渋谷・ショーゲート試写室で、英国2018年映画を見る。長い邦題の原題は、「Dead In a Week (Or Your Money Back)」。監督と脚本は、これが初の長編監督作品になるという、TV番組や音楽PVや映画配給の裏方にも関わってきていたオクスフォード大を出ているというトム・エドモンズがしている。

 山ほどの自殺願望を持つ小説家志望の青年(1987年生まれで音大出の、アナイリン・バーナド)とポンコツ老殺し屋(有名俳優のトム・ウィルキンソン)の二人を主人公に置く、ダーク・コメディという触れ込み。あららという荒唐無稽な設定が取られており、それを真面目(?)にわりと普通のことのように扱いつつ、ある種の含みを介しつつ描く。気が利いている、とも書きたくなるか。それなりのストーリーを90分にまとめていて、そこには力を感じる。

 構図の取り方がウェス・アンダーソンのそれと重ねると指摘するあちらのレヴューがあって、なるほど。といっても、ぼくは彼の「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」と「ライフ・アクアティック」(2005年2月15日)の旧作品しか見ていないけど。また、クエンティーノ・タランティーノの影響を指摘するものがあり、それは殺し屋同士が対峙する会話シーンなどに現れているか。

 殺し屋の奥さんが刺繍に凝っている(そのコンテストもあり)など、こちらの感覚においてUKらしいと感じる部分はいろいろ。インディ映画でそれなりに低予算であったらしいが、そんな感じはまったく覚えさせず。最後の場面音と重なり、その俯瞰映像に入るエンディング曲、その終わり方がかなりクール。音楽はマンチェスター出身の長寿人気ロック・バンドであるエルボウのガン・ガーヴェイ他、複数の人が担当している。

▶︎過去の、ウェス・アンダーソンの「ライフ・アクアティック」
https://43142.diarynote.jp/200502161844550000/

<先の、訃報から>
 この23日にニューオーリンズの偉大な作曲家/編曲家/トランペット奏者であるデイヴ・バーソロミューがちょうど100歳でなくなった。ニューオーリンズたる極上のほんわか滋味や躍動を作り、NOLAの素敵を外にも目一杯アピールした偉人。うちのレコード棚には、ファッツ・ドミノ他、彼の名前が入ったレコードが何枚あるだろう? もし、ちゃんと印税が入っていたのなら、彼は経済的に困窮することはなかったはず。しかし、100歳……。もともと欲深い方なのでもう死んでもいいかなと思ったことは一度もないが、そんなに上の年齢の境地や境遇については想像もつかない。そういえば、親の死や自らの体調なりを同世代の友人と話すことはあっても、自らの死についてはあまり語ることはなくなったような。それは、以前よりそれが身近なことになっているから? 今日見た映画の自殺マニアの主人公ような人はぼくの周りにはいなかったな。オレ、びびりなんで、そういう人が近くにいたらすごく疲弊しそう。

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