2008年にニューヨークで結成された5人組の公演を、南青山・ブルーノート東京で見る(ファースト・ショウ)。2012年以降、メンバーたちはノラ・ジョーンズ(2002年5月30日、2002年9月14日、2007年3月21日、2010年1月20日、2012年11月8日)のツアー・サポートもしている。ヴォーカルとギターのジョシュ・ラタンジ(電気とアコースティック・ギターを持つ比率は半々ほどか)、ギターのジェイソン・エイブラハム・ロバーツ(エレクトリック・ギターを主に弾き。スライド・バーを使ってスティール・ギターのような音も出すなどもする)、鍵盤のピート・レム(グランド・ピアノを主に弾く)、エレクトリック・ベースのウェス・ハッチンソン(ピック弾き)、故リヴォン・ヘルム(ザ・バンド)流れの演奏をするドラマーのグレッグ・ウィッゾレック(1曲だけ、レギュラー・グリップで叩いた)が、その構成員だ。

 もう絵に描いたような、手作り系アメリカン・ロックを聞かせるバンド。フォーク・ロックやカントリー・ロックの要素も絡めつつ、彼らはそういう表現を外連味なく届ける。フロントに立つジョシュ・ラタンジはもう45歳だそうだが、みんな若めで30代に見える。そのためもあってか、大学の1970年代アメリカン・ロック研究会から巣立ったバンドなんて感想も、ぼくはえた。

 そして、面々はなるほどうまい。この手のサウンドを出すには“鉄板”と言いたくなる演奏を見せる。ラタンジとロバーツはギター・ソロを取るとジェリー・ガルシアを想起させもして、グレイトフル・デッドあたりも大きな影響源の一つなのか。また、ラタンジのヴォーカルも強すぎず弱すぎず、すがりつきがいのある歌声のもと味のあるものではなかったか。

そんなパフォーマンスに触れながら、彼らのことをアメリカーナと言う人もいるが、それはないっしょと感じる。ぼくがアメリカーナという言葉にはルーツ・ミュージック要素や合衆国の襞をしっかり抱えた表現であるのにプラスして、移行や転換の感覚〜それはある種の現代的批評とも繋がる〜を持つと言いたくなるが、ザ・キャンドルズはもっと健全で、ポジティヴ。もっと直接的に過去の表現を愛でていると思わせるわけで、それはそれで悪いことではない。シンガー、鍵盤、ドラマーはアロイシウス3というユニットも組んでいるが、もっとルーツィでオルタナティヴでジャム的でもあるそちらの方の方が多分にアメリカーナだと、ぼくは思う。

 3枚の既発アルバムはどれもジョシュ・ラタンジの曲で固められていたので、すべてオリジナルで通すのかと思ったら、リトル・フィート(2000年12月8日、2012年5月22日)の1973曲「ロール・アンド・イージー」やザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1970年曲「オー・スウィート・ナッシン」をやったりもしていて、他にもカヴァーはあったかもしれない。普通、カヴァー曲をやる場合は、MCで断ったりするが、彼らは一切それをしなかった。

▶過去の、ノラ・ジョーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm 5.30
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm 2.09
http://43142.diarynote.jp/200703241326090000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/201211151032395193/
▶過去の、リトル・フィート
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-12.htm
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/

 その後、渋谷のWWW Xに移動。会場入りすると、トクマルシューゴ(2012年12月14日、2016年9月4日)が5人編成のバンドを率いてパフォーマンスしている。シンガーとしては何の魅力も感じないが、今の音楽家として大切なものを抱え続けている担い手という印象は変わらない。ちゃんと生の場で広がることをしていて、普通じゃないことと普通であるべきことをうまく綱引きさせている作り手という印象を持ったか。もし定時に始まったなら、1時間近く彼らは演奏したはず。

 ギター/キーボードとドラマー(過去と同じ人かは未確認)を従えたファナ・モリーナ(2002年9月7日、9月15日。2003年7月29日、2011年8月1日、2013年12月3日、2015年2月6日、2016年3月17日)は毎度の実演を見せた。よって、大きな驚きはないが、接することがっできてよかった、やっぱし彼女は今のポップ・ミュージックの前線に立っている、と思わせられる。ステージに出てきて、一声を発しただけで、さああと場内に風が流れ、それだけでこれは良い公演だと思わせられちゃったしね。

 ヴォーカルすべてにエフェクトをかけていたけど、それは過去もそうだったっけ? またお茶目さをいろいろと出していたが、それも過去の公演はどうだったっけと思わせる。アフト・ビートのコンビネーションを想起させる曲があって、彼女がコンゴ勢主体大所帯ユニットに参加していたこと(2011年8月1日)も思い出した。会場は満場、若い人が多かった。

▶︎過去の、トクマルシューゴ
http://43142.diarynote.jp/201212171530244316/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160904
▶過去の、ファナ・モリーナ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm トゥルー・ピープルズ・セレブレーション(7日)、モリーナ&カブサッキ(15日)
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-7.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20110801 コンゴトロニクスvs.ロッカーズ
http://43142.diarynote.jp/201312171240301597/
http://43142.diarynote.jp/201502071011467530/
http://43142.diarynote.jp/201603221010109346/

<今日も、>
 よく飲んだ。ずうっと、こんな生活が続いていて、幸せではあるが。。。。。でも、ぼくの周りも、比較的みんな元気だよなー。

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