ルクセンブルグ人ピアニストのミシェル・ライス(2016年4月12日、2016年7月21日、2016年11月4日、2018年2月13日)のトリオを、丸の内・コットンクラブで見る。彼に加え、コントラバスのマーク・デムス(2016年11月4日)とドラムのポール・ウィルトゲン(2016年11月4日)。彼らの新作は、イタリアの好インディであるカム・ジャズからのものとなる。ライスはいくつものプロジェクトを並行して抱えているが、ルクセンブルグの音楽高校時代の仲間と組んでいるこれは、その中軸にあるものと言っていいだろう。いや、そうじゃなきゃ困ると思えるぐらいに、個と現代感覚を併せ持つ三位一体表現を聞かせていたはず。

 まずは、パルシーさやひたひた感と滋味や思慮をクロスさせた楽曲があり。かような曲群は変拍子を採用するものでもあるのだが、それらが時間とともに流れ、表情を変えて行く様は本当に個性あり。曲に詩的な構築感があると思わせるところはモダン・ジャズ・クインテットを思い出させたりもする? また、レイスはE.S.T. (2003年6月17日、2007年1月13日)に影響を受けたと言っていたことがあったが、電気的効果をかましはしないものの、E.S.T.を思わせる曲調でもあったりする。しかし、複雑な曲や展開を譜面をおかず悠々と演奏していくあたりは、さすがワーキング・トリオだとうならせる。いやはや、レイスさん、まさしくの俊英と再確認させられました。

▶︎過去の、ミシェル・ライス
http://43142.diarynote.jp/201604271333586112/
http://43142.diarynote.jp/201607221000152412/
http://43142.diarynote.jp/201611101506534154/
https://43142.diarynote.jp/201802141255168037/
▶過去の、E.S.T.
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/

 さらに南青山・ブルーノート東京で、歌とピアノとキーボードの矢野顕子(2004年7月20日、2008年8月3日、2008年12月14日、2009年8月19日、2009年9月4日、2009年12月13日、2010年12月12日、2011年9月9日、2011年12月11日、2012年8月21日、2013年8月11日、2013年11月30日、2014年8月7日、2015年8月20日、2016年9月15日、2017年12月10)、ベースや歌や鍵盤のウィル・リー(2008年12月7日、2009年8月19日、2012年8月21日、2012年11月26日、2013年12月5日、2014年8月7日、2015年8月20日)、ドラムのクリストファー・パーカー(2009年8月19日、2012年8月21日、2014年8月7日、2015年8月20日)のトリオを見る。このトリオを組んで、ちょうど10周年とか。明日録音するライヴ盤の予約をホワイエ階で受け付けていた。予約者はブックレットに名前が掲載されるという。

 満場。だが、それも当然だろうという、満足感あり。もともと茶目っ気たっぷりにことにあたり、ウィットに富む引用が見られる人であったが、今回はクォーテイションがいつも以上に多かった。お、お、お、となった。たとえば、ゴジラのテーマ曲をインストでやって後に続けた「モスラの歌」(?。映画でザ・ピーナッツが歌ったやつ?)のベース・ラインは彼女と浅からぬ関係を持つリトル・フィート(2000年12月8日、2012年5月22日)の「オール・ザット・ユー・ドリーム」(ロウエル・ジョージ不関与の、ポール・バレルとビル・ペインが書いたプログ曲)のそれ。うひょ〜。ウォー(2007年11月6日、2009年8月9日 、2017年5月15日)の「ギャラクシー」のリフをリーは別の曲で入れてもいた。その曲のリフはジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日、2017年4月11日)も『オール・ライズ』(ブルーノート、2014年)で引用していた。今回の帯は矢野の求めにより、ベヒシュタインのピアノをわざわざ入れていたという。

▶過去の、矢野顕子
http://43142.diarynote.jp/200407200015350000/
http://43142.diarynote.jp/200808090220110000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200908221621447408/
http://43142.diarynote.jp/200909120647256771/
http://43142.diarynote.jp/201001051622194305/
http://43142.diarynote.jp/201012131714372906/
http://43142.diarynote.jp/201109151818437240/
http://43142.diarynote.jp/201112191449196187/
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811
http://43142.diarynote.jp/201312051627467488/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
http://43142.diarynote.jp/201609201813357761/
http://43142.diarynote.jp/201712111145326498/
▶過去の、ウィル・リー
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
▶過去の、クリス・パーカー
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
▶過去の、リトル・フィート
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/
▶︎過去の、ロニー・ジョーダン/ウォー
http://43142.diarynote.jp/200711101235120000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090809
http://43142.diarynote.jp/201705161314529397/
▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
http://43142.diarynote.jp/201704131639031673/
http://43142.diarynote.jp/201801251404591913/

<今日の、満面の笑顔>
 ちょうどコットンクラブのライヴ中から地下鉄でブルーノート東京に向かう間のことのようであったが、都心はすごい落雷、豪雨だったらしい。いやはや、どーなる東京。夜半、帰宅して郵便物や宅急便を開けていたら、あらというCDが。『名曲アルバム』。わあ、イージー・リスニング系の編集盤は聞かないなあと一瞬思ったら、どこかジャケに不穏な空気があってよく見たら、なんと たこさん(2016年10月13日)の2枚組ベスト盤じゃないか。SHOUTレコード発、品番はSHOUT-283/284。うれしいっ。黒人音楽咀嚼の音楽やるなかでは、日本最高のがちんこバンド! 捨て身で推奨する。こんな落雷、豪雨は大歓迎〜。

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