“ア・ラヴ・シュープリーム・ビヨンド ” ジョー・ロバーノ他
2015年7月21日 音楽 わっとなり、ええっと感じ、いろいろと思いが頭のなかをまわり……。
ジョン・コルトレーンへの人気作『史上の愛』(インパルス!、1965年)をやっちゃいますよという公演で、テナー・サックス奏者のジョー・ロバーノ(2005年6月2日、2008年10月8日)、アルト・サックスの寺久保エレナ(2013年7月27日)、ピアニストの山下洋輔(1999年11月10日、2004年7月27日、2006年3月27日、2013年7月10日2009年7月19日、2013年7月27日)、ベース奏者のジェラルド・キャノン(2008年9月10日)、ドラマーのフランシスコ・メラ(2009年1月7日。タム類のヘッドを少し客席側に向けるセッティングを取っていた)という、面々による。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。アフリカ系米国人リズム・セクションは木曜から日曜にかけて同所に出演するマッコイ・タイナー(2003年7月9日、2008年9月10日、2011年1月12日)の演奏もサポートし、そこにはロバーノも加わる。
約1時間、切れ目なしに『至上の愛』の全4部パートが披露される。ロバーノ(一応、リーダーシップを取っていたか)は譜面なしで事にあたっていたが、その様を見ると、ぼくが感じていた以上にコルトレーンへの思慕は強そうだし、バリバリと吹いていた。だが、個人プレイとグループ総体の持ち味はまた別。他の奏者も巧者なはずだが、なんかギスギスしているというか、効果的にピントがあわないというか、生理的なもどかしさをなんか感じさせる。で、それがはっきりしたのは、スピリチュアルなという形容もありの『至上の愛』曲の彼らなりの披露を終え、コルトレーンも『ソウル・トレーン』(プレスティッジ、1958年)で取り上げたりもしている、ビリー・エクスタインのいかにも歌ものっぽいおおらかさを持つ「アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー」の寛いだ、いい感じの5人の演奏に触れたとき。
なるほど、合点がいった。やっぱり、アブストラクトな手触りも介して、尋常ならぬ奥行きや伸縮性などを出すようになったこの頃のコルトレーン(1967年に死去)は規格外であり、イっちゃってて、共有するのが困難なものであるという事実を、ぼくは痛感。うーぬ、後期コルトーレーンはただ者じゃなさすぎて、スペシャルすぎるもの、也。ある意味、ロバーノたちの演奏は、コルトーレンのイブツ感、独自すぎる世界のようなものを、ひりひりと(本人たちは望まなかったかもしれないが)出していた!
そういえば、実演に接しながら、ぼくは20年ほど前にしたインタヴューをふと思い出した。それは、当時UKトーキング・ラウドから音を出していた、日本のDJクリエイター集団、ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイションとのもの。当時かなりインターナショナルなスタンスで活動していた彼らは、そうそうたる顔ぶれが集まった『ストールン・モーメンツ レッド・ホット+クール』(GRP、1994年)に楽曲(オリヴァー・ネルソン作曲の「ストールン・モーメンツ」)を提供したことがあった。彼らは、その際に同作発売元のGRPやコルトレーンが在籍したインパルス!や彼らが所属したトーキング・ラウド/フォノグラムらを持っていたポリグラムにコルトレーンの曲をサンプリングしたいとオファーを出したのだという。そしたら、答えは「コルトレーンは一切だめ。他のアーティストは誰をサンプリングしてもいいが」というものだったそう。
その是非はともかく、ジャズを大切にしない米国でも、ジョン・コルトレーンはアンタッチャブル、聖域に置かれた存在だったのだ……。
▶過去の、ジョー・ロバーノ
http://43142.diarynote.jp/200506021851060000/
http://43142.diarynote.jp/200810111558046727/¥
▶過去の、寺久保エレナ
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
▶過去の、山下洋輔
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040727
http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
▶過去の、ジェラルド・キャノン
http://43142.diarynote.jp/200809111754413101/
▶過去の、フランシコ・メラ
http://43142.diarynote.jp/200901080850146753/
▶過去の、マッコイ・タイナー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200809111754413101/
http://43142.diarynote.jp/201101131336421886/
<今日の、空白>
かなり、久しぶりにライヴに行く。東京にいたのに、なぜ、こんなに空いたか。スライ&ザ・ファミリー・ストーン『暴動』の「暴動」なる(無音の空白部分に、クスリにはまっていてもクールだったスライはそうなずけ、曲番号も取った)もの、なーんて。そういえば、今出ているレコード・コレクターズ誌にアルバム『暴動』、そしてその因子を継ぐアルバムのことをいろいろ書いている。書いていて、楽しい原稿だったな。……しかし、こんな為政者のもとで暮らす日が来ようとは。
▶過去の、スライ・ストーン
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/200809071428140000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/201505201630381899/
