六本木・ビルボードライブ東京で、在NYのブラジル人であるベベウ・ジルベルト(2014年11月28日)の公演を見る。ファースト・ショウ。なんと、1971年リオ生まれで2000年以降はニューヨークに住むギタリストのギレーミ・モンテイロ(2010年10月10日)だけのサポートでショウはすすめられる。彼は少しエフェクターを足元においていたものの、すべてガット・ギターでことをこなす。

 そのモンテイロはベベウ・ジルベルトの諸サポートはもちろんのこと、アナット・コーエンやカート・エリング(2012年6月21日、2016年3月1日)のアルバム録音に関与をするほか、ジェシー・ハリス(2002年12 月21日、2005年9月7日、2006年1月23日、2006年4月22日、2007年3月11日、2009年3月31日、2010年10月10日、2011年8月6日、2012年7月16日、2013年5月26日、2016年4月27日、2016年9月8日、2017年6月10日、2018年12月19日、2019年11月20日)が懇意にする在NYブラジリアン・グループであるフォホー・イン・ザ・ダークのメンバーでもありますね。

 デュオで粛々と。ベベウ・ジルベルトは白と黒のドレスを綺麗に身にまとい、高いヒールの靴を履いていたものの、背が高そうにも見え、ステージ上の見栄えはなかなか。そして、しっとりと上品にボサノヴァ・ソングブックをこなしていく。お、偉大な父親である昨年7月に亡くなったジョアン・ジルベルト(2003年9月12日)・トリビュートじゃないか。とは、皆思いますね。通常の物差しで言えば、彼女は歌が上手な方ではない。だが、豊かな人間性も感じさせるそのパフォーマンスはまったくもって悪くない。

 そう、その実演に触れて何よりも感じたのは、ベベウ・ジルベルトの温かな心地のようなもの。彼女の5年強前の公演の項にも書いているが、そういうものに触れると偏屈と言われた父親のイメージとの落差に考えは飛んでいくわけで……。実はジョアンってすごいいい人だったんではないかとか、母親のミウシャが度を越してファンキーだったとか……。なんか、ぼくなりに彼女のパフォーマンスに触れながら、ジルベルト家に対するもろもろを考え、これはいい父親トリビュートだったと言えるのかもしれない。そして、”静のベベウ”でずっと行くのかと思ったら、途中から自分の曲なども披露し、すると彼女のステージ上の動きが活発となる。拍手やスキャットも求めるなどする、客扱いもうまい。でも、ある種の品格のようなものはずっと携えていた。

 最後の曲が終わると、2人ならんでお辞儀。それは、拍手とともにどんどん深くなり、2人は両手をステージにつけ……。最後には、両者は腹ばいになり、腕立て伏せを始めた。そんなことする人には、初めて触れたか。ましてや、今日のようなタイプの公演ではとんと記憶にない。そんなことできちゃう人が悪いはずがないではないか!

▶︎過去の、ベベウ・ジルベルト
https://43142.diarynote.jp/201412011333568989/
▶︎ギレーミ・モンテイロ
https://43142.diarynote.jp/201010111257003810/
▶過去の、カート・エリング
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
https://43142.diarynote.jp/201603111217517934/
▶過去の、ジョアン・ジルベルト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-9.htm
https://43142.diarynote.jp/201906110953249486/ 関連映画
▶過去の、ジェシー・ハリス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://43142.diarynote.jp/200509130315380000/
http://43142.diarynote.jp/200601271859050000/
http://43142.diarynote.jp/200604251252010000/
http://43142.diarynote.jp/200703130418360000/
http://43142.diarynote.jp/200904040640421651/
http://43142.diarynote.jp/201010111257003810/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/
http://43142.diarynote.jp/201207180824136323/
http://43142.diarynote.jp/201305280925006733/
http://43142.diarynote.jp/201605141103337291/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160908
https://43142.diarynote.jp/201706111121479426/
https://43142.diarynote.jp/201812201007219205/
https://43142.diarynote.jp/201911211432415461/

<今日の、天候>
 昨日、今日と、絶望的と書きたくなるぐらい寒い。でも気温を見ると、氷点下にはまだまだ程遠い。寒いと、歩いていて息が上がるのはどうしてなんだろう。だが、軽妙でもある2人のショウにふれて、なんかほんわか〜。その後の飲食の会話も滑らか〜。音楽の効用って、いろんなところに及びますね。

コメント