池袋・東京芸術劇場が企画する、ピアニストが二人向き合う“VS”というリサイタル・シリーズの3回目の出し物を見る。

 広いステージ中央には、スタンウェイのフルコンが2台。登壇するのは、塩谷哲(2006年2月16日、2006年6月15日、2008年8月19日)と 大林武司(2014年5月25日、2015年9月5日、2016年2月16日、2016年9月4日、2016年12月16日、2018年2月21日、2018年11月1日、2018年12月5日)。

 約20歳年齢の離れた二人は、白いだぼだぼのシャツ、黒いパンツ、白いスニーカーという同じ出で立ちでステージに登場する。ただし、シャツのカットは違っていた。ともあれ、それで二人の距離の近さは出る。この二人について位置が近いと感じたことはなかったが、バークリー音大に行く前に大林は塩谷にサインをもらったりしていたらしい。実際、ピアノを隔てて塩谷とアイコンタクトを交わす大林の表情には思慕と喜びがおおいに宿る。一方の塩谷はそれに対し、うんうんと暖かくもナイス・ガイぽく受け止めると言う感じ。あれ、塩谷ってあんなにチリチリした髪型をしていたっけ? 大林は広島県の出身なのか。ソイルの丈青と同じなんだな。

 実際の演奏は、意外なくらい、二人の演奏が似ていた。音色もまた。と、書くとちょっと語弊があるかもしれないが、本当に両人は無理なく調和する。演目はそれぞれのオリジナルを中心に(お互いに新曲も1つづつ出した)、スタンダードの「オール・ザ・シングス・ユー・アー」(二人でしっとり変えられていて、ぼくは原曲を想起しなかった)をはじめ、スティングやチック・コリアやスティーヴィー・ワンダーの曲なども取り上げる。ジェントルな二人のやりとりが一番映えたと思えたのは、「オーヴァー・ザ・レインボウ」かな。おお、そんなハーモニーの取り方をする? とかいったようなインスパイアに富むやりとりが手に取るように分かった。

 2部制。2部のほうでは、お互いのオリジナルをそろぞれがソロで弾くという場面もあり。本当にお互いを認め合っているんだなという感想が、倍化されますね。その際から、2人は弾くピアノを交換した。

▶︎過去の、塩谷哲
https://43142.diarynote.jp/200602171950040000/
https://43142.diarynote.jp/200606182137100000/
https://43142.diarynote.jp/200808221745590000/
▶過去の大林武司
http://43142.diarynote.jp/?day=20140525
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160216
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201612181010384754/
http://43142.diarynote.jp/201702201427067352/
http://43142.diarynote.jp/201802221538438234/
https://43142.diarynote.jp/201811021046075049/
https://43142.diarynote.jp/201812081039071230/

<今日の、変化>
 火曜、水曜、木曜日と寒い日が続いたので、ヘタレのぼくは家にこもった。そして金曜の今日、寒い日のあと開花するなどともいわれるが、なるほど桜が咲いている。朝起きカーテンを開け、それを認める。ほほ。ほのかな僥倖。3〜5部咲き、かな。そのち、ベランダに桜の花びらが舞い込むのか。なんか、それにも風情を感じてしまうよなあ。

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