おー、5階の屋上から眺めがいい。この辺、そんなに高い建物がないんだな。遠くには、新宿の高層ビル群がどばあっと見れる。ふふ、ちょっとしたものだな。ちょうど日暮れどきとなる16時半から、下北沢駅近くのビルの屋上で、<平日おやすみぽろろ>と題された出し物に接する。

 ヴァイブラフォンや鉄琴の谷本麻実(2021年6月5日)ととても簡素なドラム・キットと少し鳴り物を扱う矢城純平のデュオのパフォーマンス、なり。わりとゆったりしたインプロ曲をはじめ、米国の往年の漫画曲や童謡、また面白いセリフが入るちょい反復調の機微あるオリジナルなどを演奏する。また、観客全員にいろんな種類の鳴り物を渡して一緒にならせたりとか、けっこう場を一体にしようとする、天真爛漫な方策には頷く。子供相手でも、これは受けるんじゃないか。1曲は、谷本と矢城が持ち楽器を交換した。

 なるほど、20代半ばの担い手たちによる所作だなと思えたのは、曲が短く披露されていたこと。これがもう少し上の腕に覚えのある奏者たちだと延々と即興を続けそうなところであり、お腹いっぱいになってしまう場合もあるが、2人はこれからと思わせるところでサクっと曲を終える。それはオープンな場での演奏のため大きな音が出せないという制約が働いたところもあったろうが、インプロに親しんでいない人が集まる場でのくだけた出し物としてはそれでいいと感じた。とにかく、いい場でした。

 谷本はソロでエディ・ヴァン・ヘイレンの非グループ曲も演奏した。ぼくの知らない曲。なんでもお父さんがヴァン・ヘイレンの大ファンでそれで曲を知っているそう。彼女の父親の車のナンバーは、彼らの1986年作のタイトルとなった数字4つなんだとか。

▶︎過去の、谷本麻実(https://asamiperc.themedia.jp
https://43142.diarynote.jp/?day=20210605
▶︎過去の、エディ・ヴァン・ヘイレンの訃報
https://43142.diarynote.jp/202010081306571190/

<今日の、甘酸っぱさ>
 このルーフ・トップ・セッションを2人は過去にもやっているそうだが、演奏中にビルの下に警察が来たそうな。翌日は音配慮もあり、屋上横の室内バーで演奏するそう。というのはともかく、この日の屋上ライヴに接しながら、なんかザ・ビートルズのロンドンのビル屋上でやった<ゲット・バック>ライヴを思い出した。とともに、この日の若い客層のなか、それを想起するのはばくだけなのかなあと思う。←谷本は知っていた。この中旬に同作のデラックス・エディションが発表され(興味はあるが、聞く時間を見つけることができなさそうで購入をためらっている)、来月下旬には同作の新編集映画もディズニー・プラスで公開もされる。そっち、なんとか見たいなあ……。前にこの欄で書いたことがありそうだが、ぼくのザ・ビートルズの原体験は東芝の“ボストン”という名のステレオ絡みだ。『レット・イット・ビー』(アップル、1970年)リリースの頃だったのだろう、ボストンのTV-CFに『レット・イット・ビー』のジャケット・カヴァーが大写しされ、「レット・イット・ビー」が流された。TV番組「サンダーバード」に継ぐ衝撃というか、ぼくにとっての新鮮な海外文化との出会いだったのは間違いない。

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