ティン・メン

2014年4月8日 音楽
 ティン・メンは在ニューオーリンズの、変テコながらフフフとなれる編成を持つ、トリオ。そんな2点にひかれ、横浜まで行ったが、これは良かったなあ。帰りの東横線、満たされていました。横浜・サムズアップ。

 ルーツ・ロック・バンドのロイヤル・フィンガー・ボウルにもかつていて、リーダー作も複数持つギターと歌のアレックス・マクマレー(東京ディズニー・シーに帯で演奏する滞在仕事を得たこともあったよう)。米国の一部の南部土着表現に欠かせないプリミティヴなリズム楽器であるウォッシュボードと歌のウォッシュボード・チャズ(彼は、アフリカ系)。そして、ニューオーリンズのブラス・バンド表現に欠かせないスーザフォンと歌を担当するマット・ペリーン。彼はニューオーリンズ・ナイトクロウラーズやボノラマ(2007年2月2日)といった同地のブラス系グループに関与していたことがあるらしい。一応、マクマレーがMCを担当していたが、仲良く力関係は三者対等という感じ。リード・ヴォーカルはマクマレーとチャズが半々ぐらいづつ取る。過去、リーダー作は3枚あるようで、2013年作はジョージ・ポーターJr.(2007年2月2日。2007年2月4日、2008年8月12日、2009年7月25日、2014年1月17日)がやっている。

 南部の土臭かったり、のほほんとしていたり、じんわりしたり、高揚を導くような曲/曲趣をあっさりと、だが、得難い混合性妙味とともに、次々に繰り出していく様にはウヒヒヒ。ゴスペルっぽいのからジャグ・バンド的なものまで……。南部の様々な財産が息づき、それをいい塩梅で紐解き直せる勘所を抑えたミュージシャンがいて……。こりゃ、趣味性の強い米国人好き者ならではの蓄積たっぷりの妙味や創意がありまくりと感じる。この場で得た感興を的確に書き留めるは難しいが、ちゃんと地に足がついた語彙を生っぽく、フレキシブルに使いこなす、音楽的にも人間的にもチャーミングな人たちがいた、というのは間違いない。

 ギターは何気にファジーな質感を持つ演奏がうまいと思わせ、スーザフォンはときに高い音も出すなど多彩。そしてウォッシュボードはハンド・メイドでベルや空き缶なども一緒に取り付け、それらを駆使したリズムを出す。近くで見れると、手のひらの上下だけでなく、各指の動きも巧みに用いるその演奏はなかなかに興味ひかれ、ああオレもウォッシュボードを作って、やってみたいと思わす。そうなるのは、おっちょこちょいのぼくだけではないだろう。アナログ、ばんざい!
 
 ウィットに富む3人は、有名ポップ曲カヴァーも、彼ら流儀で披露。スティーヴィー・ワンダーの「涙を届けて」は少しはずしたが、ザ・フーの「マイ・ジェネレーション」とレッド・ツェッペリンの「移民の歌」はイエイ以外の何ものでもなかった。とかなんとか、2部構成のショウだったが、各セットともに60分はやったはず。満足度、山ほど。とともに、接すると音楽ゴコロの洗濯ができたアと感じさせるグループでもあるはずで、定期的に来てほしいなとも、ぼくは思った。

▶過去の、ボノラマ
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/
▶過去の、ポーターJr.
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/
http://43142.diarynote.jp/200702121118370000/
http://43142.diarynote.jp/200808140129280000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090725
http://43142.diarynote.jp/?day=20140117


<今後の、3人>
 憧れの地(?)たる渋谷を連発していた彼ら(ヨコハマでは、それは受けにくい?)だが、昔ギャラクティックも「シブヤ」という曲を発表していたことがあったな。この後、名古屋、京都、横浜、鎌倉、東京と、彼らは回る。どんどん口コミが広がり、会場がぎゅうぎゅうになりますように。
http://buffalo-records.com/newstopics/info/TinMenTour.html

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