ジョン・コルトレーンへの人気作『史上の愛』(インパルス!、1965年)をやっちゃいますよという公演で、テナー・サックス奏者のジョー・ロバーノ(2005年6月2日、2008年10月8日)、アルト・サックスの寺久保エレナ(2013年7月27日)、ピアニストの山下洋輔(1999年11月10日、2004年7月27日、2006年3月27日、2013年7月10日2009年7月19日、2013年7月27日)、ベース奏者のジェラルド・キャノン(2008年9月10日)、ドラマーのフランシスコ・メラ(2009年1月7日。タム類のヘッドを少し客席側に向けるセッティングを取っていた)という、面々による。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。アフリカ系米国人リズム・セクションは木曜から日曜にかけて同所に出演するマッコイ・タイナー(2003年7月9日、2008年9月10日、2011年1月12日)の演奏もサポートし、そこにはロバーノも加わる。
約1時間、切れ目なしに『至上の愛』の全4部パートが披露される。ロバーノ(一応、リーダーシップを取っていたか)は譜面なしで事にあたっていたが、その様を見ると、ぼくが感じていた以上にコルトレーンへの思慕は強そうだし、バリバリと吹いていた。だが、個人プレイとグループ総体の持ち味はまた別。他の奏者も巧者なはずだが、なんかギスギスしているというか、効果的にピントがあわないというか、生理的なもどかしさをなんか感じさせる。で、それがはっきりしたのは、スピリチュアルなという形容もありの『至上の愛』曲の彼らなりの披露を終え、コルトレーンも『ソウル・トレーン』(プレスティッジ、1958年)で取り上げたりもしている、ビリー・エクスタインのいかにも歌ものっぽいおおらかさを持つ「アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー」の寛いだ、いい感じの5人の演奏に触れたとき。
なるほど、合点がいった。やっぱり、アブストラクトな手触りも介して、尋常ならぬ奥行きや伸縮性などを出すようになったこの頃のコルトレーン(1967年に死去)は規格外であり、イっちゃってて、共有するのが困難なものであるという事実を、ぼくは痛感。うーぬ、後期コルトーレーンはただ者じゃなさすぎて、スペシャルすぎるもの、也。ある意味、ロバーノたちの演奏は、コルトーレンのイブツ感、独自すぎる世界のようなものを、ひりひりと(本人たちは望まなかったかもしれないが)出していた!
そういえば、実演に接しながら、ぼくは20年ほど前にしたインタヴューをふと思い出した。それは、当時UKトーキング・ラウドから音を出していた、日本のDJクリエイター集団、ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイションとのもの。当時かなりインターナショナルなスタンスで活動していた彼らは、そうそうたる顔ぶれが集まった『ストールン・モーメンツ レッド・ホット+クール』(GRP、1994年)に楽曲(オリヴァー・ネルソン作曲の「ストールン・モーメンツ」)を提供したことがあった。彼らは、その際に同作発売元のGRPやコルトレーンが在籍したインパルス!や彼らが所属したトーキング・ラウド/フォノグラムらを持っていたポリグラムにコルトレーンの曲をサンプリングしたいとオファーを出したのだという。そしたら、答えは「コルトレーンは一切だめ。他のアーティストは誰をサンプリングしてもいいが」というものだったそう。
その是非はともかく、ジャズを大切にしない米国でも、ジョン・コルトレーンはアンタッチャブル、聖域に置かれた存在だったのだ……。
▶過去の、ジョー・ロバーノ
http://43142.diarynote.jp/200506021851060000/
http://43142.diarynote.jp/200810111558046727/¥
▶過去の、寺久保エレナ
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
▶過去の、山下洋輔
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20040727
http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
▶過去の、ジェラルド・キャノン
http://43142.diarynote.jp/200809111754413101/
▶過去の、フランシコ・メラ
http://43142.diarynote.jp/200901080850146753/
▶過去の、マッコイ・タイナー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200809111754413101/
http://43142.diarynote.jp/201101131336421886/
<今日の、空白>
かなり、久しぶりにライヴに行く。東京にいたのに、なぜ、こんなに空いたか。スライ&ザ・ファミリー・ストーン『暴動』の「暴動」なる(無音の空白部分に、クスリにはまっていてもクールだったスライはそうなずけ、曲番号も取った)もの、なーんて。そういえば、今出ているレコード・コレクターズ誌にアルバム『暴動』、そしてその因子を継ぐアルバムのことをいろいろ書いている。書いていて、楽しい原稿だったな。……しかし、こんな為政者のもとで暮らす日が来ようとは。
▶過去の、スライ・ストーン
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/200809071428140000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/201505201630381899/
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