソロ実演にあるときには山ほどある緊張感とは無縁ではあったのだが。それ、過剰に難しい指さばきはださないピエラヌンツィの演奏の様も関係していたかな? 

 頭のほうはわりとゆったりした曲がならび、浮かび上がる微妙なメロディの塩梅でかつてのニュー・エイジ・ミュージックにかするかもと思わせる。そういう演奏もするのか。なんにせよ、ソロ演奏をふんふんと楽しんでいる感じがあるのはいい。そこら辺は、なんとなくイタリア人と思わせもするか。途中とってもクラシックぽい演奏があったが、それはバロック曲を彼なりにジャズ崩しした曲であるよう。そして、後半は少し元気目だったり、指さばきが奔放だったりする曲が並び、ぼくにとってはニンマリできる時間だった。

▶過去の、エンリコ・ピエラヌンツィ
http://43142.diarynote.jp/201309051240372709/

<今日の、おどろき>
 東芝の粉飾決算にもたいそう驚いた(まあ、ウチは原発で稼ぐと決定した時点で、気がふれていたとしかいいようがないが)が、独VW社のディーゼル・エンジン排気ガス規制逃れの嘘みたいな暴挙にも本当に驚いた。どーなっているの? わりとまっとうな企業理念を持っていると感じさせていたVW社でもそうなのだから……。一方、近年一番良くないよなあと感じてしまうのは、食べ物関連企業の商道徳に関すること。安く上がれば、賞味期限が長持ちすればと、いけないものをごんごん入れて発売している様を見るにつけ(産地や品種のまやかしも同様)、いったいどーなっておるのかと暗くなる。この世に、正義や倫理はないのか? 雑で過剰に食い物にはいれこまないぼくでさえ(入れ込むと、やはり人にそれを開示したくなる。フード・ポルノにぼくは最大級の格好悪さを覚える)、本当にそう感じてしまう。食べ物はその人の人生に直接的に関わってくるもんなー。

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