2014年グリーンランド/デンマーク/ノルウェー映画「サウンド・オブ・レボルーション グリーンランドの夜明け(原題:Sume: Mumisitsinerup Nipaa)」を角川シネマ有楽町で見る。

 1970年代上半期にデンマークのコペンハーゲンで活動し、3作のアルバムを出したスミ(Sume)というフォーク・ロック・バンドがいた。彼らはデンマーク統治下にあるグリーンランド(元は植民地。世界一大きな島ながら、人口は56000人とか。点在する集落は道がないので船での移動の手段となる)から大学に通うためにコペンハーゲンに出てきたグリーンランド出身の学生たち。彼らはロック・バンドとして初めてグリーンランド語で歌い、グリーンランドの自立や自尊心を歌詞にもりこんだ。そんな彼らの短い活動を追ったドキュメンタリー・フィルムで、当時のスミを抑えた映像(よく、こんなに残っていたなと、それは思わせよう)やその後のメンバーやマネージャーなど関係者たち、「各家庭に1枚、彼らのレコードがあった」などスミはいかに人気があったかを語るファンたちへの取材映像などを映画は重ねている。活動晩期には英国人気バンドだったプロコル・ハルムから半年ものツアーの前座としてのオファーがあったというので、グリーンランドやデンマーク以外でもそれなりに評判を呼んでいたのかもしれない。グリーンランドは1978年にデンマークから自治権を認められた(翌年に施行)が、それはスミの活動が大きく影響したようだ。彼らは大学を卒業しグリーンランドに戻ることで解散した(1988年に再結成したことがあったよう)が、グリーンランド語で歌うナヌーク(2015年3月26日、2016年11月6日、2017年2月10日)がスミを継ぐ存在として、出てくる。

 イヌイットの人たちが住むグリーンランドの人々や環境については2017年仏映画「北の果ての小さな村で」(2019年5月24日)を見て多少は知識があったものの、グリーンランドのちょっとした映像だけでも感興あり。社会的な影響力を持つ彼らに、デンマーク側からの負の働きかけがあったというようなことは語られない。とにかく、支持を受け、影響力も持っていたのに、あっさりやめてしまうあたりの感覚はどこかで極北の地の感性とつながっているのかもしれない。訳詞付きでまるまる1曲流される曲が何曲もある(そこに興味深い映像が乗るので飽きない)が、ぼくとしてはメロディやアレンジに100%共感できなくても、歌詞については確かによくできていると思わされる。ラヴ・ソングもあるがそれも自然的な事象と重ねて普遍的なものにしていて、本当に巧み。歌詞とメロディは別々のメンバーが作り(ともにギターを弾きながら、歌う)、必ずしも音楽面を主導する方は社会的な歌詞を載せることに積極的ではなかったよう。だが、現在グリーンランドで歌詞担当者はサウンド・エンジニア、メロディ担当者は議員をしているという。逆じゃないか。短髪になった歌詞担当者の今の顔つきは少しトム・クルーズっぽい?

 映画の監督も制作者もグリーンランド在住の人のよう。上映後のトーク・ショウで、その監督は2012年スウェーデン/イギリス映画「シュガーマン 奇跡に愛された男(原題:Searching for Sugar Man )」を意識したところがあったということが伝えられる。あら、楽曲と音楽の数奇な伝搬と影響力を描いたあの映画を見ているはずだが、そのブログ表記が見つけられない……。以上、ピーター・バラカンズ・ミュージック・フェスティヴァルのなかの上映。その京都編は、8/6〜19に開催される。

▶︎過去の、映画「北の果ての小さな村で」
https://43142.diarynote.jp/201905250820424812/
▶︎過去の、ナヌーク
https://43142.diarynote.jp/201503271611494171/
https://43142.diarynote.jp/201611101508243962/
https://43142.diarynote.jp/201702110915407607/

<今日から、嘗胆>
 駅のホームで電車待ちの間、メールをチェックし、スパムを消そうとしたら、間違ってそこに入っているリンクを押してしまう。そしたら、1時間100本かという勢いでスパムがごんごん入ってくるようになってしまい。あ“———。もう、悪夢。それらを消去する際に、マジなメールも消しそう。放っておくと忘れてしまいそうなので、ぼくは95パーセントはメール返信をすぐにする人間だ。もし、ぼくにメールを送って返事がないなあと思っているあなた、読む前に間違って削除している可能性大であります。前にもそういうことがあって、耐えていると、そのうちスパムの数が減った。なにか、データーが悪用されたということもなかった(はず)。我慢の日々だな。

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