渡辺貞夫(2002年12月14日、2003年5月6日、2004年12月17日、2005年12月18日、2006年8月8日、2006年9月3日、2006年10月4日、2007年12月16日、2008年12月14日、2009年7月22日、2009年9月3日、2011年7月4日、2012年6月29日、2012年12月15日、2013年4月1日、2013年7月27日、2013年9月29日、2014年7月8日、2014年10月5日)、17年ぶりのビッグ・バンドを率いる公演(と言いつつ、今年リハをかねてのものか、何度かライヴをやっているようだが)とか。実力者がそろう日本人13人のホーン・セクションは、昔とほぼ同じ顔ぶれだという。渋谷・オーチャードホール。入場時に渡されたセット・リストを見て、まず驚く。2部制で、20曲近い。おお、かなり前から準備/リハをしているとは伝え聞いていたが、ぼくが感じていた以上に、気合いと手間をかけたんだなと、直截に思わせられる。83歳の意欲に少したじろぎました。

 もう一つ驚いたのは、リズム・セクションをわざわざ米国から呼んでいたこと。今回はこの日のほかにも数カ所で公演を行っているようだが、ちゃんと予算があるのだな。ピアノはおなじみのラッセル・フェランテ(2007年12月16日、2009年3月23日、2012年6月21日、2014年1月15日、2014年7月8日)で、ドラマーがピーター・アースキン(2012年6月21日、2013年6月26日)。彼の絶妙の強弱や切れを持つ演奏に触れると、ジャズ・ビッグ・バンド表現のドラミングは日本人が苦手なものと思わされるかも。←あー、なんかそれ、サッカーにおける日本人GK弱点説と重なるか。そして、ベースはアースキンの推薦であるというエドウィン・リヴィングストン。ワイルドな髪型をしているアフリカ系である彼(40歳ぐらい?)は曲によってはエレクトリック・ベースも手にしたが、実はヘッドハンターズ(2005年8月21日)の欧州ライヴ盤に彼の名前が見られたりもする。そんな彼、今は南カリフォルニア大学で教鞭も取っているようだ。

 主アレンジャーは17年前と同じく、トロンボーン奏者の村田陽一(2005年1月7日、2006年1月21日、2010年3月9日、2011年12月20日、2012年9月8日)。とともに、フェランテがアレンジを担当するものあり。彼の編曲、少しおもしろかった。「ラウンド・トリップ」や「マイ・ディア・ライフ」など代表曲の大編成版を披露するとともに、3.11後に発表した「ホワット・アイ・シュッド」や「ウォーム・デイズ・アヘッド」など近年の慈しみに満ちた曲も奥行き深く披露。ではあったのだが、驚いたことに1部のオープナーは米国留学時代の畏友ゲイリー・マクファーランド(http://43142.diarynote.jp/201310050701201281/、の下部を参照のこと)の「キチ」。非オリジナルは2曲やったが、もう一つはセロニアス・モンクの「ブルー・モンク」(これは、フェランテの編曲だと言っていたか)。MCによれば、留学中にあるフェスでディジー・ガレスピーやスタン・ゲッツ他錚々たる奏者が参加したビッグ・バンドの出し物があり、渡辺貞夫はフルートでそれに加わったのだそう。その際のアレンジを請け負っていたのはやはりマクファーランドだったが、彼はオリジナルのキーをかえたのだそう。そしたら、そのビッグ・バンドでピアノを弾くはずだった(!)セロニアス・モンク御大はキーが変えられているのにムクれて急に出るのを取りやめたとか。へ〜え。米国時代とか、日本に戻ってきたときのこととか、本当に面白い話が山ほどあるんだろうなー。とともに、そういう見聞がいろいろと渡辺貞夫の音楽の襞に息づいているに違いない。とともに、渡辺表現にはすべからくどこかに、米国時代への追憶が秘められているのかもしれない。

▶過去の、渡辺
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200610080946310000/
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200907310048137248/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/201107111008176019/
http://43142.diarynote.jp/201207031353196616/
http://43142.diarynote.jp/201212171647134119/
http://43142.diarynote.jp/201304031026406106/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201310050701201281/
http://43142.diarynote.jp/201407091243129270/
http://43142.diarynote.jp/201410061850124929/
▶過去の、フェランテ
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120621
http://43142.diarynote.jp/201401171005571275/
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
(2012年6月21日、2013年6月26日)
▶過去の、アースキン
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
http://43142.diarynote.jp/201306271617516710/
▶過去の、ヘッドハンターズ
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
▶過去の、村田
http://43142.diarynote.jp/200501170151560000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/201003101342028780/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111220
http://43142.diarynote.jp/?day=20120908 ベン・E・キング

<今日の、渋谷>
 会場に向かい渋谷を歩いているときに、サンタクロースの赤い格好をしている若人を何人も見かける。なるほど、お店で終電前に終わるクリスマス・パーティが行われていたりするのだろうな。会場入りする直前、唐突に降雪。とっても粒が大きくて、驚く。これが、東京の初雪であるそう。ホール横にはNHKの中継車が停車。CD用ライヴ・レコーディングをすることは聞いていたが、TV放映用の映像もおさえられるようだ。NHK職員、社屋から近くてニッコリだろうな。

コメント