六本木・ビルボードライブ東京で、レゲエ・シンガーのPUSHIMを見る。ファースト・ショウ、15時から。お、女性客が何気に多いな。

 やはり、喉力あり。ある曲の際、彼女はトゥーツ・ヒバート(2004年9月17日)のようなソウル流儀のバンドとのやりとりも見せる。それはともかく、もしR&Bのほうに進んでも彼女は注目を集めたろうと思った。そんなPUSHIMはときに大阪のおばさんノリのMCで、客席を和ませる。過不足ない演奏陣はワーキング・バンドのようで、エレクトリック・ベース/スタンダップ電気ベースのTANCO、ドラムのYUKKY、キーボード(ときどきピアニカも効果的に用いる)Mi3、ギターのNODATIN、バックグラウンド・ヴォーカルのChicaという面々。

 日本語のオリジナルをレゲエの妙味を介して堂々披露していく。アタマはダブっぽい効果をつけたときも。その際、ドラマーはパーカッション・パッドも使った。1曲だけ、ボブ・マーリーの「イズ・ディス・ラヴ」のカヴァーも聞かせる。そのとき、バンド音の強度が増したような。アンコールの最後は、ジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」をバンドが少し演奏した。

 かつてブルース・インターアクションズがSPARKLEという雑誌を出したことがあり、ぼくはその創刊号でデビューしたばかりのPUSHIMにインタヴューしたんだよなー。それ、20年ほど前のこと。以来しっかりと地に足をつけて鋭意活動してきていることが分かり、感無量なり。彼女の格好はレゲエ風ではない、柔らかなパンツ姿。それも、自然体で音楽と向き合っていることを伝えてくれるような気がした。

▶過去の、トゥーツ&ザ・メイタルズ
http://43142.diarynote.jp/200410071540230000/
https://43142.diarynote.jp/201405230833199357/ トゥーツ・ヒバートが出てくる映画「ハーダー・ゼイ・カム」
https://43142.diarynote.jp/202009122115229363/ 訃報

 野暮用をすませ、国分寺M’sに行く。19時半から。お、北口横のほうにこんなジャズ箱があったのか。グランド・ピアノも置いてあった。出演者はギターの平井庸一(2021年3月1日、2021年11月7日)と天野丘 、ダブル・ベースの土村和史(2021年3月1日 )、そしてドラムの嘉本信一郎。平井と天野の関係〜それは阿吽の呼吸を持つ〜を軸に、ジョン・アバークロンビー(2010年2月5日、2014年10月18日)の曲やレパートリーを取り上げるグループなり。https://m.youtube.com/watch?v=y2pDhfq-iOE は、過去のライヴ映像。そうした積み上げのもと、この晩のライヴがあるようだ。→そして、https://m.youtube.com/watch?v=0xdZRkaIHec が、今回の模様だ。

 MCは平井が務める。曲の背景が分かりやすい、的確に喋る人なんだな。この日はエフェクターは控えめにて、今様ジャズ・ギタリストの様を出す。天野はその平井以上にアバークロンビーのギター表現の襞をいろいろ知っている(ということを、平井はMCで語った)そうだが、まずぼくの目は彼の右手に釘付け。ピックを使わなくなって5〜6年になるということだが、爪弾き調からそのヴィヴィッドな奏法が活きるトリッキーなフレーズまで、自在。これは実力者だ。土村は5度調弦を施したベースを演奏するが、そのチューニングはチェロと同じであるそう。通常チューニングのそれとは違う浮遊感のようなものが出るような気もした。高いほうの音が出ると、言っていたか。そして、嘉本は適切なパッションを抱えたドラミングで、それにも感心する。いいジャズ・ドラマーだ。そんな人たちの集合表現が興味深くないわけがない。

 ばくはそれほどアバンクロンビー表現に入れ込んでいる者ではないが、この晩の演奏に触れてすごい人なんだなと思えた。ともあれ、市井のジャズ・ミュージシャンの誉を今更ながら受けとった。

▶︎過去の、平井庸一
https://43142.diarynote.jp/202103031127296987/
https://43142.diarynote.jp/202111081314458102/
▶︎土村和史
https://43142.diarynote.jp/202103031127296987/
▶︎過去の、ジョン・アバークロンビー
http://43142.diarynote.jp/201002072246423695/
http://43142.diarynote.jp/201410231404401926/
https://43142.diarynote.jp/201708280821026300/ 訃報

<今日の、もろもろ>
 まず毎度のGくんにお願いして、髪の脱色2回&カット。予約いっぱいのところ、10時半にやってもらうことに成功。この後、21時までびっしり入っているという。……2時間半の苦行を経て、ブリリアント度増大のワタシに(苦笑)。そして、根津から六本木に向かう。食事をするところを探してきょろきょろ、交差点横の本屋がなくなり、六本木ブックセンターも商い形態を変えていた。ビルボードライブは飛行機の自動チェックイン機のような自動席番号発券機を併置するようになっていた。
 平井傭一はトリオで、新作を録音したそう。スタンダード集だそうだが、山田光(2014年7月22日、2021年3月1日)の プロデュースのもと、定石を外した録り方/ポスト・プロダクションを通したものになるよう。解放されたアルト・サックス奏者である山田はその一方コンテンポラリーなトラック・メイカー〜本業はゲームの音楽作りをしているよう〜で、その仕上がりが楽しみだ。
▶︎過去の、山田光
https://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
https://43142.diarynote.jp/202103031127296987/

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